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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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65ダンジョン攻略~解除して繰り返す


そうこうしているうちに、偵察に行っていたリュシーさんとマルセルさんが戻ってきた。

二人のマントの陣はやっぱり消えてしまっている。


「残念なお知らせしかないんだが…」


マルセルさんがこの短時間でマッピングしたところを見せてくれた。


「この階層の仕掛けの一部らしいものを見つけた。24階層なみに時間がかかりそうだ」


マルセルさんが取り出したのは、手のひら位の大きさの、平べったい、複雑な形をした石で、その表面には模様が彫り込まれていた。


「ぎゃあ!このタイプか!」


オルガさんがものすごく嫌そうな顔をしている。


マルセルさんが話している間、僕が出した氷水を一気飲みしていたリュシーさんが、ようやく生き返った、という顔で「階層の広さも、24階層より絶対に広いよ」と付け加えた。


げんなりしているベテランのなかで、一人ピンと来ていない僕のために皆さんが教えてくれたことによると。


24階層も、まずは全てのマッピングを終えて、どこにどの形のボタンがあるかを全て把握してから、ヒントの石碑が現れて、そのヒントにのっとって、階層のあちこちに散らばっているボタンを、行きつ戻りつしながら押して回った。

途中で何度もザコ魔物…といってもかなり強いんだけど…を倒しながら。


で、こういう模様のある石の場合、どこかに台座があって、階層中に散らばっている同じような石のかけらを集めてきて、パズルを完成させる…というパターンと、石が鍵の役目を果たしていて、鍵をはめ込むことで先に進めるようになったり、新しい鍵が手に入ったり…というパターンが多いらしい。


そして、そのどちらの場合でも、階層をくまなく歩きまわらなくてはならない、ということが共通している。


マッピングが完了してしまうほどに、あちこちに散らばっていて、この辺りは行かないまま終わったね、ということはないのだそうだ。


「この階層を、この熱さの中、くまなく、ですか…」


僕も鼻の頭にしわが寄る。


ふと。マルセルさんの手にしている石に彫られている模様が気になった。


「僕も触って大丈夫ですか?ちょっとその模様が気になるんですが…」


すぐにマルセルさんが僕に渡してくれたので、僕は顔に寄せてみたり、少し離してみたり、向きを変えて見てみたり…色々試しているうちに、思いついて、その石に軽く魔力を流してみた。

すると、複雑な模様の一部だけが光るように浮かび上がった。


「んん?なんでしょう、この模様…」

僕が石を見せると、皆も興味津々で覗き込んでいる。


「なんと、そんな仕掛けがあったとは…」


「その形…なんか見たような」


マルセルさんが、今しがたこの辺りをマッピングしたマップと浮かび上がった模様を見比べた。


「あら!こことここ、もしかして対応してる?」

リュシーさんもマルセルさんとマッピングをしてきたので、すぐに気が付いたようだ。


「多分そうだよな…この浮かび上がった模様は、この辺りの地形と、この線はこの階層のスタート地点からこの石があった台までのルート。ということは、もう一つのこの線はきっとこの石をはめるか何かする場所へのルートだろう」


