新王国建国
ハイタス王国を作る準備は、だいたい一ヶ月程度かかった。もともとある程度の準備は完了していたので、そこまでの苦労がなかったのが幸いだった。
これからやるべきことは、建国を周辺の国に伝えることと、魔族との共存を国民に知らせることだけだ。
魔族嫌いな人間たちは、王国の国民としてはいられないかもしれないが、少なくともリベリオンの団員は国民になる。魔族も合わせると、最低限、約一千四百人の国民がいるわけだ。うん、少ないな。
まあ、これからどんどん増やせばいいだけのことだ。ここは前向きに考えていこう。
とりあえず、帝国と教国などの周辺諸国に手紙を送った。それに加えて、リューリクによる王城での演説を行う。
「我々は帝国に滅ぼされた王国を作り変えるのだ! 新しく仲間に加わった魔王とともに! 魔族とともに! 人間と魔族の共存できる王国を作り上げるのだ! 皆も不安はあるかもしれない! だが、ともにいい国を作ろうではないか! そしてここに、ハイタス王国の建国を宣言する!!!」
ヨハンの作った拡声器で王都中に響き渡った演説により、王都の広場や公園は歓声に包まれた。
ちなみに、魔族も人間に混ざって演説を聞いている。既に意気投合しているようで、肩を組んで酒を飲んでいる者もいた。
それを王城から眺めていると、リューリクに拡声器を渡された。
「ほら、魔王様もなにか言ったらどうだい?」
「演説とか苦手なんだがなぁ……」
俺が、さっきまでリューリクの立っていた場所に立つと、王都全体が俺に注目したのがわかった。
俺は一息つき、大きく息を吸って話し始める。
「私は、このハイタス王国の建国を、リューリクとともに進めてきた魔王、アルフレッドである。まず、私とともに、人間との共存を選んでくれた魔族諸君に感謝する。次に、我々魔族を受け入れてくれた人間に、これ以上に深い感謝を送る。これからは人間も魔族も平等に暮らすことになるだろう。大変なことは多いだろうが、どうか頑張ってほしい。私とリューリク殿も、よい国作りのために努力を惜しまないつもりだ。そして、魔族と人間の共存を望む者たちよ、私たちについてくるがいい!」
俺が演説を終えると、再び王都は熱狂に包まれた。
やっぱり魔王としている時は、こっちの口調の方が楽だな。公の場ではこうしよう。
俺が王城の中に戻ると、拍手をしているリューリクが待っていた。
「さすがはアルフレッド君だ。上手いじゃないか」
「どこかで魔王をやっていたおかげかもな」
「それを言うなら、今も魔王だろう?」
「そういえばそうだったな。まったく、大役を背負ったもんだ」
「まあまあ、一緒に頑張っていこうよ?」
「もちろんだ。この国は絶対に成功させてやるさ」
共存の道。千年前にクラリスの望んだことが、俺の夢が今現実になろうとしている。絶対に失敗したくない。
今日は建国記念ということで、一日中お祭り騒ぎとなるだろう。盛り上げ役はリューリクに任せるとして、俺は本部でゆっくり休むことにするかな。
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俺が本部の自室に戻ると、そこにはソフィがいた。ついでに言うと、俺のベッドで枕に顔を埋めていた。
「アル君…… すぅ…… んっ…… はぁ……」
もっと詳しく状況を言うと、ソフィのズボンとパンツが、ベッドの脇に脱ぎ捨てられていた。
そして、部屋に響く湿っぽい音。たまに聞こえる色気のある声。
俺が部屋に入ってきたことにも気がつかないほど、ソフィは集中してソレをしていた。
俺は辛抱堪らなくなり、うつ伏せに寝ているソフィの上に飛び乗った。
「ソフィ!」
「ふぇ!? ア、アルくーーうむ!?」
俺は、勢いよく振り向いたソフィの唇を奪い、下半身に手を伸ばした。
「ふぁ……! アル君、そこはぁ……」
「俺のベッドで、いったいなにしてたのかな?」
「こ、これは違うの! ただ、その…… んっ!」
「一人でするくらいなら、俺とした方がいいだろ?」
「あっ…… そうだけど、今日は一日いないと思ったから…… ん……」
「なら、いいよな?」
「んあっ……! はぁ…… いい……よ?」
「いただきます」
このあと、ソフィは俺が美味しくいただきました。