恋のトライアングル(後編)
___明日の放課後、屋上で待ってます。 西条マキナ
マキナは修司の顔を見た時から嬉しすぎて今すぐ駆け寄って、抱きしめたい気持ちに駆られたが、同時に悲しくもなった。
私は悲しくなった感情を出さないようにして、精一杯ジャンプしながら大きく手を振る、修司が私を見て一瞬だけびっくりしたあと、苦笑いして手を振り返してくるけれども、その表情に懐かしむ表情は見当たらない。どうやらしゅうちゃんは忘れてるらしい。
実は私としゅうちゃんが最初に出会ったのはいつも孤児院でいじめられていた私に当時孤児院でお世話になったおばあちゃんがつい先日連れて来た小さな男の子、しゅうちゃんが必死でいじめっ子から助けてくれたのが最初だった。
私としゅうちゃんは同じ年齢だったこともあり、すぐに仲良くなって、この気持ちが大人になっても変わらなかったら結婚しょうと約束するまで時間はかからなかった。
私は将来この人と結婚するんだと信じて疑わなかった。
それはしゅうちゃんが孤児院に来て三年後の冬のことだった。
「修司君、君を引き取ってくれる優しい人が見つかったのよ」
おばあちやんがしゅうちゃんの頭を撫でながら優しそうに笑っていた。
おばあちゃんの少し後ろに穏やかそうな表情の夫婦に母親のワンピースの裾に掴んで隠れてる私よりも幼い女の子。
それがしゅうちゃんの新しい家族だった。
その日の夜、孤児院でしゅうちゃんのお別れ会をして私は精一杯の笑顔で、涙を堪えながら笑いあった。
翌日、私の心はぽっかり穴が開いたみたいに寂しい気持ちに押し潰されそうになった。
しかし幸運にも引き取った両親の住まいが孤児院の近くだったということもあり、だびたび舞という名前の女の子の手を引いて鬼ごっこしたり、おままごとしたりと遊んだりしてまたしゅうちゃんと遊べるんだと舞い上がった。
しかしながらそれも長く続かず、三ヶ月後のいつもしゅうちゃんが帰る時間帯の頃、しゅうちゃんが言おうか言わない迷って、決意してしゅうちゃんは「ごめん、僕、両親の都合で沖縄に引っ越すことになったんだ…」と告げた。
沖縄。現在日本最南端にしていくつかこの世界に存在する、世界の狭間と呼ばれるこの世界と別の世界を繋ぐ特異点がある場所。
幼い私はしばらく立ちすくみ、しゅうちゃんの胸の中で号泣した。しばらくして私は今日見つけてきた寄り添いうような形の不思議な鉱石の半分をおめでとうと言いながらしゅうちゃんに渡した。
そしてしゅうちゃんに相応しい女になるとひそかに強く決意した。
そして時は過ぎ____
私は今でもしゅうちゃんが好きだという気持ちは変わらない。
「わざわざこんな寒い所に呼び出してごめんね、しゅうちゃんずっと会いたかった…」
「__っ!!」
しゅうちゃんの驚く顔が面白くて笑ってしましそうになる、やっぱりあの日から変わってないね、しゅうちゃん…
「マキ…ちゃん?」
「…うん、そうだよ…気づくの遅すぎだよ…いつまで私を待たせれば気が済むのよ…」
「ごめん、まさかホントにマキちゃんだとは思わなかったよ…」
「あたしから声かけなきゃ、一生気づかなかったでしょうね…ホント、しゅうちゃん、バカなんだからぁぁぁぁぁ」
ごめん、私、我慢できなかったよ、しゅうちゃんがいなくなってから涙は流さないって決めてたのに…しゅうちゃん今だけはしゅうちゃんの胸の中にいさせて…実はあたし、舞ちゃんがしゅうちゃんのこと好きだってこと知ってたんだよ…
「まさかあのマキがこんなに可愛くなってるなんで思わなかったよ。でもなんでオレだと分かったんだ?同姓同名の可能性もあるし…」
「孤児院から引き取られた際、また会えますようにって想いながら作ったお守り、まだ持っててくれたからだよ、お守りの中には精霊鉱石入がってて石の片割れを持ってる限り、また巡り合えるとされる、不思議な鉱石…ホント、不思議だね…」
あたしが渡した石、当時は綺麗な石だとばかり思っていたがそれは偶然にもかなり希少な精霊鉱石でまずそこらへんに落ちているなんてありえない代物だと後になって発覚した。
「しゅうちゃん、孤児院の約束覚えてる…?あたし、しゅうちゃんのことがずっとずっと好きでした!!
…だからあたしの分まで幸せになってよね!」
「え?…マキちゃんどういうこ__んぅっ」
私はせめてにと、お別れのキスをした。しゅうちゃんの心の中には私はいない…それは舞ちゃんとしゅうちゃんを見てたら明らかだから、だから私は______
「ごめんね、しゅうちゃん…」
精一杯の笑顔で別れの言葉を告げた。
そして唐突に鳴り響く警報にびっくりしてしまった。
非常事態発生。警戒レベル5、これは訓練ではない。軍関係者以外の者は速やかに非常用シェルターへ非難してください。繰り替えします_____
突然の事態にしばらく修司は呆然としていた。




