1 怒りしかわかない
これは、本当にどうでもいい、とある部活の成り上がりのような物語である。
澤田加奈はソフトテニス部に所属している。
入学したての頃、楽な部活を探していた。その時、周りの評判で楽だと聞いていたのでここに入っただけだ。
それなのに……、それなのに……っ!
「どうしてこんなにオフがないんですかーーー!」
加奈は家で叫んでいた。
そう、ここ二ヶ月間で、先生の用事以外で休みになった時が一度もないのだ。
「あの先生……法事なかったら絶対二ヶ月間ぶっ通しでやるつもりだったでしょ!体壊すわ!」
というか、テストが終わってからまたテスト週間に入るまでにオフがその一回くらいしかなかったのだ
おかげで、塾の勉強にも全くついていけておらず、加奈はストレスがたまっていた。
「ったく、勉強もついていけないし、ほんとに休みたい……
でも先生は勉強よりも部活優先とか言うんでしょ?本当に消えてほしい。」
_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
時は約一か月前まで遡る。
私がソフトテニス部に入部してから約六カ月。
少しだけだけど経験者だった私はすぐに一番手になり、夏休みごろから練習試合に行かせてもらい、実戦を積んでいた……
というのは建前で、なんでだか知らないが夏休み、お盆休みに入る前日にいきなり一緒にペアを組んでいる子と呼び出され、
「明日、練習試合に連れていくから。用意しとけ。」
と先生に言われたことは今でもはっきりと記憶に残っている。
私は、その日はてっきりオフだと思っていたから本気で先生をを恨んだ。
だってさ、先輩十八人の中で一年二人だよ?心臓がいくらあっても足りないわ。
本当は断りたかったけど、理由がないから断れない。仕方なく行くことにした。
そんな微妙な気持ちで行った初めての練習試合。
そんなもの誰だって結果は予想できるでしょう。
惨敗ですよ惨敗!
同じ一年生の人たちにも負けまくりでプライドずたぼろですよ‼
……もう、練習試合なんて嫌い。
そんなことを思いながらお盆休みを満喫して、休みが明けたら、またもや練習試合に行きなさいとな。
しかも兵庫県まで。
ここ大阪なんですけど……
そんな生活が続いて、先輩から少し引かれながら過ごすはめになってしまった……
そりゃそうですよね。いや、先輩にとっては宿敵として見られるでしょ普通。
しかも、一年生でも私たち二人が優遇され過ぎてて不満は募るし。
……あーあ、私、こんな生活を望んでテニス部に入った訳じゃないのにな。
どうしてこうなったんだろう。
_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
次の日の朝。
加奈はいつものように学校に行く準備をしていた。
面倒だなと思いながら、今日の授業の用意をしていた。
ふと時計を見やると、針はもう七時十分を指していた。
早すぎると思うだろう。
そう。朝練があるのだ。月曜を除いて週四日。
というより、日曜の部活がなかったら月曜もある。
そんなことは滅多にないのだが。
そんな感じなので、少し行くには遅すぎる時間だ。
「あーもう。行ってきます‼」
加奈は学校へ向かって駆け出した――!
三、四分ほど走り、学校の門をダッシュでくぐる。
そして、目的の場所、テニスコートまで行った。
「もー。加奈遅いー。」
「ごめんごめん。寝坊した。」
「いつもそれ言ってるよね。本当先輩に怒られるからもっと早くきてや。」
「はいはい。」
今日も行ったら、いつものように夕美が話しかけてきた。
どうせ早くいっても遊んでるだけだから意味ないよねと心のなかで毒づきながらも、笑顔で返した。
そんないつもの感じで加奈たち一年生は朝練の準備をした。
準備を終えた時、時計は丁度七時半、朝練開始時刻になっていた。
「集ー合ーー」
部長の声が響いた。
朝練を始める前に、加奈たち声だしをしてランニングをするのだ。
しかも、その声だしがかなり恥ずかしい。
絶対男子にいじられるな、と思いつつも加奈たちは毎日その声だしで走っていたのだった。
_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
あーもう。本当にこの声だしはいやだ。
あの先生が私たちが初めて練習試合に行った時の学校を見習ってやりだしたこの声だし。
ただでさえ練習してる時の声だしで笑われるのにこれ以上いじられる種をまかないでほしい。
どうせ今日もサーブの練習なんでしょ?
