ウィスタルの朝
愛しているよ。世界で誰より。
そう言えたらどれほど幸せか。
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「あなたも私を殺そうと近付いてきた人だったのね」
またこの夢だ。悲しそうに笑う彼女の顔が目に浮かぶ。いつかこの光景を目にする為に生きている。
「おはよう!さっさと着替えて行くわよ!」
「…おはようございます。朝から元気ですね…」
「あったりまえでしょ!今日はデートなんだから!」
「デートって…街の様子を見に行くだけです!」
「ふふふ」
この元気で大きな瞳を持つ陽に照らされた髪が美しく金色に輝く少女。
ウィスタル公国第一王女であり王位継承権を持つ次期国王候補 アリシア・ウィンスタン__。
「お二人さーん!仲良くするのはいーけどアリシア様にまたお見合い希望のリストが来てるよ!」
「テレジア!これで何回目?私は誰とも結婚する気はないわ!どうせどっかのナルシスト貴族ばっかでしょ!」
テレジアはアリシアより5歳年上のこの国最高峰の研究者の1人だ。その才能を買われて昔からこの城にいるらしい。
「ナルシスト同士気が合うんじゃないですか?笑」
「あのねぇ自信を持つこととナルシストは別よ?私は自分に自信を持つようにしてるの!そうしないとやってけないしね」






