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青い春は僕に微笑む  作者: 久遠永遠
人見知りじゃなければ……
2/2

クラス発表日

 「ついに高校生か……」


 俺の頬はいつになく緩んでいることを感じた。


 昨日をもって、春咲中学校を卒業した俺は、推薦枠で明星高校への入学を確定させていた。

 春咲中学校を卒業し明星高校に入学するのは計4人。幼馴染の里山小春と遠山和樹、中学で知り合った竹中香織、そして俺。

 同じ部活であることをきっかけに関係を深めていった俺らは、いざこざもなく今日までもこれからも平穏に過ごしていく。


 ‘優馬くん、出発の時間だよ。蟹座の運勢は小吉。ラッキーアイテムは折り畳み傘。今日も明るくいってらっしゃい’


 リビングから聞こえてくるアラームは、機械らしい単調な声を上げながら、学校へ行くのを促してくる。

 いつもなら星座占いなど気にしないが、今日はクラス発表があるものだから小吉という中途半端な運勢に少しばかり気落ちした。


 『どうせなら……大吉にしろよ!』


 思わず口に出してしまいそうだったが、既に決まった運勢には抗えないので心の中で思っておくことにする。


 「はぁ、いってきます……」


 俺は既に済ませておいたリュックを背負って、家主のいなくなった家を後にした。


 ―明星高校めいせいこうこう


 「…………」


 唖然とした、いや……当たり前のことだ。

 クラス表が貼り出されている全学年共通の生徒昇降口ば新入生の群れで、蟻一匹すら通れないほど埋め尽くされていた。

 俺は人の群れが解散するまで、隅で待つことにした。


 「おーーい、ゆうまーー!!」


 そんな俺を遠くから見つけたのだろうか、工藤健が馬鹿でかい声で俺の名前を呼ぶ。

 俺は、人見知りだと自覚している。そんな俺でも対等に話しかけてくる健は小さい頃からの親友であり、幼馴染だ。


 「おは、健」


 「おっす、優馬。今日のクラス発表楽しみだな」


 「あ、でも優馬は人見知りだったよな。同じクラスだといいけどな」


 「ああ、そうなることを祈ってるよ」


 相手の些細なことに気付く健は、いつでも俺の心配をしてくれる。

 俺が女子ならすぐに落ちてしまいそうなほどの優男で顔も一級品だ。


 「俺が見てくるから、待っとけよ」


 そう言って、気持ちばかり減った人混みの中に紛れ込みにいった。

 紛れ込んで数分後、勝ち誇ったような顔をして出てきた健を見て、心の中で喜んだ。


 「俺らは一緒だったけどな、女子組は違ったぞ」


 ただ、幼馴染の中村楓と同級生の竹内香織とは違うクラスということに落胆したのは言うまでもない。

 とりあえず、クラスを知ることが出来た俺は健と一緒に教室へと雑談しながら向かっていった。

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