ヨハンからの連絡
どうも、おはこんばんちは。あらすじ欄にリンクが貼れないことを知って、絶望した作者です。
悔しいので、名前と簡単な内容だけ書いて、ダイレクトマーケティングしたいと思います。
男が妖しい笑みを浮かべた瞬間、俺は身構えた。
すると、それと同時に、俺のポーチの中から連絡用魔道具の着信音が鳴った。
「そんなに警戒しなくてもいい。それと、出たらどうだ?」
男は、音を出しているのが連絡用の魔道具であることを見抜き、通信に出るように薦めた。
俺は、警戒を解かずにポーチから魔道具を取り出し、耳にはめ込んだ。すると、ヨハンの声が響いた。
『アルフレッド! 大変だ!』
「ヨハン? なにがあった?」
『帝国に潜伏していたリベリオンのみんなから、連絡が来たんだ! 帝国全土の地下に、大量の爆弾が仕掛けられているって!』
「な!?」
『それだけじゃない! 人形の謎の生物が、帝国中を歩き回っているらしい! 魔族でも人間でもないなにかだ!』
俺はそこまで聞いて、男の方を向いた。すると、男は満足そうな笑みを浮かべていた。
「ヨハン、優秀な者を連れて、今すぐ帝国に向かえ。人選はお前が決めていい」
『アルフレッドはどうする!?』
「俺はしばらくは教国にいる。帝国で落ち合おう」
『わかった!』
通信が切れ、辺りには静寂が流れた。
「…… 王国の次は帝国、その次は教国か?」
「それだけにとどまらん。周辺諸国、いや、この大陸にあるすべての国を滅ぼす。それがジンの目的だ」
その言葉に、この場にいる者すべてが息を呑んだ。
「なぜそんなことをする?」
「さあな、そこまでは知らん。俺は、国が滅びれば楽に稼げるって理由で、あいつに協力しているだけだからな。まあ、右腕を持ってかれたのは予想外だったが」
男が義手を触りながら楽しげに笑っていると、入り口から、聖騎士らしき人間が三人入ってきた。
「全員動くな!! 聖女ビューレがここにいるというのは本当か!?」
「え!? な、なんでしょう?」
「こっちに来てもらおう! ん? 面会は三人ではなかったのか?」
「おっと、これはマズイな。それじゃあ魔王、帝国で待ってるぜ」
男は部屋の壁をひょいひょいと登っていき、ガラス窓を割って逃げた。
「な!? 貴様! 待て!!」
聖騎士の内の一人がそれを追って外に駆け出していったが、もう遅いだろう。相変わらず逃げ足の速いやつだ。
残った二人の聖騎士は、こちらにゆっくりと歩いてきて、男の逃げ足の速さにぽかんとしていたビューレの手首を掴んだ。
「痛っ!? ちょっと、なにするんですか!?」
「聖女様は、私についてきてもらう!」
聖騎士はそのまま手首を無理やり引いて、ビューレを引っ張っていこうとした。だが、そこに怒号が響いた。
「やめんか!!!」
ようやく頭痛から立ち直った大司教だ。
「ですが、大司教様、聖女様を見かけたらすぐにあそこに連れて行けと……」
「そんな命令は知らん! いいから離さんか! それとも、貴様が牢獄送りにされたいか!?」
「い、いえ! 失礼いたしました!」
大司教に怒鳴られた聖騎士は、たちまち血相を変え、教会から出ていった。
「ぬぅ……」
「大司教様、大丈夫でございますか?」
「問題ない。それより、儂はこやつらと話したいことがある。少しの間、退室してはもらえないか?」
「わかりました。辛くなったらいつでもお呼びください」
修道女は、再び頭を抱えてしまった大司教を立たせると、部屋から退出した。
「お爺様…… あ、いえ、大司教様、大丈夫ですか?」
「お爺様でよい。それよりもビューレ、すまんかった……」
大司教は深く頭を下げると、ビューレに謝罪の言葉を口にした。
「お、お爺様!? あ、頭を上げてください! 私は大丈夫ですから!」
「いいや、謝っても謝りきれんわい。かわいい孫娘が、儂の出した命令で、レクイエムに捕まっていたなど……」
ビューレはどうやら、大司教の命令として捉えられていたらしい。
「災難でしたね。洗脳魔法で操られるなんて」
「お主が洗脳を解いてくれたようじゃな。心から感謝する」
再び腰を深く曲げ、次は感謝の言葉を口にする大司教。俺が思っていたよりも素直な人のようだ。
「さて、大司教殿、助けたお礼と言ってはなんですが、少しお願いがあります」
「儂とビューレを救ってくれた恩人じゃ。できる限りのことはしよう」
「では、まずは自己紹介からしましょうか。私は魔王アルフレッド。ハイタス王国から、教国との同盟を結ぶために参りました」
「魔王じゃと!? お主がか!?」
「ええ、姿は人間に近いのですが、これでも一応魔族なのです」
俺が自己紹介をすると、大司教は俯いてしまった。やはり、魔族との協力は断られるか?
「すまぬ、少しだけ考えさせてはくれんか? まだ頭がぼんやりしておってな。考えごとがしにくいのじゃ」
「では、明日の朝、また出直してきます。それまでにお考えください」
「そうしてもらえるとありがたい」
俺はソフィとビューレを連れて、一度ファブリのいる村まで戻ることにした。
「生と罪」第二話の方も、本日投稿したので、興味があれば是非見てみてください!