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いずれ神に至る物語  作者: eyun
第一章:プロローグ
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異常な7歳児と本質

帝歴343年9月17日


 昨日はホントよく寝た。

 人生の中であれほど寝た日はないと言い切れる。

 あれからケイは明朝家に着いた。

 途中で魔物を狩って、自分で料理して夜は済ませたが、朝は何とか家で食べることができた。

 家族はケイが一日中帰って来なかったことに誰も触れなかった。

 ケイも家族の誰にも、あのケイの人生に大きく影響を与えた出来事を言っていない。

 手にした秘伝書は部屋に隠している。

 まぁケイの部屋に入って来る奴は誰もいないが。

 おかげで、掃除等はすべてケイが行っている。


 そんなこんなでケイは改めて、あの遺跡のあった、広大は広場にやって来た。

 もちろん『葬送流剣術』の秘伝書を読むためである。

 出来れば真髄たる型を使ってみたいが、絶対に1日じゃ使えないので、今日は型の訓練をしたいところだ。


「なるほどね。『葬送流剣術』には型が10個あるのか。多めだな」


 それぞれの流派の武術には必ず型がいくつか存在する。

 その中でも10個は多いほうだ。

 大概は6、7個に収束するものだ。


「これが、手紙の主の言っていた、方向性が定まっていないということか。ふぅん、確かに型の内容を見ても、方向性がバラバラだな。ある意味万能とも呼べる」


 流派にはそれぞれテーマが設定されているのだ。

 例えば、三大剣術の1つである『イルヴァルド流剣術』では『スピード』だ。

 かの剣術をでは速度が何よりも重視される。

 そのため、型の方向性はあらゆるものの加速に決まっている。

 他流派も同じように方向性がある。

 だから、武術士は多くの流派を修め、どの場面にも対応できるようにするのだ。

 あるいは、1つの流派を限界まで高める、このどちらかが求められるのだ。

 しかし、この『葬送流剣術』は方向性が定まっていないがために、この剣術1つで様々な場合に対処できる。

 これが強みのようだが、逆にどこの方向性をとっても、いずれかの流派には劣るという意味でもある。


「いや、違う。この著者は武の頂きを目指していたんだ。だったら、『葬送流剣術』の型は、著者が選び抜いた各方向性の極みと言えるんだ。だから、真に万能がゆえに習得が難しいんだ」


 ケイは『葬送流剣術』の本質を考え、改めて型の内容を精査していく。

 確かに万能だ。その上難しい。


「ん?何だ?最後の型だけ、名前しか載ってないぞ。おいおい、俺は『葬送流剣術』のすべてを継ぐって決めたのに載ってないってひどくね」


 最後の型の名は『葬送』。

 名前からして最強の型のようだ。

 それが名前しか乗っていないということは、自分で見つけろということか?とケイは考えた。


「上等だ。だったら見つけてやる。俺はすべての型を覚え、そして、『武神(マルス)』になる。いいね、いいね。人生の指針が出来てきた!家を出たい理由が増えちまった」


 ケイは決意を新たに、早速『葬送流剣術』の訓練を始めた。

 家をいつ出るかわからないが、そのときまでにできる限り型を取得しておきたい。

 すべての型を習得できるとは限らないが、ケイはすべて習得すると決めたのだ。

 秘伝書には習得までのプロセスが載っている。

 これが秘伝書の強みだ。

 しかし、秘伝書は一人しか開けることが出来ないため、秘伝書を引き継いだ者が、他の者を指導することで、各流派が形成されているのだ。

 ケイがこの剣術を極めたら、誰かに剣術を受け継がせるかは、まだわからない。


 この時、運命はまだ定まっていなかった。

 

 


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