三題噺 お題「猫・祭り・田舎」
友人に適当に出してもらったお題で書きました。
適当に読み流してください。
田舎の学校なんて、どこだって同じようなものだ。
一クラスの人数はごく少数であり、時には学年の垣根などが存在しないこともある。 我が主の学校も多分に漏れず、そのようだ。
季節は秋。別名食欲の秋だったか。秋刀魚が美味しい季節である。
主は何やら『ガクエンサイ』というものの準備で忙しいらしく、遊んでくれない。学校から帰り、ベッドへ進むと電池が切れたようにパタリと動かなくなる。
少しぐらいじゃれてくれてもいいだろうに……。
居間へ行くと主の姉殿が手招きをしている。「にゃー」と声を出し近づくと抱きすくめられる。
何やら私に愚痴をこぼしているようだ。
「にゃ゛」
低い声で鳴き、暴れてもなかなか離さない。
「――――」
母殿が呼んでいる。姉殿はパッと顔に笑顔を浮かべて私を解放した。
姉殿より一足先に母殿のところへたどり着くと私の食事皿の上にキャットフードが盛り付けてある。
「にゃ゛ぁ」
不満を告げても母殿は私の頭を撫でるだけで、食卓へ着いてしまった。
主の部屋から戻ってきた姉殿は首を左右に振りながら席に着いた。
翌日の朝、私が目を覚ますと主は既に家を出たあとのようだった。
たまには主の授業参観でもしようかと、早速家を出た。
昼間は近くの家の仲間たちもチラホラと外に出ている。
「調子はどうだ、クロいの」
「我が主は元気だ。今日も日が昇る前に起きて体を動かしておったわ。まだまだ、儂の主は現役なようだ」
クロいのは塀の上から私を見下ろしつつ答えた。
「して、マルいのよ。お主は何処かへ出かけるのか」
「ああ、我が主の学校へな」
別れを告げ、学校への道を進んでいく。
学校が見えてくると騒がしい。グラウンドを囲むフェンスの下から敷地へ入ると、制服姿の生徒が数名小さな櫓を建てている。
その中に主を見つけ、近づいて一声鳴いた。
すると、そこにいた女たちが近づいてきた。後ろから主もやってきて、私を撫でていた女の手から抜き取り抱きかかえた。
他方から声が聞こえ、主は渋々といった風に私を地面に下ろし手を叩いた。
いつも通りに空中一回転をすると、周りから拍手が聞こえた。
その後、主たちは喋りながら私を置いて校舎へと入っていった。
数日後、私は朝から母殿に連れられ、再び学校へと来ていた。
昼を過ぎた頃に母殿は私の入ったケースを主に渡した。
少しして私と主はグラウンドに設置された簡易の舞台の下にいた。
状況を理解していない私を隅に置き、主は舞台の上を見つめている。私もそちらへ目を向けると、老婦人とクロいのが一緒に太極拳をしていた。
クロいのが降りてくると私に向かって言った。
「お前の芸、見ているぞ」
司会者が主の名前を呼ぶと、主は私を抱えて舞台へ上がった。
舞台の上に上ると、主は私に向かって手を叩いた。
いつも通り、空中一回転を決めるために飛ぶ。
ちょうど一回転して、着地するために四足を伸ばす。
しかし、体は止まらずに回り続けた。
「にゃ゛あああああぁぁぁぁ…………」
「タマー、飯だぞ」
タマは声を聞いて、窓から入ってきた。
「今日はお前のためのご馳走だぞ。まさか、舞台から飛び降りて三回転するなんて思わなかったよ。あれで隣のおばあちゃんとクロに勝てたんだろうな。文化祭の賞ももらえたし、好きなだけ食べていいぞ、秋刀魚」
これ以降、次のを書くかどうかは不明です。