もう最近同じことしかやってないし。
しかもコートは一年一人だけだし。全員で一年は十二人いるんだけど。
二面あるコートで平等に分けてほしい。
「今日はサーブ練。きびきびと行動するように。」
やっぱり予想通りだった。
今日も機械的に練習して、先生に怒られて。先輩に気を遣って疲れて。
……こんな部活、望んでたわけ、ないんだけどな。
そんな感じで四十分の朝練が終わった。
「てかさー、皆小学校の運動会行く?私行く気ないけど。」
「「行くけど、それがどうしたん?」」
満場一致で行くようだった。
とりあえず着替えて教室に向かった。
今から、面倒な授業だな……ほんと、中学校生活、楽しめてないな。
_*_*_*_*_*_*_*_*_*_
何とか寝ずに六時間乗りきった。
だけどさ……まだ帰れないんだよな
放課後も部活だし。
どうせいつもの適当な練習するんでしょ?こんなんで上手くなれたら苦労しないのにさ、先生って本当に馬鹿じゃないかって思う。
適当に飛んできたボールを打って、失敗したらそれを直すように意識してまた打つ。
そんな感じで、上手くなれるのかな……
私は後衛だけど、本当は前衛がしたい。
だけど、なかなか前衛練習させてくれないから上手くなれないし、前衛の子達と差が開くだけだ。
一回先生に希望を伝えてみたけど、帰ってきた答えは
「お前以外で後衛できる一年がいないから仕方なく後衛にしてる。」
だってさ。
いや、だけどさ。後衛よりも前衛の方が上手くないと試合に勝てないんだよ⁉それだったら普通うまい人を前衛に回してやるでしょ。
どうせ半年後の公式戦を見据えてやっているんだろうけどさ。
される側にとってはたまったもんじゃないっていうね。
先生に怒られないように適当に声だしを挟みながら練習した。
そして、五時四十分、活動終了の合図がなり、コート整備を始めた。
このコート整備は走ってブラシを掛けないといけない。
相変わらず無駄なことするよな……
どうせ早く終わらせてもみんな喋ってるだけだから早く帰れないし。
体力を消耗するのだけはご勘弁。
そんな感じで下校の準備を終えて、集合をかけられてから帰った。
みんなは集団で帰っているけど、そんなことしていたら塾に間に合わない。
ほんとは皆でワイワイ話ながら帰りたいんだけどな。
本当に嫌い。みんな歩くの遅いし、しばらくたまってから帰るから凄い遅いし。
歩いて五分。家に着いた。
これからちょっとピアノして、ご飯食べて塾だ。
塾も最近スピード早すぎて付いていけない。というか宿題すらままならない。
月一でもいいから、オフ欲しいな……
そんな感じで、塾に行くバスに間に合うように家を出た。
次の日、習慣のように朝練に行く。
適当に声だしはやり過ごして、いつものようにコートに着いた。
それで、適当にサーブを打っていると、先生に呼ばれた。
「お前、今週の土曜日練習試合行けるか。」
今週の土曜日か……みんなは運動会行くって言ってるけど別に私は興味ない。というか入校証もらってないから小学校入れないし。
断る理由がないし、断ったら待っているのはどうせ説教だろう。
めんどくさいけど、行かないといけない。
「……行けます。」
そのあと、一年生が全員集合かけられた。
私も一応いとけって言われたので先生の話を聞いておくことにした。
「明日行けるやつ他におるか?」
みんなは黙っている。
そりゃそうだろう。みんな小学校の運動会に行く予定だから練習試合なんかに行けるわけがない。
それを伝えるためか、夕美が先生に向かって言った。
「土曜日は小学校の運動会に行くので無理です。」
それを言ったのを皮切りに、その事をみんなが先生に言った。
先生の顔がだんだんと怒りに染まっていくのを感じた。
あーあ、やらかした。後で説教食らうやつだ。
ていうか、このままいくと一年私一人じゃないか?
