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帝国の現状 〜ジン~

 私は自分の部屋で、魔王軍の進行状況を確認をします。


「思っていたよりも早かったですねぇ」


 私の予想では、あと五年は動かないと思っていたのですが。もしかして、焦りましたかねぇ?

 そうであれば、どれほど良いことか。今回の魔王、相当頭が切れますからねぇ。


「大佐! 魔王軍を迎え撃つ準備が整いました!」

「場所は元王国の所だよねぇ?」

「左様でございます!」


 王国側は、レジスタンスの影響もあって、うまく兵を動かせません。やつらは、帝国よりも魔王を優先する可能性がありますからねぇ。


「厄介だねぇ」

「問題ありません! 魔王の軍勢はたかだか四万! それに比べ、我ら帝国は十五万であります!」

「それは甘い考えだよ、将兵君。例え数が少なくても、我々は何度も負けてるじゃないか」


 帝国軍は、まだ軍備の整っていない魔王を攻撃しようとして、何度も敗退しています。

 なぜなら、現魔王は我らの進行ルートを予想して、空と地上から同時に魔法の雨を降らせたのです。まったく、あの予測能力は大したものですねぇ。

 これにより、遠征軍の一割が死に、二割が負傷しました。こんなことを四回もやられているせいで、上からの命令で、遠征軍を出せなくなってしまいましたよ。

 そして今回、正面から四万の軍が進行しています。一体どんな作戦なのやら。


「現魔王が選定されるまでは、予定通りだったんですがねぇ」


 勇者を洗脳して手に入れて、先代魔王は王国を盾にして倒しました。そして、王国まで滅ぼしました。

 そうしたら、教国からは睨まれますし、現魔王の登場です。

 はぁ…… 私の順調な毎日はいずこへ……


「まあ、昔のことを考えても仕方ないですね。切り替えて、今のことを考えましょうか」


 私はコーヒーを一口飲んで、将兵君とともに部屋を出ました。


「…… にぃさん」


 部屋を出たところには、オリヴィアが待っていました。


「どうかしましたか?」

「……」


 オリヴィアは将兵君の顔を見て、黙ってしまいました。


「将兵君、持ち場に戻りなさい」

「はっ!」


 将兵君はなにかを察したように、自分の持ち場へ帰っていきました。

 彼が完全に見えなくなったところで、オリヴィアが話を始めました。


「…… 今回の魔王軍との戦争、また勇者を使うの?」

「ええ、それが勝つためには一番いいですからねぇ」

「…… そう」


 オリヴィアはそれだけを聞くと、早々に立ち去ってしまいました。やはり、仲間だった者たちを使うのは、気がひけるんですかねぇ?

 ですが、ここで勇者を使わなければ、おそらく負けてしまうでしょう。そのくらいギリギリの戦力なのです。


「なるべく、オリヴィアの意向は汲んであげたいのですが、こればかりは仕方ありませんねぇ」


 私は今回の戦争の大将として参戦するため、準備を始めました。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


「それじゃあ、行きましょうか」

「…… うん」

「「「「……」」」」


 馬車には、私とオリヴィア。そして、勇者四人組が座っています。

 勇者たちには洗脳をかけているので、オリヴィアが命令を下さない限りは動きません。

 無表情の四人は、まるで人形のようですね。まあ、その人形は私が造らせたのですけど。

 操縦士は、全員が乗っていることを確認し、馬車を走らせました。

 目的地は元王国の最東端。なんという領だったかは忘れましたが、確か剣闘祭が開かれていた場所ですね。


「…… にぃさん。私も戦場に出たい」

「それはいけませんねぇ。オリヴィアが死んでしまったら、洗脳が解けてしまいますからねぇ」

「…… 私は簡単には死なない」

「もしもの話ですよ。可能性にゼロはありませんから、大人しくしていてください」

「……」


 ここでオリヴィアを失ってしまったら、私の計画が台無しに…… いや、その前に私の心が折れますねぇ。

 そうなってしまえば、私は生きる屍となってしまうでしょう。そうやって、夢も叶えずに死ぬのはごめんです。

 さて、ここから最東端までは長旅になります。体に気をつけて行きましょうかねぇ。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 《位置関係》


 西から、帝都、王都、バレンタイン領、アバークロンビー領、魔王城となっている。魔王城が最東端。

 帝国の北側には教国がある。

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