第32話 ミカと…可愛い下着…。
今回はちょっと萌え?な感じの話にしました。
クール系メイドと見習いメイドの可愛らしいお話をご堪能下さい♪
長い時間、馬車の荷台で揺られていると、アンリが顔を見せた。
「おっさんが今日はもう休むって言ってるぜ!…もう少しで降りるから、寝てたら起きて準備しろって言ってるぜ!」
「……休憩ですか。…わかりました。」
マリアが丁寧に軽くお辞儀をして、私の肩を優しく叩いて知らせてくれた。私は読んでいた本をポーチに入れて、マリアに「わかった。」と応答の言葉を軽く伝え、その言葉に続けて「ありがとう…」と感謝の言葉をさり気なく言った。
馬車が少しずつ減速していき、窓から見える景色の流れもゆっくりになっていった。馬の鳴き声とともに、馬車が止まり、コロロが真っ先に壺を掲げながら外に出た。次にマリアが鞄を持って、コロロの後に続いて外に出た。私も出遅れないように慌てて外に出た。
外に出るとハローが、車輪と地面の間の隙間にレンガのような物を置いていた。恐らくはストッパーのつもりだろう。その間にアンリとマリアが、テキパキとテントみたいなものを建てているようだ。…そして、少し離れた所で、コロロが壺の中身を地面に撒いていた。空っぽの壺に手を突っ込んだと思ったら、コロロが何かの呪文を呟いた。
「魔の水よ~今一度アタイの為に具現化し~目の前の敵を濡らせ~(ウォータースプラッシュ)。」
すると、パシャンと水が炸裂する音がした。コロロは壺に蓋をして上下左右に振り、中身を再び地面に撒いた。そしてもう一度壺に手を入れて、全く同じ呪文を言った後、私に向かって手招きをした。
「………?……なに…?」
私は近づきながら、コロロに聞いた。するとコロロは私の太股のあたりを見ながら、にやけ声で囁いた。
「パンツ、脱いじゃって~。一緒に洗うから~!」
「……ふぇ?!」
とんでもない言葉が聞こえて、一瞬変な声が出てしまった。いったい何の冗談だろうと思ったが、コロロは続けて聞き捨てならないことを言った。
「ふえ?じゃないよ~!ミカたん~洗っておかないと~染みるよ~?」
そう。染みるというのは、色とか臭いだ。何の事かは、あえて言わないし考えない。だけど、染みて良い事は無いし、何よりこの下着はマリアから借りた物だ。これ以上、汚すわけにはいかない。
私は仕方なく、ショーツを脱いでコロロに渡すことにした。少し顔を赤らめながら、震える手でショーツを下げて、左足から脱いだ。脱いだショーツから、ほんの少しだけツンとするような香りがしてかなり恥ずかしくなった。私はコロロに、脱ぎたてのショーツを渡した。
「………はい…」
「ん~ありがとね~!…うん、芳醇な~おしっこの臭いだね~♡」
「………!いいから…!早く洗って…です…!」
私は今までにないほど、顔を赤くさせた。恥ずかしさのあまり、顔から湯気が立ちそうだ。
「あっはははぁ~!ごめんね~!ミカたんをイジるのが楽しくて~ついつい、やりすぎちゃいそう~♡」
そんな私を見てコロロが陽気に笑いながら壺の中にショーツを入れて、揉み解すように手洗いをする。
「~♪」
何かの歌を鼻で歌いながら、上機嫌な様子で洗っている。
「~♪……あ!そ~だ!アタイ~良い事思いついた~!ねえ~ミカたん~!いいかな~?」
コロロは何か閃いたようで、ちょっと興奮した様子で私に声を掛けた。
「なんです…か…?」
「荷台の方に~服がいっぱい入っている~籠があるから~それ持ってきて欲しいな~!」
「私…ですか…?」
「うん~!嫌だったら~マリアにでも頼むけど~…」
「…わかり…ました…。持って……きま…す…」
私はコロロの頼みを聞くことにした。馬車に乗せてもらったうえ、私の…その…いろいろサービスしてくれたコロロの頼みだ。これくらいのことは断れない。私は籠を取りに荷台まで走った。
フワッ
一瞬だけ、風でスカートが捲れてしまい下半身が見えてしまった。けど、たぶん誰にも見られていないはず。そう思った次の瞬間。
「はわ…………ミ…ミカ様…」
「………!マリアさん…!」
たまたま、荷台に道具を戻してきたマリアと鉢合わせになっていた。マリアは頬を赤く染めて、耳元で囁いた。
「なんで下着を脱いでいるのですか…?!はしたないですよ…!」
「え…!?あぅ…ち…違う…えっとその…」
マリアからの真面目な指摘に私は弁明しようとしたが、羞恥心のあまり言葉をごにょごにょと濁してしまった。うまく言う事ができない自分に対して、さらに恥ずかしくなり、同時に少し嫌悪感を抱いた。顔を赤らめてもじもじする私を見たマリアは、何かに気付いたように小さな声を漏らして私に囁いた。
「大変言い難いのですが………ミカ様…もしやそのようなご趣味が…?」
「違うから!…あ、ごめんなさい…下着は…今、コロロちゃんに…あ…洗って…もらってま…す。から、穿いてない…だけです…」
あらぬ誤解が生まれそうになり、私は焦って大きな声を出してしまった。
すぐに謝ったけど……どうしよう…マリアさん…怒ってないかな…?