僕が見てもピンとこないけど、マッピング上級者のマルセルさんの目には、そう見えるらしい。


「カミーユ…済まないが…」


ギーさんに眉を下げられ、言いかけられたことを察する。


この階層のトラップが炎以外にもある可能性もあるし、リュシーさんは外せない。

マッピング上級者のマルセルさんに行ってもらうために、もう一度この二人に耐熱の魔法陣を念写して欲しいということだ。


僕は熱くないところで待つだけなのだから、精一杯長持ちするようにと祈りながら、陣を念写した。


2人を見送って、また僕は一生懸命に食べる。


こんなときに不謹慎だけど、もうこういう保存食に近い食べ物ばかりは飽きた…手の込んだ煮込み料理とか魚のパイ包みとか、帰ったら食べたい…って自分で作るしかないけど。

いや、たまにはブノアやフレデリクに甘えてもいいかな。


ロザリー、何食べてるだろう…それよりもそもそもちゃんと食べてるかな、研究所にいるときは食堂があるから大丈夫だろうけど、休みの時は食べて無さそうだよな…。


僕がもぐもぐしながらぼんやりしていたら、急にこの辺りに充満していた熱気を感じなくなった。


「ん?」


チーズを口にくわえたまま、辺りを見渡すと、炎の噴き出しがこの辺り周辺には起こらなくなっていた。


「あの二人が何かしてくれたんだろう。とりあえず、戻ってきて報告してくれるのを待とう」


ギーさんに言われて、僕は食べながら頷いた。

そんなに待たされることなく、二人が戻ってきた。


「やっぱり、あの線は、この周辺のマップで間違いなかったし、スイッチの場所を指し示していたよ」


マルセルさんが、水筒の水を飲み干してから教えてくれた。


「あの石をはめ込んで押すと、炎の吹き出しが止まったの。で、戻りながら確認したけど、この石の形が、炎の吹き出しが止まっている範囲の形になってるのよ」


マルセルさんがマッピングをした場所と、石の形を合わせると、確かに同じ形に見える。


「この石がはめ込まれて取り出せなくなるタイプではなかったので、最終的にはめ込む台座があるだろうと判断して持ってきた。それに、石を持って来ても炎の吹き出しが再開することも無かったしな」


「じゃあ、もうこの結界を解いても大丈夫?」


「おそらく…ただ、もしよければ俺たちが休息し終えるまで、念のためにそのままにしてもらえないだろうか?」


「もちろん大丈夫ですよ」


結界を張っているのは僕なので、僕の負担を考えてくれたようだ。

確かにこの階層に来てからずっと食べている。

それだけ、魔力を消費し続けているのだ。


結局、一度炎の吹き出しのスイッチを切ってしまえば、その区画は灼熱地獄ではなくなることがはっきりして、熱くないところを拠点にしては新しいところを探索、マッピングをしては石を探し、石の模様に導かれてスイッチを切って…をひたすらに繰り返した。


「これさ、石に魔力を流すとヒントの線が浮かび上がるってたまたま気が付いたけど、気が付かなかったらあの灼熱の中を探し回ってスイッチの場所見つけ出さなくちゃならなかった訳でしょ。一個目から気が付いて良かったよね」


「ほんとだな。初期に炎の噴きだしを切った辺りは床や壁も冷えてきて、いい拠点になってるし」


この階層は、模様の付いた石を使って炎のスイッチを切って回って先に進む、ということの他に、案の定というか、この階層のほぼ中央にある、最終的にはボス部屋になるのではと皆が感じている部屋に台座があって、そこにパズルのように石をはめ込んでいかなくてはならなかった。


そのボス部屋の台座に全ての石をはめ込んだら、ボス戦ではなくて、遠くの方で重い音がして、迷路の形が変わっていた。

そして、まさかの灼熱地獄も再開していた。


なので、その後は炎のスイッチを切っては、台座に嵌め、また新しい区画に進めるようになり、灼熱の中石を探して…をまた繰り返した。


「もうさー、忍耐を試されているような気がしない?」


「拠点が作れているからいいものの、もう5日もかかってるからな…」


23階層でのときのように、ボスが急に、ということは無いだろうというのが予測できているので、難易度は高いままでも単調な繰り返しに、リュシーさんは嫌気がさしてきているらしい。


灼熱の中石を探しに行くのはいつもリュシーさんとマルセルさんで、僕は二人に耐熱の陣を念写して、その後はひたすら食べて回復。


ギーさんアランさんオルガさんは、じっと二人が戻ってくるのを待っている間に、襲ってくる魔物がいたときに対処する係だ。


もちろん6人そろって石を嵌めに行くなどの移動中の戦闘も、ギーさんとアランさんに積極的に倒してもらって、僕やマルセルさんやリュシーさんは極力魔力を使わないようにしていた。


そして、6日目になってようやく最後の石を見つけ、炎を止めると、中央のボス部屋に向かった。


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