7 考え事
私たちは先生の周りに立って話を聞いているのだが、まあ、何と言うか。いつも通りだ。
テンプレートに乗っかったそのままの言葉。やることも同じ。先輩も話半分で聞いているようで、皆どこか表情が眠たげだ。
「じゃあ、今からこのコートでサーブレシーブ。始め」
「「お願いします」」
やっぱり先生は何も分かっていないかな、なんて私は心の中で思っている。
どう考えてもサーブレシーブだと、試合の最初はちゃんとできても、後が続かないのは目に見えている事だ。
しかも、先生はやってもいない事を責めたててくる事が多いので余計にに腹が立つ。
それならば、普段からも、今も、しっかりと練習させてほしい。
マンネリ化しており、つまらなく、意味のない練習より、少しでも価値ある練習を――
歩きながら毎度のごとくそんな事を考える。
とりあえず、指定されたコートに入る前にボールを二球取り、位置に付いた。といっても、先輩が優先なので後ろに付くのだが。
今は先輩の後ろに付いているだけで順番が回ってくるので何も考えずに済む。楽な話だ。
私は、ぼんやりとただ先輩の練習している姿を眺めていた。
先輩がベースラインからサーブを二本打ち、そこで一度コートを出る。そのあと、再びコートに入り、今度はレシーブを返す。
それは、私には到底できないであろう動きだ。先輩はやはりミスも少なく、見ていて不安にならない。
そして、一年生にはまだこの域に達している人は居ない。
それなのに、先生は先輩の事を散々にけなすわけなので、私たち一年生は先生への愚痴が加速する。
学年が上がったら私たちもこのように言われるのではないか――それが、一年生の中での共通事項だった。
そう考えているうちに、自分の順番が回ってきた。
私は適当にトスを放りあげ、サーブを打つ。
それはネットに掛かり、次はセカンドサーブを打つ。
きれいな弧を描いてコートに入ったそのサーブを、先輩は早いショットで返した。
「ありがとうございました」
小声でそう言って、そそくさとコートから出た。
やっぱり、サーブの位置が悪かったかな……
それから約十五分たった。
ようやく学校がそろい、準備も整ったようだ。
「では、説明をするので各学校、番手順に並んでください」
先生の声が響く。私たちは即座に練習をやめ、急いで集合場所へ向かったのであった。