亜利沙と真由美
二人が結ばれた夜。
祐一にまた、記憶を残さない夢が入った。
祐一の別れた妻である真由美がいた。
場所は公園である。
真由美は八才と幼かった。
真由美は泣いていた。
そこへもう一人、少女が現れた。
三つ違いの真由美の妹である。
妹は姉と遊ぼうとして姉の回りを走っている。
その中で幼い真由美は泣きじゃくっている。
妹は、姉に手を振りながら笑っている。
次の瞬間、猛烈なスピードで走って来た自動車が、妹を跳ねて逃げて行った。
妹は十メートル程、飛ばされた。
すでに死んでいた。
しかしすぐに妹は立ち上がった。
血まみれの妹はその場で回り始めた。
そのスピードは徐々に加速され、光を帯び始めた。
いつの間にか真由美はいなくなっていた。
その光は辺りを輝かせ続けた。
そうすると光の中から、成熟した女が現れた。
亜利沙であった。
亜利沙は満面の笑みを称えていた。
そこで夢は終わった。
事故で亡くなった妹は、亜利沙に生まれ変わっていたのだ。
姉である真由美が、自らの意思で新しい男を作り、結婚生活において、何の罪も犯していない男との結婚生活を、放棄した罪。
その結婚生活を、妹が復活させる事で、姉の姦淫の罪が許された。
「神の身業」は妹を亜利沙に蘇生させる事で、姉の罪を一つ取り除かせた。
後、姉に残された罪は「傲慢」
だけになった。
祐一は幸せな気持ちで目覚めた。
もちろん夢を見ていたことは記憶にない。
隣りには亜利沙がいた。
目覚めた二人は熱い口づけを交わした。
お互いに信頼が支配していた。
ここで神が人間に与える、”記憶に残さない夢”は「潜在意識」に働きかける。
人間が「恐怖心」を持つのは、実は神の「摂理」であるのだ。