頼むから誰か行ってくれ……一年一人とか拷問過ぎるだろ……
でも、みんな行くって言っているんだから仕方がない。
私も行きたくないし。その枠を先輩に譲った方が先輩も嬉しいだろう。
「……一年一人はちょっときついので、私も行きません。」
ちょっと緊張したけど、とりあえず私の意見は言っておかないと練習試合に行かされるだろう。
それだけは本当にご勘弁。
先生は諦めたような顔をして、
「まあ、明日は二年だけで連れていくわ。」
本当に、呆れているようだった。
そんな話をしていたら、もう朝練が終わる時間になっていた。
とりあえず着替えると、皆で先生に対する愚痴を言いまくった。
「てかさ、何で一年にいかせようとするん?先輩にいかせた方が先輩のためにもなるしさ。」
ごもっともである。そのせいで私は先輩から白い目で見られるはめになったし。
まあ、とりあえずは明日いかなくてもよくなって一安心である。
「まあ、そうやな。ほんとに意味わからんよなー。先輩も可哀想。」
そんな感じで校舎へと歩いていった。
放課後。ものの見事に先生に呼び出された。
いや、私は何も悪いことしてない。皆が行かないから悪い。
一年一人は一回だけあったけど、あのときは本当に辛かったし、もうあんな目は二度とごめんだ。
「お前、本当に明日行かなくていいか?
というか、何で明日いきたくないのか?」
先生は女の世界というものを全くわかっていないということが、今はっきりと分かった。
あの先生、一応四十年位顧問してるはずですよね……
あんなんでやっていけたんだろうか。
「……やっぱり、一年一人はきついです。先輩が怖いので、。」
「でも、他の学校では一年が一人で、先輩に混じって仲良く練習してる学校だってあるんやぞ。」
……だから、そんな特殊な例出すなって。
こっちは先輩が二十六人もいて、一年も十二人いる大所帯。
そんな和気あいあいとできるような雰囲気でいられると誰が思いますか。
黙っていたら、先生が話し始めた。
どうやら、私は先生についていったら市でトップクラスに入れるくらいの実力があるらしい。
それでも、ソフトテニスはダブルスしかないので、私一人だったら試合に出られない。だから一年はペアでつれて行かないといけない。
その事を他の一年にも伝えておいて欲しいと。
だからどーした‼
別に強くなれたら嬉しいけど、そんな毎週毎週練習試合だったら身が持たないよ。
たまには練習試合のない軽い土日が欲しい。
何かそんな感じで一方的に話されただけで終わった。
そして、コートに行ったらまた先生がきて、
「一年。ちょっと来い。」
と言った。
……いやもういいですって。私さっき三十分位話聞いてたから少しは打ちたいんですけど。
そんな感じで数学教室に集合させられた。
そうしたら、さっき先生が私に言った内容をそのまんま1年生全員に話始めた。
……この話、もう二回目なんですけどー。
内容知ってるし、退屈なんですけどー。
とか思っていたら、いきなり出席率が低すぎるだのなんだので怒り始めた。
そりゃ低い人もいるとは思うよ。
でもさ、さすがにあんなに毎日毎日同じことの繰り返し。一日くらい休んでもいいんじゃないかって気持ちにもなるよね!
もう先生への怒りは頂点に達していたけど、必死で堪えた。
先生が皆への目標とか勝手に立てて、もうコートに戻っていいとか言い出した。
只でさえ時間が短い放課後練。もう活動終了の合図がなろうとしているところだった。
これが、私が先生に反感を持ち出したきっかけである。
一人称小説を書くっていってましたけど、やっぱり難しいですわ。
たまに三人称入っていきますけど許して。
半分くらいは実話。半分は適当にそれっぽくしてみたり。
愚痴はまじで思ってることだったりもするんですよ⁉