私は不安な気持ちで、マリアの反応を待った。
「そ…そうですか…。ご無礼な発言をしてしまい…申し訳ございません!」
マリアは焦ったような表情で、頭を勢い良く下げて謝罪をした。
無表情なマリアが感情の表れた顔をしていて、ちょっとだけ驚いた。けど、怒っていないようで安心した。それと同時に、申し訳ない気持ちにもなった。
「そんな…あ…頭を下げる程のことじゃ…!そこまで…気にしてないから……上げて…ください…!」
「は…はい…わたくしの無礼をお許し下さり、ありがとうございます。…しかし、やはり下着は穿くべきです!」
頭を上げたマリアは、少し頬が赤くなった無表情の顔で、私に穿くように促してきた。マリアの言う通り、下着は履くべきである。防御力が下がってしまうし、何よりすごく恥ずかしい。私の前世では、これに快感を覚える猛者がいるらしいけど…あいにく、私はそうじゃない。今すぐにでも、何かを穿いているという安心感が欲しい。
「そう…ですね…でも、どうしよう……下着…持ってないです…」
「その事についてはご心配いりません。わたくし…5日分の着替えを持ってきております!荷台の方に置いてありますから…わたくしについてきてください。」
そう言ってマリアは、荷台の中に入っていった。私も一緒に入った。そして、荷物の山の中に衣服が入った籠を見つけた。私は籠を回収してマリアの方を見た。マリアは、床に5枚のショーツを並べていた。
左から順に、青いクローバーの柄が描かれた女児向けのショーツ、青いリボンとレースが特徴の白のショーツ、ピンク色の薔薇?の絵が描かれた少し子供っぽいショーツ、赤いリボンをこしらえた純白のドロワーズ、そして、水色と白の縞々ショーツ。
どれもなかなか個性的で、可愛らしい。中世には絶対なさそうな下着だけど…まあここは異世界だから、あまり気にしないことにした。
「この中から、お選びください。…わたくしの下着ですので、ミカ様の体型にも合うはずです。」
「こ…この中から…ですか…」
私は頭を悩ませた。どれも可愛くてお洒落だから、かなり迷う。
青いクローバー柄のショーツはデザインと下着のタイプが子供っぽいが、ちょっと私に似合いそう。別に自惚れているわけではない、私って体型もそうだけど雰囲気が幼いから、こう言う子供っぽい下着も悪くないと思う。
青いリボンとレースで飾られた白ショーツも悪くない。可愛くて大人っぽい。ただ、私が穿けばなんとなく、マセているように見えそう。でも、それも個性として見てもらえば…良いかも。
ピンク色の薔薇が描かれたショーツは…悪くはないけど、全体的に子供っぽ過ぎる気がする。マセた女の子とかがこういうの穿きそう。でも、こういう感じの下着も…ちょっと穿いてみたいかも。
赤いリボンが付いたドロワーズはシンプルで良い。それにこの世界の雰囲気にも合っている感じがする。だけど、デザインが他と比べてシンプル過ぎる気がする。…けど、このタイプの下着は穿いた事ないから、穿いてみるのもありかも。
白と水色の縞々パンツ…私の前世では、ストライプ柄とかボーダー柄とか言われていた柄だ。どういう訳か、水色の髪の毛をツインテールにした女子高校生が連想された。その娘は確か…私の前世の高校の先輩だった気がする。確か水野爽汰って名前だった気がする。
なんで先輩が連想されたのかな?先輩がいつも穿いているニーソックスが印象的だったからかな?
