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一回り年上な皇帝陛下に溺愛結婚されました  作者: アルケミスト


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 ぜひ泊まっていくようにというしつこいまでの両親の誘いを必死に断り倒して、私たちは都内に戻ってきた。


 さすがに客用布団では長身の彼の足が軽くはみ出してしまって申し訳ないし……それ以外のリスクも高すぎるため、私が全力で固辞したのだ。


 むしろそっちの理由のほうが大きい。


 生まれ育ってきた実家で……というのは、さすがに抵抗がある。


 愚弟たちに気づかれでもしたら……と考えるだけでゾッとする。


 ということで、クラシカルでありながらラグジュアリーな調度がここかしこに飾られているハイグレードホテルのスイートルーム。


 専用のバトラーサービスもつ いてくるスイートルームの中でも最上級の部屋へと、私たちは戻ってきていた。


 ようやく二人きりになれて緊張から解放されホッと一息つけたと同時に、今度はまた別な緊張が頭をもたげてくる。


「さあ、ナゴミ、先ほどの約束を果たしてもらおうか」


「……うぅ、は、はい」


「浴室で待っている」


 それだけ言い残すと、彼はスーツの上着を脱ぎネクタイを緩めてルーフバルコニーのほうへと行ってしまった。


 相変わらず単刀直入かつ無駄を削ぎきったような言動が恨めしい。


 私ばかりが彼の行動の逐一に翻弄されているような気がする。


 それにしても、怒濤の濃い一日にすでに身も心も疲れ果てていてもう私のHPもMPもゼロに等しいというのに果たして飢えた彼の責めに耐えられるのだろうか?


 部屋に残された私は彼の背を見送ってからどうしたものかと半ば途方に暮れる。


 とは言っても、どうするも何も選択肢は限られていて、そのどれもが同じ結果に導かれることは明らかでどちらにせよ選ぶ意味はないのだけれど。


 ルーフバルコニーからジャグジーの音がかすかに聞こえてきて緊張してしまう。


 これからルーフバルコニーで彼に愛されるのだと思うだけで、顔が熱くなり、胸がどうしようもなくざわめく。


 私は観念するとのろのろと首の後ろに手を回してネックレスを外し、続いてピアスを外してドレッサーの上に置いた。


 ストッキングも脱いでルーフバルコニーへと向かう。


 ルーフバルコニーの端に置かれたソファに彼の衣服が置かれているのを目にした途端、心臓が跳ねあがった。


 ワンピースドレスと下着を脱いでソファの背もたれにかけると、サイドテーブルに置かれたタオルを身体に巻き付けてジャグジーへと向かう。


 ジャグジーでは、コニャックのグラスを傾けて舐めるように味わっている彼がいて、私のほうへと意味深な流し目をくれた。


 彼のその艶めいたまなざしに促されて、私はジャグジーに入るも、その端っこで彼に背を向けて小さくなる。


「まだ恥ずかしいかね?

 いい加減慣れたまえ」


「うぅう、はい」


 どこか揶揄するような口調を少し悔しく思うも、恥ずかしいものは恥ずかしいのだから仕方ない。


 むしろ、いついかなるときであっても常に平常心を保ち、クールな振る舞いを貫く彼が不思議でならない。


 もちろん、敢えてそう見せているだけというのは、分かるけれど……やっぱりなんだか悔しい。


「何を拗ねているのかね?」


「ベ、別に拗ねてなんていません」


「そういう君もかわいらしくて気に入っているが、もっとかわいらしい君を見せてもらうとしよう」


 気が付けば、彼に背後から抱きすくめられていた。


 彼の逞しい腕を胸に感じて、心臓が跳ねあがる。


「今夜はいつも以上に君を味わいたい。

 傍にいながら味わえないというのはなかなか焦らされるものだな」


 重厚な声を熱く震わせると、彼は私の首筋を強めに吸いたてていった。


「あ……あ、あぁ……ン……後が……ダメ、です……」


 こんなに強く吸われてしまえば、きっと淫らな痕がたくさん残ってしまう。


 確かに明日は一日オフの予定だけれど、胸元の開いたドレスやワンピースを着る機会が以前よりも断然増えているため気が気ではない。


 日本に戻ってくる前に王室お抱えというファッションコーディネーターと相談しながら用意した衣服には襟の詰まったものはなかったはず。


 痕が残らないようにいつもなら気遣ってくれるはずなのに、その違和感が私の胸を妖しく昂らせる。


「君は私のものだという印をどうしてもつけておかねば気がすまない」


「ああっ、ど、どうして……そん、な……」


「その理由は君が一番よく分かっているはずだ」


 獰猛な獣を思わせる囁きに全身が熱く燃え上がる。


(……まさかこんなに嫉妬してくれていたなんて)


 実家での彼との会話を思い返すも、彼の嫉妬がまさかここまでとは思わなかった。


 白い首筋には赤い痕が延々と刻み込まれていく。


「いつも以上に乱れた君を見たい」


 そう言うと彼は私の顎に手を当てて横を向かせると、背後から覗き込むように唇をゆっくりと重ねてきた。


 柔らかな感触に目を細めた瞬間、コニャックを口移しで飲まされてしまう。


 唾液でとろみのついた強いアルコールの灼熱感が喉をゆっくりと通り過ぎていき、みぞおちに熱がこもる。


 もともとお酒に弱い上にあたたかなジャグジーに浸かっていることもあり、一気に酔いが回っていく。


 飲んだら風呂には入るな。


 それは私が独り暮らしをする際にお父さんにきつく言い聞かされていたことだった。


 それくらい危険なことだとは知っていたけれど、まさかここまでとは。


 早くももうろうとなった意識の片隅で身を以て味わう。


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