四話 カバは身近な動物です
四話 カバは身近な動物です
写真を撮るとエスパーダは象に興味を示さなくなった。それどころか別の場所に行こうと急かすのだ。
「今度は若い動物が良いかも」
要は理由を察して、近くのカバの檻へ行った。カバは水辺の生き物なので池があり、ちょうど池に入っていくところが見られた。
「カバは最強の動物じゃないかっていう説があるんだ」
要がテンションを上げて言うと、エスパーダはつまらなそうな顔を向けてくる。何が不満なのだろうか?
「カバ嫌い?」
ふるふると首を横に振る。
「じゃあ……」
「要は言ったよね。私に馴染みのない動物を見ようって」
「日本に野良カバはいないよ」
「私の地元にはいたの」
要は頭が真っ白になった。今なら横で囁かれたら、その通りに言ってしまいそうだ。
エスパーダはへそを曲げて、ポケットの中にこもってしまう。
なんとかしないと帰ってもこのままかもしれない。要は必死に考えた。
「エスパーダの地元はアフリカじゃないでしょ? エスパーダの地元って……」
「コロンビア」
エスパーダはポケットから顔を出して、面倒臭そうに答えた。
要はエスパーダのことをまだ知らないのだと痛感した。とりあえずスマホで『コロンビア カバ』で検索してみた。確かにコロンビアにカバはいるようだ。
「エスパーダのこと、もっと知りたいな」
「今日青椒肉絲が食べたい。それから別の動物も見たい」
「うん」