…まあどうでも良い事かな。…この下着は、正直私には合わなさそうな気がする。こういう下着はあざとい娘が穿くイメージがある。………でもやっぱりこういうのも一回、穿いてみたいかも。
どれも可愛らしくてどれも良い。だから…とっても悩む。
どれが一番…私に似合うかな…。
そう心の中で呟いた瞬間、私は唐突に我に返った。
可愛く着飾りたいなんて、前世では一度も抱かなかった感情なのに、私は年頃の子みたいに…おしゃれを意識している?私は、こういうのに無頓着な男子高校生だったはずなのに…どうして?
悶々としていると、マリアが私に声をかけた。
「あの…ミカ様。大変、言いづらいのですが…は…早く…お選びください。………恥ずかしい…です…」
マリアは少しだけ頬を赤く染めて、恥ずかしそうに目線をそらした。そう、この下着は全てマリアの下着だ。いくら同性とは言え、自分以外の人に下着を見られるのは嫌だろう。それなのに私は、恥ずかしがるマリアに気づかず、下着をジロジロと見て勝手に評論をしていた。私は自分自身の身勝手さに嫌悪した。
「ごめんなさい…すぐに選びます…!えっと…えと…!」
申し訳ない気持ちと罪悪感に急かされて、下着を選ぼうとした。けど、緊張のあまり私は少しパニックになってしまった。そのせいか、視界が霞んで頭がくらくらする。気絶しそうになりながらも私は下着を選ぶ。ただ、どれがどれだか…混乱する私には判別できなかった。もう何でもよいと判断した私は、適当に指をさした。
「こ…これに…する…です…!」
震える声を絞るように言った私は、ゆっくりと目を閉じて、深呼吸をした。そして、目を開けて自分が選んだ下着を確認した。そして私は後悔した。なんと、私が指をさしたのは並べられた5枚の下着…ではなく…マリアだった。
「………。……え…?……………え?………わ…わたくし…?」
「あ……!い…いやえっと…えーと…あの…ち…違う…。ご…ごめんなさい…!」
「い…いえ…大丈夫です。わたくしに、お気を使わなくても良いですよ。…ミカ様の要望ですから…は…恥ずかしくは…ありません…!」
そう言ってマリアはスカートの中に手を入れた。「ん…」とちょっと色っぽい声を恥ずかしそうに小さく漏らした。
シュルッ…パサッ
少し布の擦れるような小さな音が聞こえたと思ったと同時に、マリアの足に何かが引っかかっていた。それは、白く肌触りの良さそうな生地をしていて、赤くて小さいイチゴの模様がたくさん描かれていた。それは、前に装備画面を見た時に名前だけ拝んだ…イチゴ柄のショーツだった。マリアは足を少し上げてショーツを脱ぎ、私に手渡した。
「え…え?…いったい…」
「ミカ様はこちらの下着がご所望なのですね。…確かにこの下着は、わたくしも気に入る程の素晴らしいのもです。ですからきっと、ミカ様もお気に入るでしょう。」
私がマリアの行動に狼狽していると、マリアが少し得意げそうに頷きながら説明してくれた。
どうやらマリアは、私がこのイチゴ柄ショーツを所望していると思っているようだ。
間違いだったと言って断るべきかもしれない。けど、マリアはわざわざこの場で脱いで渡してくれているのだ。ここで拒否したら、かえって可哀想だ。それに…こういうのも穿いてみたいと言う変な欲求もちょっとある。私はマリアのショーツを貰ってすぐにその場で穿いた。
「あ……す…すごい…これ凄く…穿き心地が良いです…!」
率直な感想を伝えた私は、下着の穿き心地に感心した。
肌荒れしなさそうな程、生地の肌触りが良い。そして何よりもぴったりフィットしている。サイズの違いによる違和感とかが無くて…本当に出来が良いショーツだ。私なんかが穿くのはもったいないと思える程に、素晴らしい穿き心地だ。
そんな私の内心とは裏腹に、かなり率直で語彙力の乏しい感想を聞いたマリアは得意げな表情になった。
「ふふんっ!……そうでしょう。この下着はなんせ、貴族の娘達の間で流行になるほどの物ですから!ミカ様もお気に入りになさるのも無理ないです!……。失礼、わたくしとした事が…つい興奮してしまいました。……やはり、わたくしもまだまだ未熟ですね。冷静に振る舞わないと…」
