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第10話

待ち合わせ時間にファミレスに着くとすでにアイズのメンバーが到着していた。


離れたところから様子を見る。


人数は3人。エンジンのかかったままのバイクにまたがり談笑している。


ひとりは小太りだがガッチリしている。その隣には黒髪のロンゲで長身だ。3人目は笑うと歯がほとんどないガリガリの男だった。


きっかけはさっき田端がやったやりかたでいいだろう。


駐車場の手頃な石を見つけたので黒のビッグスクーターに投げる。


石は見事黒のバイクに当たり大きなキズを作った。


それを見た3人はおれを睨み付け歩いてこちらにやってくる。


「なにしてくれてんの?」


どうやらロンゲのバイクだったらしい。急に殴りかかってはこないが、今にも爆発しそうだ。


「ちょっと、手がすべっちゃたんで」


「ちょっとツラ貸してくれる?」


そう言って駐車場の端の暗がりに移動した。


「覚悟できてるんだろうな?こっちはアイズだそ」


小太りが挑発しながら言う。


「覚悟だったらとっくにできてる」


おれはファイティングポーズをとる。


相手は3人だ。どこから攻撃が来ても対応できるように常にフットワークでリズムをとる。


駐車場の隅に3人に囲まれた状況だ。


「お前ボクシングやってんな」


ロンゲがおれの動きを見ながらいう。


「まあな」


「おれは、空手やってんだぜ」


そう言ってロンゲはテレビで見たことのある空手の構えをした。


「破っ!!」


ロンゲの正拳突きが胸にめがけて飛んでくる。


体重も乗って重そうなパンチだ。しかし遅い...


おれは突きをかいくぐり左ジャブと打とうとした時ロンゲの左足の回し蹴りが飛んできた。


避けられないと察知しガード体制をとる。


右腕に左足の蹴りが入った。ガードしたものの右腕が痺れてる!


おれの顔が痛みに歪んだのをロンゲは見逃さなかった。


さらに追い打ちをかける。


ロンゲのボディ攻撃が来た。(後で知ったがこのパンチは鉤突きという名前らしい。)


おれはバックステップで間合いを取ってボディをかわす。


その時目の端で歯抜けが大振りのパンチを放ってきた。


おれはそのパンチを上半身だけで避ける。


どうやら歯抜けは格闘技の経験はないようだ。


おれは歯抜けのパンチをかわしざまパンチを放とうとしたところ


ロンゲの中段蹴りが来た。


その蹴りも難なく避ける。


小太りに関しては少し離れたところで見ているだけだ。


おれはまず歯抜けにターゲットを絞った。


歯抜けはちょうど空振りしたパンチでよろけていた。


おれは歯抜けの前かがみになった顎にアッパーを入れ状態が上がったところにリバーブローを叩きこんだ。


おれのパンチはきれいに入り歯抜けはううっといってその場にうずくまってしまった。


ロンゲは一気に間合いを詰めて下段蹴りを打ってくる。


おれはフットワークでロンゲの横に移動して左ジャブを打つ。


ロンゲの鼻に命中し、鼻血が出る。


ロンゲは手で鼻血を拭うと怒りからか今までとは明らかに違う力みすぎの突きを放ってきた。


おれはそのパンチに合わせて左ストレートを放つ。


おれのパンチはロンゲの顎に的確に命中しロンゲはその場に崩れ落ちた。


あとひとり!


小太りはじりじりと間合いを詰めてきた。


その動きで分かった。


こいつは柔道の経験者だ。


すり足でじりじりと詰め寄る姿に威圧されそうになる。


今までの相手が先行して攻撃してくることがほとんどだったがこの小太りは明らかに掴みに来ている。


あの手に掴まれたら投げられて寝技に持ち込まれるだろう。


そうなったら、おれに勝ち目はない。


相手に柔道をさせずに倒す。


果たしてそんなことができるのか。


そんなことを考えているうちに駐車場の壁際にまで追い詰められてしまった。


捕まったらおしまいだ。


恐らく小太りは多少のパンチは被弾しても突っ込んでくる。


一瞬で相手の意識を断ち切るパンチを打たなければならない。


おれと小太りとの間合いが小さくなり、おれのパンチの射程距離まであとわずかというところで一気に小太りが仕掛けてきた!


腰を落として手を伸ばし掴み掛ってくる!


おれはサイドステップで避けつつジャブで2発小太りの顔に当てた。


しかし全くひるまずずに突進してくる!


小太りは顎を引いているのでストレートが顎に入りにくい。


長引けば確実におれが負ける。どうするどうする。


『リュウジ、もっと力を抜けって。ボクシングの有名な言葉で蝶のように舞、蜂のように刺すって言葉があるだろ?そんなに力んでいたら蝶みたく舞えないぞ?』


兄貴の声が聞こえた途端いままでガチガチになっていた体の力みが消えた。


相手をよく見ろ。


ギリギリまで引きつけるんだ!


小太りの大きく分厚い指ががおれの服に触れた瞬間小太りの口元が緩んだ。


その瞬間おれは風に巻き上がる羽のように身体が動いた。


左にサイドステップしがら空きの小太りの顎に右ストレートを放った。


小太りは何が起きたかわからずにその場に崩れ落ちた。


その時おれの背後でバチバチという音がしたので振り返ると歯抜けが立ち上がってスタンガンを右手に構え走って向かってきた!








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