一話 私はアピールしました
一話 私はアピールしました
「退屈」
いつもゲームをしているはずのエスパーダが、本当に退屈そうな顔で要に言ってくる。要はゲームをさせて黙らせようとしたが、あることを思い出した。
「そっか。ゲーム出来ないんだっけ」
そう。今異界大戦はメンテナンスの最中なのだ。その間はゲームが出来ないだけでなく、ゲーム内でのギルドメンバーやフレンドとの連絡も取れない。
「都は既読スルーしてるし、想に送ると都がうるさそうだし、私達だけしか休みじゃないのかな」
要が代わりに想にメッセージを送っても良いが、要も都の相手は辛い。それに万が一、二人と合流するとなると彼等に気を遣ってしまう。
「じゃあ、二人で飲む?」
「たまにはどっかに出かけたい」
飲んでばかりではイヤだと目で訴えて来ている。
要は困った。エスパーダを隠しながら、遊べる自信がないのだ。現代は監視カメラばかりでどうやっても映ってしまう。もしバレたらと思うと、気が気でない。
「ダメ?」
エスパーダは甘えたような声で聞いてくる。
ここで無理だと突っぱねてしまえば、二人の世界はこの部屋だけになってしまう。二人の可能性を広げるためにはやるしかないと要は思った。
「行こうか」
「うん」




