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いざ教国へ

前の章は説明会が多かったので、物語の進展がほとんどありませんでしたが、今回から新章に入るので、ガンガン進めていきます。

それでは教国編、お楽しみください!

 俺は荷物を馬車に乗せ、腰に差している愛剣と左目の眼帯を確認すると、みんなの方に振り返った。


「それじゃ、久しぶりに二人で行ってくるわ」

「お兄様、ソフィアお姉様、お気をつけて」

「アルフレッド、なにかあったら、俺の作った魔道具で知らせろよ?」

「兄さん、ソフィアさん、無事に帰ってきてね」

「おう、三人ともありがとな」

「気をつけて頑張ってくるね!」


 シャル、ヨハン、フィリップの心配を受け取って、アレックスの方を向く。


「アレックス、お前は教国に戻らなくてもいいのか?」

「ああ、俺はハイタス王国の勇者でありたい。人間と魔族の共存を手助けしたいんだ」

「俺がいない間、リューリクと協力して頑張ってくれ」

「任せてくれ」

「ジュリア、リベリオンは任せたぞ」

『わかってるわよ。心配しないで行ってきなさい』


 次に、リューリクたちの方へ向く。


「リューリク、行政は任せた。魔族と人間、あくまで平等に頼むぞ」

「もちろん。それがボクとアルフレッドの約束だからね」

「あと、アレックスのこともよろしくな」

「魔族との調和に使わせてもらうよ」

「アリスとギランはリューリクのサポート、頑張れよ」

「もちろんですわ!」

「任せろ」


 最後に、父様と母様の方に振り返る。


「アル、ソフィアちゃん、頑張ってこい!」

「応援してるわね!」

「父様、母様…… 行ってきます」

「行ってきます」

「「いってらっしゃい!」」


 その言葉をしっかりと聞いて、俺とソフィは馬車に乗り込んだ。

 馬車はゆっくりと動き出し、館から離れていく。

 俺とソフィは、大きく手を振っているみんなに向かって手を振り返しながら、ハイタス王国を出発した。


 ちなみに、この教国への旅は、ソフィとの二人きりのデートも兼ねている。というか、個人的にはそっちが本命のつもりだ。

 世間一般では、教国との同盟を取りつけることが目的となっている。帝国に効率よく対抗するための策だ。


「今頃教国では、対帝国の政略が始まってるだろうなぁ……」

「なんでわかるの?」

「だって、教国に圧力をかけていた帝国の貴族のほとんどは、リベリオンが殺したからな」


 勇者を取り返すことを見越して、帝国の有力な貴族たちを、リベリオンメンバーは暗殺していた。例えば、反真神教の貴族とかな。


「帝国も大変だね。軍は壊滅して、勇者を失って、教国と新王国から睨まれて……」

「完全に自業自得だろ。因果応報ってやつだ」


 それもこれも、ほとんどはジンによって遂行されていたものだ。いったい、ジンの目的はなんだったのだろうか?

 そもそも、なぜ王国を滅ぼしたんだ? 帝国にとっては因縁の場所でも、ジンにとってはどうでもいいだろうに。

 まだ情報が足りないか……


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽


「アル君! 見えてきたよ!」

「真っ白な場所だな」


 教国は白に覆われていた。いや、こういうと語弊があるな。なにも、建物が白いという訳ではない。王国や帝国と同じように、石造りの街並みだ。

 だが、そんな中で唯一違うものが降っている。

 そう、雪だ。

 教国は、この大陸の中で最北端に位置する国であり、雪国なのだ。

 民家の屋根には、一メートル近くの雪が積もっており、必ずある煙突からは、白い煙がモクモクと吹き出していた。

 他にも、街道には車輪の跡がくっきりと残っていて、人々は分厚いコートに身を包んでいる。

 もちろん、俺たちもコートを持ってきているし、ヨハンに防寒グッズを魔道具で作ってもらっていた。

 その魔道具は手に持てるサイズで、魔力を込めるとじんわりと暖かくなっていくものだ。まあ、俗に言うホッカイロだな。


「さすがは雪国、とんでもない寒さだな」

「ヨハン君に作ってもらった魔道具、すごい便利だね。これなら手も冷えないや」

「実は、ヨハンにはもう一つ魔道具の製作を依頼してたんだ」

「え? まだあるの?」

「ああ、だけど、こっちはあとでのお楽しみにしような」

「はーい」


 俺たちの乗っている馬車は、教国に入国すると、俺たちを宿の目の前で降ろしてくれた。

 馬車を降りると、膝丈くらいまで、積もっている雪に足が埋まってしまった。


「本当にすごい量の雪だな。こりゃ、毎日雪掻きが大変そうだ」


 俺たちは足を大きくあげて進み、宿に入った。


「ソフィ、明日は教皇に会いに行くから、ちゃんと準備しておけよ?」

「わかった。魔王様の隣でも恥ずかしくないように、格好を整えておくね」


 俺たちは寝巻きに着替えて、ふかふかのベッドの中に二人で入った。

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