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リベリオン 〜リベル〜

 朝日によって、俺は目を覚ました。


「んむ〜…… 朝か……」


 俺が起きると、部屋のドアが開いて金眼金髪の少女が入ってきた。


「おはようございます。リベル様」

「ああ、おはよう、シャル」

「朝ごはん、もう用意してますよ」

「わかった。すぐに行く」


 俺がそう伝えると、シャルは部屋から出ていった。

 俺は軽く伸びをすると、ベッドから降りて、ボロボロの廊下を歩いて食堂へ向かった。


「あ、おはよう、リベル」

「ん? おはよう、ヨハン。今朝は早いな」

「たまには早起きもいいもんだが、毎日日の出と一緒に起きるのはキツくないか?」

「習慣にすれば慣れるもんだぞ」

「やってみようかな……」


 俺とヨハンは、話をしながら食堂に入った。

 中には七人分の食事が用意してあり、既に五人は席についていた。


「なんだ? 今日はみんなやけに早いな」

「あなたが早く起きろって言ったんでしょうが」


 呆れたような顔で俺にそう言ったのは、アリスだ。


「そんなことはわかっているが、まさか俺より早いとは思わなかった」

「こんな時間に起きると、さすがのボクでもまだ眠いよ…… ふわぁ……」

「今日は大事な日ですから、眠くても我慢してくださいね、リューリクさん」

「いやあ、シャーロット君は手厳しいなあ」


 そう、今日は大事な日。もしかしたら、ここがターニングポイントになるかもしれない日。

 すると、突然誰かのお腹が鳴った。


「ギラン、お前意外と食いしん坊なのか?」

「たまたまだ」


 俺が問い詰めると、ギランは目を逸らしながら誤魔化した。


「…… お腹減ったし、早く食べない?」


 フィリップが料理を見て、我慢できなくなったかのように言った。


「お前もか」

「リベルさんだって、お腹空いてるでしょ?」

「まあな」

「それじゃあ、お二人とも席についてください」

「「はーい」」


 俺とヨハンが席に着き、食堂の椅子がすべて埋まった。

 それを全員が確認すると、おもむろに両手を合わせる。


「「「「「「「いただきます!」」」」」」」


 食事の挨拶をすると、みんな同時に料理を食べ始めた。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 俺はフクロウの仮面を顔をつけて、シャーロットに確認してもらう。


「これで大丈夫か?」

「ええ、似合っていますよ?」

「なんだその嬉しくない褒め言葉。というか、なんで疑問形なんだよ……」


 似合っているかどうかは別として、一応しっかりとつけられているらしい。

 顔にしっかりはまっている感覚を覚えて、俺は地下に向かった。


「お、来た来た。遅いぞ、リベル」

「悪いな、ヨハン。仮面をつけるのに手こずった」

「みんな、お前のことを待ってるぞ」

「少し緊張してきたな」

「気楽に行けよ」


 ヨハンは、俺の緊張を解くように笑顔を見せ、会場の扉を開いた。そこには、俺を迎い入れる大きな歓声と百人を超える人の姿があった。

 俺はステージの真ん中に立って、全員の歓声を浴びる。そして、おもむろに右手を挙げた。それと同時に、会場が一瞬で静かになった。


「みんな、よく集まってくれた。こうして立ち上がってくれたことに、俺は心から感謝している」


 そこで一度切って、周りを見渡した。みんなは俺に注目していて、誰一人として話を聞いていない者はいない。


「俺たちには夢があった。希望があった。明日があった。そして、今日があった。だが、それはもう過去の話だ」


 俺はそこで、もう一度みんなを見渡した。すると、全員が苦虫を噛み潰したような表情をしていた。


「五年前、俺たちは魔王と戦った。そして、その戦いに見事勝利した。十代目魔王は勇者によって討伐され、俺たちもそれに協力した。だが、その後、帝国はなにをした?」


 もう一度ここで切り、今度は先程よりも長く静寂を持たせる。こうすることによって、次の言葉に集中しやすくなるのだ。


「そう、帝国は、王国を…… 最前線で戦い続けた王国を背後から襲ったのだ! そして! 帝国は、我らが王国に自らの旗印を掲げ、こう言ったのだ! 『我らが最強の国である』と!!!」


 そこで、全員が涙を流し始め、帝国への罵声が次々に飛び交った。


「そして、帝国は我らに重税を敷いて、我らの生活をも潰そうとしている! そんなことを許してなるものか!! 王国の土地は我らの物! 十一代目魔王が動き出した今こそ! 我らの王国を取り戻す、最大のチャンス! これを逃す訳にはいかない!!!」


 俺の言葉に共鳴するように、みんなの声援が会場に響き渡った。


「さあ、皆の者! 俺についてこい! 俺が皆を、楽園へ連れて行ってやる!!!」


 さっきよりも大きな歓声が会場を揺らす。全員が俺を見て涙を流し、自分たちに役目が与えられたことを喜んでいた。


「我が名はリベル! そして、我らが名はリベリオン!! 我らは、帝国を落とす者なり!!!」


 さあ、反乱を始めようか。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 《リベリオン》


 元王国兵で作られた反乱軍。総勢千人。

 リベルやリューリクの護衛による指導により、一人で魔族と渡り合える程の実力を兼ね備えている。


 《帝国》


 わずか五年で、魔物を操ることのできる十代目魔王を、王国を前線に配置して疲弊させたのちに倒し、その後、王国をも滅ぼした。

 現在、勇者一同を手中に収めている。

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