人が先か、幸せが先か
仕事の合間の空き時間の怪盗ルパンと相棒のやりとり
「なぁ、幸せって何だと思う?」
「何だまた藪から棒にお前は、暇だからって俺の時間を奪うんじゃねえよ。」
「んなこと言ったってお前も暇じゃねぇか、いいから付き合えよ、もうここまで答えが出かけてんだよ。」
「人類が何千年もかけて追い求めてきた答えが、お前なんかに出されてたまるかよ。」
「まぁそう言うなって、んで?お前はどう思う?」
「幸せか?そうさな、うまい酒とうまいタバコが吸えりゃそれで幸せだ。」
「ありきたりだねぇ~」
「うるせえ、僧や尼じゃねえんだ、咄嗟に言われて高尚な答えが出るかよ。で、ルパン、お前はどうなんだ?その出かかってる答えとやらを聞かせてもらおうじゃねえか。」
「まぁそう焦るなって、だからまだ答えは出てねぇんだって。」
「一緒に考えろってか?ったく、幸せったってそんなもん人それぞれじゃねえか、答えなんて無限にある。」
「そこなんだよ、おれぁどうも幸せってのが昔っから気に食わなくてよ。」
「気に食わないって何が?」
「だからよぉ、家族やら金やらうまい飯が幸せって言っても、それは過去の自分や誰かさんと比べねぇと生まれねぇってこった。つまり誰かが幸せになるって事は誰かが不幸になるってことじゃねぇか。」
「そう言われちまうと確かにちっとは気に食わねえが。」
「結局のところ幸せなんてどこまで行っても相対的なもんよ、その時のそいつの状況をプラスかマイナスかに当てはめてるだけに過ぎねぇのさ、それをさも素晴らしいことかのように言ってよ、愛と同格にまで持ち上げてんのはどうかと思うねぇおれぁ。」
「愛と幸せなんてどっちも素晴らしいことじゃないのか?」
「相対的で自分の為の幸せと、絶対的で他者の為なら自己犠牲もいとわない愛、美しさは雲泥の差だろ。」
「つまり世間の思ってる幸せってのはただの幻想に過ぎねえってことか?」
「そこが引っかかってんだ、ま世の中の幸せなんてのはそんなとこだろうが、何もおれぁそこまで悲観的に考えちゃいねぇ、本質が他にあるはずだ。少なくとも多少の素晴らしさはあると思うんだよなぁ。」
「本質か、確かにそれが解れば幸せの定義ってやつも見えてくるってもんだ。なあルパン、幸せがただの結果でしかないってのもわかるが、それに向かう努力や結束は素晴らしいものだと、俺は思うぜ?」
「そうか、それだよ、つまり幸せなんてのはただの幻想でエサでしかない、でもその本質はそこに向かう為の努力や協力といった社会の原動力なんじゃねぇのか?」
「上辺の幻想と深層の原動力という二層構造ってわけか、無と有が合わさって幸せってのはもはや哲学じゃねえか。」
「いぃ答えになったとおもうぜぇ?しっかしまあ、幻想を盲信して社会の発展の原動力となれたぁ解せないねぇ。」
「世紀の大悪党が何言ってんだ、おれたちゃ幻想から覚めちまったただのバカだよ。いい子ちゃん達が幸せを願うおかげで社会が成り立ってんだ。社会性という人を人たらしめる機能こそが幸せなんだろう」
「そんなシステムを見つけたやつは動物と変わらなかった人間に社会という革命をもたらしたってか?愛と違って美しさを感じねぇわけだぜ、さながら最初の人工物ってな。ま、人が幸せを作ったのか幸せが人を作ったはわからねぇが。」
「卵が先か鶏が先かってか?どうでもいい話だな。ん?まてよルパン、つまり社会に仇なす俺たちゃ人にも幸せにもなれねえってことじゃねえか。」
「んなぁに人でなしの俺らが幸せや社会になんか興味ねぇよ、なにも生きる理由なんてのはそれだけじゃねぇさ。」
「他に何があるってんだ?」
「愛に生きればいいじゃねぇか。」
ガチャッ「ルパァ~ン?そろそろ仕事の時間よ、準備は出来てるの?」
「ふ~〇こちゃぁ~ん、君がいれば俺は幸せだぁ~い」
「やれやれ、今までの話は何だったんだ。」
ーおわりー
幸せとは何かという哲学の一つの大テーマを、仕事の合間の怪盗ルパンと相棒のくだらなくも深い日常会話に落とし込んでカジュアルに表現してみました。こんな話してそうだなーっていう完全に妄想です。