マリアは無表情になり、丁寧に改まった。最後の部分はよく聞こえなかったが、なんとなく自分自身を卑下にするような言葉を言っていた気がする。
「…マリアさん、もっと気楽に話したりしても…気にしませんよ…!私…マリアさんの…その…クールな所も…凄くかっこ良くて…素敵ですけど……楽しそうに振る舞うマリアさんも…好きですから…。」
気を使われるのはとても気分が良いのは確かだ。相手に大切に思われていると実感できて幸福感がわいてくるけど、それと同時に相手に気を使わさせている事に罪悪感も覚える。
気を使うのは相手の勝手でもあるし、気を使わせている私がこんな事を考えるのは不遜かもしれない。
けど…どういう訳か、マリアは何かを抑えているように感じる。その何かを知りたくなって、私はこんなことを言ったのだ。
マリアはキョトンとして、3回瞬きしたと思うと…いきなり顔を赤らめて、わなわなと震えだした。
「え…?あ……あ………今、す…って……言いましたか…?」
「え…?す…?私…何か…気に障ることを言いました…か…?」
私はマリアの逆鱗に触れるような事を言ったと思い焦った。謝罪の言葉を考えているとマリアが訂正をした。
「いえ!ミカ様は決して気に障ることは言っていません…!それにわたくし、メイドですからどのような事を言われようが決して動揺などしません!」
「そ…そうなのですか?…でもそれなら…なんで…動揺しているのですか…?」
実際、マリアは顔を赤らめてふらふらと危なっかしく立っていて、素人の私から見てもわかるくらい動揺している。私はそんなマリアの発言の矛盾を指摘した。すると、マリアはさらに顔を赤くさせ、震える小さな唇を動かした。
「そ…それは…ミカ様が……わたくしに……す…って言ったから…」
マリアは何かを供述しているようだが、声が震えすぎているうえ小さすぎるためよく聞きとることができなかった。
「え…?な…なんて言いましたか…?」
私は聞き取る為にマリアに顔を近づけた。すると次の瞬間!
「ひゃあぁ!?ミカしゃま!お顔がち…近すぎます…!」
小動物のような悲鳴を上げて、なんと顔を真っ赤にして倒れたのだ。
「マ…マリアさん…!大丈夫ですか…?!わあ…どうしよう……」
私は動揺しながらマリアの顔を覗き込んだ。顔はリンゴみたいに赤くなっていて完全に気を失っている。しかも、スカートが捲れている。マリアは私のためにショーツを脱いで渡してくれたから、ノーパン状態だ。だから…今、あまりよろしくないモノが見えかけている。私はマリアに配慮してみないようにした。
とりあえず、丸出しになっているから穿かせよう…
私は足元にあるボーダー柄のショーツをマリアに穿かせる。足を通してスルスルと上げた。
「もう少し…!」
「………何をしているんじゃ?」
唐突に男の嗄れ声が聞こえて私は素早く振り向いた。そこには、水色の派手な帽子を被った老人の頭が困惑した表情で見ていた。
「は…はろー…ハローおじ様…」
「なぜわしの名を二回も言ったんじゃ?…いやそれより…わしの馬車で何をしているのじゃ。」
「え…ええっと…ですね。これには深い訳が…」
まずい…変な誤解をされる。私は誤解を解こうと必死に言い訳を考えた。けど、それよりも早く、ハローが深いため息をして呆れたような目を私に向けた。
「はぁ~まあ良い。わしにはどーでもよい事だからの。それよりコロロちゃんがお前を呼んでいた。洗濯物まだ~っての。」
「そ…そうなのですか…」
「コロロちゃんを困らせるでない。コロロちゃんのおかげで、お前たちはわしの馬車に乗れるんだからの!」
「はい…!ごめんなさい…!すぐに行きます…!」
私はマリアに、コロロのポンチョを布団代わりに掛けてから、服が入った籠を持って荷台から逃げるように出ていった。誤解は…後でマリアに解いてもらおう。
御狐はもしかしたら変態かもしれない…と最近思い始めてきた。




