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兄は吸うもの!~兄にいたる病~  作者: B2F(びーにえふ)
2/2

2吸い目 『妹、おねだりに吸う』

妹悶絶の2話目です!!!

妹・神近永依留は、今度は何を吸うのか!!


神近かみちか永依留えいる ・・・ 5歳年上の兄を溺愛する17歳妹、高校3年生。

お兄ちゃん ・・・ 大学を出て今年から会社員として働く、優しい自慢のお兄ちゃん。



――― 兄想う、故に我在り。



わたしがかろうじて生きていられるのは、

わたしがお兄ちゃんのことが好きだから。

大好きだから。



……そこまでで美しく終わらせても、べつにいいんだけど、

わたしにとってそれは、自分の人生そのものと言ってもいいわけで、

好きってなんなのか、

このチカラの源ってなんなのか、

その不思議について、この1度かぎりの人生の中で、ちょっと突きとめてみたくもある。

……とっくに誰かが、わたしよりも先に突きとめちゃってたりするのかな?





兄は吸うもの!~兄にいたる病~



2吸い目 『妹、おねだりに吸う』





――― お兄ちゃんのベッドで、お兄ちゃんのおふとんにつつまれ、



…… 大好きなお兄ちゃんのにおいとぬくもりにつつまれて、



上は脱ぎかけた制服のブラウス。今は1人だから、ブラが見えてようがかまわない。



下はスカートを脱いだから、パンツと靴下だけでぬくもってます。



そしていま手に持っている、今日帰りに買ってきた、"新しい刺激"。

おそらくやみつきになって(ふけ)るであろう、ちょっと物々しい見た目の恥ずかしいモノを、

慣れない手つきで天井にかざし、胸をドキドキさせながら顔を真っ赤にする。

神近(かみちか)永依留(えいる)17歳。子供と大人の境界線。

スリル……、ちょっぴり不安……、隠せない期待と興奮………。




――― 岩波文庫、『死に至る病』………。

(キェルケゴール著、1849年。 岩波文庫版、斎藤信治訳、1939年)




ふにゃぁああ……っ!!! ///

これぇ…、"中二病"とか思われたりしにゃいよねっ!!? /// だいじょうぶにゃよねっ!!? ///

ベ、ベツにだれに見られるわけでもにゃいけどぉ~~~っ!!! ///



…とりあえずクールダウンしつつ……、足をもぞもぞ。

足の指を器用に使って、靴下を両方ともポイする。

べつに歴史的名著なんだから読むのは全然おかしくないし、そんな風に思うこと自体がこの本に対して失礼だっ!!(ちょっと気にして、併せ買いでごまかしちゃったけど!)



…さてとっ! 最近気になってたんですよね! これ!

――『死に至る病』。

これを初めて知ったのはわたしの場合、有名なアニメでこのタイトルが引用されてた時かな?

寝転んだまま本をためつすがめつしたのち、表紙にある概要文の書き出しを読む。




  【「死に至る病」とは絶望のことである。】




……思わず涙しそうになる。自分にいろいろあったことを思い出して。

そう、わたしはこの一文を知ってて、この本を読めば"死"や"絶望"について何か分かるんじゃないかと思って、一度読んでみようと思い立ったのだ。

タイトルを知ってすぐ検索したっけ。インパクトがあって、死に至る病って何?って思わされるもん。



あらためて見ても、表題のせいかどこかおぞましくて禁書めいた、それのみかドス黒い気がうずまいている気さえするこの本。

―― いったいどんな内容なのか。

おそるおそるページをめくってみます。読んだら精神がやられるとかにゃいよねぇっ!?


…………。


……どうやらはじめ10ページ程度は前書きみたいだけど、

本編はどんな感じで始まるんだろう?

ここだ、【 第一編 死に至る病とは絶望のことである。】



  【 絶望は精神におけるすなわち自己における病であり、】



ふむふむ……。



…5行ほど読んだところで、わたしの読み進める目がピタっと止まってしまう。




  【 自己とは自己自身に関係するところの関係である 】




……………???




