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12.受ける心

 はっきりしないまま家にたどり着いた。


 ただただ、笑顔でルミを見つめるタクにどう接していいのか分からず、それ以上聞くことができなかったのだ。



(あれは、なんだったんだろう。付き合ってくれということ? それとも、他の子が付き合ってくれるよねという安心と自信? 私は相談されただけなの? そうよね、きっとそうよね。これで、告白されたなんて思って余計な感情を持って、間違いだったら、とんだピエロだわ)



 タクの意中の人が自分だったら、きっと幸せな気持ちになれただろうと思う。しかし、そんなことがあるはずがないのだ。


 あれほど、みんなから好かれている人が、自分のような何のとりえもない女を好きになるはずなどない。


 ルミは必死に自分に言い聞かせていた。


 ケイタイが鳴る。


 着信音はタクのものだ。



(そうか、相談したから、告白した結果を報告してくれるというわけね。律儀だけど、その律儀さはいらないなぁ)



 しばらくケイタイを眺めていたが、出ないわけにも行かず、受話ボタンを押した。



「もしもし」


「ルミ、さっきはありがとう。家に着いた?」



 いつもと変わらないタクの声。



(きっと、彼女への告白は成功したのね。そうでなければ、もっと沈んだ声のはずだもの)



「えぇ、着いたわ。そっちは?」


「あぁ、今着いたところだよ」



(彼女に告白したにしては、やたらと早いなぁ。どれだけ、近くの人なの? そうか、遠距離恋愛でこれから告白するとか? だったら私に、なんで電話してきてるの?)



「さっきは嬉しかったよ。ルミも同じ気持ちだったなんて」


「……」


(同じ気持ち?)


「ずっと、ルミを見てて、絶対にこの人だと思ってたんだ。俺の気持ちを受け取ってくれてありがとう」



 タクからの電話は嬉しさであふれているように感じた。



(何で……? もしかして、あれって私に告白してくれたの?)



「今、電話していて大丈夫か?」


「えぇ、大丈夫よ」


「今度ゆっくりデートしようね。どこか行きたいところはある? って、行っても俺、金がないからなぁ。でも、こうして電話で話せるだけでも幸せだよ」


「え、あ、うん」



 ルミの中にある疑問が確信へと変わる。



(やっぱり、タクは私に告白してくれたんだ)



 そう思うと嬉しくて、さっきまでのくすんだ気持ちが嘘のように晴れた。


 お金がなくても、タクの素晴らしさはずっと見てきたのだ。もちろん、働いていることが一番なのだが、今はそれよりもお互いの気持ちが結ばれたことだけで充分だった。



「電話代掛かるから、後で通話しよう」


「そうだね。ルミは明日も仕事だから、無理しなくていいからね」



 無理せずにいたら、せっかく芽生えだした恋が花も咲かずに終わってしまいそうだと思うと、ルミは頑張らざるを得ないと思うのだった。




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