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嫌われ者の自分が、HP5000の美少女に転生した。  作者: 御狐
第三章 試練と聖戦
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第57話 憑依、不完全な同調…。

今回の御話は2300字程度あります。

 嫌な夢を見た。

あのサディに痛めつけられて、まるで玩具のように乱暴に扱われ、苦痛に喘ぐ自分の姿を見る夢だ。

あの時の恐怖を思い出すだけではなく、あの時の自分がどれだけ醜悪で滑稽だったのかを客観視させられるのはこの上ない辱めだった。

私は改めて考えた。どうしてこんな目に合ったのだろうかと、原因を自分なりに探ってみた。

最初はサディがただただ私を憎んでいたからだと思い込んでいたが、どうもそれだけじゃないように感じる。

あれは間違いなく本人の私情だけではなく、多数の総意の結果のようにも感じた。

それだけじゃない、私は完全な別組織からも狙われていた。


そう、生命の信仰者だ。


私をこの世に産み落とした神を信仰するあの白装束集団は、なぜか私を必要としていたように感じた。

まるで、私のことをこれから開けるべき扉に必要な鍵のように、私に執着しているように感じた。

そして、私はあの時聞き流したけど…シルミアが言った神の器計画と言うのが関係しているのだと、私は何となく察した。

けど、器と言うモノが何なのか、それと私が何の関係があるのかがわからない。


いや…。なんとなくは察してるけど…それを認めたくなかった。


私は嫌なことに目を背けた。あの時みたいに、砂時計に触れた時に聞いた声をみんなに伝えなかったように、私は不都合な事実を心の奥深くに封じ込めて隠ぺいしようとした。

そして再び忘れようと、目を閉じて夢を見ようとした…その次の瞬間。


「チカラガホシイカ?」


声が聞こえた。そう、夢を見た後に聞こえるあの不気味な声だ。

あの時みたいに誰かが語りかけてきた。

「チカラガホシイダロ?オマエハ…ムリョクダカラ、ワレラノ…ケンノウヲホッスル。」

その声は傲慢にも、私のことを無力だと決めつけてきた。

「…前も言ってたけど、人のことを無力とか勝手に言わないで。」

私はその声に答えた。

もっとも私の回答は、勝手に決めつけられたことへの嫌悪であったが、しかし、私がしっかりとした意思を持って反応した事がこの声たちにとっては良かったのか、饒舌に返答した。

「ジジツデアロウ?オマエハムリョクダ。カミノセイヤクニヨリ、オマエハ…ツルギヲモチ…マモノドモヲカルコトガデキナイ。ソノキヨラカナカラダハ、オゾマシイグシャドモヲヒキヨセルダケデ、ホンライノヤクメヲマットウスルマエニ、ジュンケツヲ…ソウシツシテシマウダロウ。」

その言葉は悪意を感じない純粋な罵倒であった。

まるで、正論を言って大人を怒らせる子供の発言のようであった。

残酷なまでに冷静で、的を射てる言葉であると、直感的に感じた。

しかし、私はできた人間ではなく…幼く愚かな子供であったから、その正論に怒りをあらわにした。

「うるさい!私のことを勝手に言って…!なんで戦うって前提なの?別に戦う必要なんてないのに、そんなことを私に求めて何になるっていうの?!」

「オマエハ、マエニ…シレンニイドムト…ジブンデイッタダロウ?ソノクチハ…ウソヲハクタメノモノカ?シンセイナルクチビルハ…ワレラノヨウナ、アワレナザイニンニ、ヤスラギヲモトメルタメノモノダ。ソノインショウヲオマエノ…ミニクイセイシンデケガスナ。」

「勝手なことを言って!大体、お前達は何なの?どうして私にだけ言葉を投げかけて来るの?」

悪態を突きながら聞いた私の疑問に、その声はあっさりと答えた。

「ワレラハ、スクイヲモトメルモノ。ソシテ、オマエハ…ツミヲノミコムモノ。」

この声が救いを求める者で、私が罪を飲み込む者?いったい何を言っているのか訳が分からなかった。

しかし、思考が追い付いていない私を置いてけぼりに、声は続けて言葉を投げかけて来る。

「オマエノ…ナマエヲ、イエ。オマエノ…ナマエヲ…カタレ。」

唐突に声は、私の名前を訪ねてきた。

なんでこのタイミングに名前を要求されたのか、その理由を知らなかった私は素直に答えた。

「名前…私の名前はミカだよ!…そんなこと聞いて何になるの?」

そう、私の名前はミカだ。…前世の名前を応えろとは言われてなかったから、今世の名前で答えた。

しかしどうやら、私の名前を聞いて声たちが満足したようだ。

「アア、ヨウヤクダ…コレデ、ヤット………」

目の前にボロ切れを纏った影が現れた。

その影は私の体を押さえつけて、その漆黒なる顔で覗き込んできた。


その顔は深い奈落ように、底と言うモノがなかった。


全てを飲み込んでも満たされることが無い、深い深い底なし沼のようだった。

その口はまるで積年の苦痛でうがいをするかのように、ゴボゴボとヘドロのような闇を吐き出していた。

吐瀉された闇と共に、歪んだ言葉が紡がれて、確かに私の耳まで届いた。

「……オマエノ、ソノ………体を…ヨうヤク使うコとができル!」

そして、真っ黒な影が私を抱擁して飲み込んだ。

闇に溺れる私は恐怖と苦痛を訴えながらもがき、その漆黒なる奈落に堕ちていった。

………。

………………。

 目を覚ました私は、きょろきょろと周囲を確認した。

殺風景な部屋と小さな少女わたしのカラダが目に入った。

少女は自身の身体をその柔らかい手と繊細な指で触りながら、肉体の存在と感触を確認した。

夜の闇に浮いた純白の髪を手で掻きあげて見せて、月明かりの覗く窓の外を見つめた。

そうして何かを求めるように、小さな手を夜空へと伸ばして、またすぐに下に下ろした。

「ああ、久しぶりだ。俺の名前は…アドリー=インモラルシス。ふふふ…。数世紀ぶりの光だ。あは…あはははははははははははははははは!!!!!さあ!役目を果たしてもらうぞ!?純粋なる器よ!!ははははは!!!」

そうして新しい名前を高らかな笑いと共に名乗った少女は、ナイフのような鋭い目を赤く爛々と輝かせた。

この暗い森に少女の狂ったような嘲笑が、小さく…だけど芯に響くように重く木霊した。

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