…………?




  【 すなわち関係ということには関係が自己自身に関係するものなることが含まれている、――それで自己とは単なる関係ではなしに、関係が自己自身に関係するというそのことである。】




????????????????????




パタンッ………!




「……ふぅ………っ」




い………っ!



1ページ目で挫折したにゃあああああああああああっっ!!!!

まさか…、まさかまさかこのわたしがぁ……!?

最初の見開き1、2ページ目で……!? ウソでしょ……!?

その見開きは一面、

『関係』『自己』『自己自身』『絶望』『人間』『精神』などのワードで埋め尽くされ……、もうあたまがぐ~るぐ~るぐ~るぐ~る……、目まいがするにゃああ~~……!!

恐ろしい……ッ!! やっぱり恐ろしかったっ!!『死に至る病』……ッ!!!



……わたしはフラつきながら、この部屋、お兄ちゃんの部屋のクローゼットに向かう。

スーツ類が入っているほうのクローゼット。その取っ手に指を絡める。



「おかえり…っ♡ おにーちゃん…っ♡」



まだお兄ちゃんが帰ってくる時間じゃない。

だけど、こうやってクローゼットを開けるとね……?



「ふにゃああああんっ!!!♡♡♡ ///

 マジでいいにおいすぎるにゃああああっっ!!!♡♡♡ ///」



やばい……相変わらずマジでヤバい……っ!!

メンズビジネスお兄ちゃんイケメンフレグランスが、わたしを幸せで満たしてくれる。

おふとんもやばいけど、このクローゼットの中もソートーやばいんだよね…。

頭を突っ込んで吸えば、わたしの意識なんて一瞬でぶっ壊せる。

さっきのおかえりは、スーツのにおいでお兄ちゃんの帰宅が感じられるゆえでした♪


クローゼットを開け放したままふたたびベッドに寝転び、

おふとんを抱きしめて、太ももでギュっと挟む。

代わりの抱き枕にもなるんです。挟んだおふとんがちょうどいい柔ら固さになるから、挟んでもてあそぶのクセになってるんだよね♪


クローゼットを開けたのは、部屋にお兄ちゃんフレグランスが立ちこめる、芳香大箱(ディフューザー)になるから。



――― 助けを求めるときは。



「…ねぇ、お兄ちゃん……」



お兄ちゃんに相談すると、優しく助けてくれるんだ。



「お兄ちゃん……、わたしわかんないよぅ……。助けてにゃあ……っ」



おふとんに顔をうずめて、両手と太ももでぎゅっと抱きしめて、

部屋中にたちこめるお兄ちゃんのにおいも感じながら……。



「おねがい……、わたしにおしえてぇ……っ、お兄ちゃん……っ♡」



たぶん……、いっぱい体をくっつけて、すりすりして甘えたら、

わたしのはなし、きいてくれるはずだよね……?


もっとたっぷり甘えられるように、

今度はうつぶせになって、抱き枕状態のおふとんに馬乗りになる。

抱きしめて、腰をすりつけて、甘えた猫なで声でおねだりする。



「おねがぁい……♡ おにいちゃん……♡ おねがいだよぉ……っ♡」




……んぅ……っ、んっ……、ぅん……っ ///




くっ……っ、ふぅっ……、ふみゅう……っ!♡



……にゃ、にゃんか……♡ ///

盛り上がったおふとんが……、いいかんじにこすれてぇ……っ♡ ///



「うにゃっ……っ♡♡  にゃうんっ……っ♡♡」



「おにい、ちゃん……っ!!♡♡  おにいちゃん……っ!!♡♡ ///」



この……、うつぶせでするの……っ、ハマり、そう……っ♡ にゃん……っ!♡♡ ///




【 妹がバカになる3吸い目!! に続きます…!! 】




〇 引用・参考書籍


『死に至る病』(1939) キェルケゴール(斎藤信治訳) 岩波文庫

(こんな内容に引用してスミマセン…(謝))


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