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もう一つ

 その時、俺の意識の中に一つの光が現れた。


『それでいいのか? そうやって諦めて、仕方ないと言い訳して』

「誰だ…… お前は……?」

『私は貴様で、貴様は私だ』

「お前は俺で…… 俺はお前か……」


 なぜか、その言葉は、俺を納得させるのに十分な力を持っていた。


「俺は…… どうすればいいんだ?」

『復讐しろ』

「復讐……」

『悔しくはないのか? こんなにボロボロに負けて。妬ましくはないのか? あの男に、愛する人を連れ去られて。憎くはないのか? 愛する人に裏切られて』

「悔しい…… 妬ましい…… 憎い……」

『そうだ! お前はジンが、そしてオリヴィアが、お前を裏切った人間が憎いんだ!』

「憎い……」


 俺は…… 憎い。オリヴィアが、俺を裏切ったすべてが…… 憎い!


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


 俺が意識を取り戻した時、他のメンバーは脱力していて、操られているようだった。

 こいつらも…… 洗脳されて、俺を裏切るのか!

 俺はジンを正面から見据えた。


「ん? おかしいですねぇ。確かに洗脳されていたのですが……」


 俺は剣を抜くのも忘れ、爪を立ててジンに襲いかかった。


「ガァッ!」

「うおっと! 危ないですねぇ!」


 それをあっさりと避けられ、余計に腹がたってきた。


「ガァァッ!!」


 さっきよりも鋭く、そして激しく。ジンに向かって最短距離で攻撃を続ける。


『アルフレッド!』


 俺を呼ぶ声が聞こえた気がしたが、誰の声だかわからず、耳から抜けていってしまった。


「くっ! 流石は勇者の一員。魔法を使わせてくれませんねぇ!」


 ジンは、俺の顔に向かって蹴りを入れてきた。

 俺はそれを紙一重で避けて、足を掴み、思いっきり投げる。


「うお!?」


 ジンは壁に背中から激突し、動けなくなった。

 俺はそんな隙だらけのジンに向かって、思いっきり振りかぶって、顔面にパンチを入れようとした。だが、それは目の前に立ちはだかったオリヴィアによって、一瞬止められた。


「…… 待って!」


 俺は必死なオリヴィアを前に、一瞬だけ止まってしまった。

 だが、その顔を見て、再び激しい憎しみが湧いてきた。俺はその感情に身を任せ、もう一度拳を振り上げた。だが


「オリヴィア、よくやりました!」


 俺が一瞬止まった隙をついて、ジンは魔法を発動させた。

 危機を察知した俺は、全力で横に飛ぶことで、ジンの魔法を回避した。


「ちっ! すばしっこいですねぇ!」


 俺はジンに向かって突撃し、顔に摑みかかろうとしたが


「…… 〈トルネード〉」


 オリヴィアの発動した、上級の風魔法によって防がれてしまった。

 俺の体は、魔法によって宙に浮き上がり、竜巻によって回転しながら、かまいたちで傷をつけられる。

 あまりの回転に三半規管を完全にやられて、途中から、自分がどうなっていたのかわらなくなった。

 俺は魔法が終了すると、重力引かれて落ち始め、なにか冷たい場所に頭から墜落した。


『アルフレッド!』


 呼吸ができず、もがいている俺に向かって、金色の光が飛んでくる。だが、その光を、俺の首元から出現した黒い光が遮った。

 何度も弾かれあった末、金色の光は俺の体を包み込み、それに包まれた俺は、心地よい気分で気を失った。


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


「まったく、なんですか、あの化け物は……」

「……」

「ふふ、まあ、一人くらいは構いません。この五人が手に入りさえすれば、あとはどうでもなりますからねぇ。さて、行きましょうか、オリヴィア」

「…… うん」


 最後に少しイレギュラーがありましたが、計画の変更はありません。ここからが、正念場です。

 ふふふ、私の夢、絶対に叶えてみせます。待っていなさい、現魔王。そして、ラント王国……

 ふふ、ふふふ、ふはははは!

このシリーズ、ついに執筆スピードが、投稿スピードに追いつかなくなって参りました。

そのため、今までは毎日投稿だったのを、不定期投稿に変えたいと思います。ただ、一週間に一度は必ず投稿するつもりです。

毎日投稿を楽しみにしていただいていた方には、本当に申し訳ございません。

今後とも『苦難の連続』をよろしくお願い致します。

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