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「っ!!!!!?」
い、今……なんて!?
っていうか、それ職業?
突っ込みどころ満載すぎてもはや何から突っ込んだらいいやら分からず、思考が完全に停止してしまう。
すると、彼は私の髪を一束手にとると恭しく口づけて目を細めて微笑みかけてくる。
そのまなざしには、わずかにいたずらっぽい少年のような光が宿っているような気がして、彼の渋さとのギャップにドキリとする。
「驚かせてしまったかね?」
そりゃもう!
と、首を思いっきり縦に振ってみせると、彼の双眸に熱がこもった。
「まさか知らずに私の求婚を受け入れてくれたとは、君の器の大きさには重ね重ね驚かされる」
「い、いえ私の器なんてホントたかが知れてますし……かいかぶりすぎですし、もろもろ誤解がこんがらがって大変なことに」
「謙遜せずともいい。
奥ゆかしい女性だ。
大和なでしこという言葉は君にこそふさわしい」
何を言ってもどこまでも前向きに変換されてしまい、反論は流されてしまう。
アバタもえくぼってこういうことを言うのだろう。
そういえば恋は盲目とも……
そこまで考えを巡らせた瞬間、胸がとくんっと甘く疼いた。
まさか……まだ出会ったばかりなのに!?
ウソでしょ!?
まさかの一目惚れとか!?
自身の反応に愕然とする。
確かに、彼ほどの紳士に惹かれないと言ったらウソになるけれど、それはあくまでも自分とは別世界の俳優なんかに憧れるとかそういった感じであって、それ以上でもそれ以下でもないはず。
そうは言い聞かせるも、一度意識してしまった胸の高鳴りはまったくと言っていいほど収まりを見せない。
とんでもなくヤバい状況に置かれてしまったのでは?
そんなしごくまっとうな疑問すら、彼にじっと見つめられているだけでたちまち霞んでしまう。
「さて、朝食までにはまだ時間がある」
意味深な声色に妖しい気持ちが昂る。
彼は私の手を恭しくとると、こう言った。
「おいで」
「……」
魅惑の声に甘い誘惑の言葉。
逆らえるはずがない。
私は熱に浮かされたようになって、彼に手を引っ張られるまま身を委ねる。
額に口づけられ、こめかみにまぶたにとキスされて唇を奪われた。
紳士的で穏やかなキスに酔わされながら、彼の逞しい身体がゆっくりと覆いかぶさってくる。
その重みに胸を妖しく搔き乱されながら、彼の熱をもった半身を受け入れていく。
こんなの青天の霹靂にも程がある。きっとまだ夢を見ているに違いない。
そう自分に言い聞かせながら……。




