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不器用な想い

作者: BH
掲載日:2025/09/12

その日、ねぇちゃんは早く帰ってきた。


「たまには手料理を食べてもらわないとね」


そう言うねぇちゃんの手には、今日の料理に使うであろう具材が入った手下げ袋。

ぎこちなくエプロンを身につけ、台所に立つ。

数分後、不慣れな手つきでまな板に包丁を落とす音が、かすかに響いてきた。

少し焦げた炒め油の匂いが、廊下に漂っている。


それを見て言った。


「何作るの?」


ねぇちゃんは正直、料理が下手だ。

そんなねぇちゃんが何を作ろうとしているのか、ちょっと気になった。


「カレーだよ。カレー好きでしょ?」


それはきっとまずい。分かりきっている。


でも……カレーは好きだ。

だからその言葉にちょっとだけ期待している自分がいた。


「どうせまたコンビニで買ったもので済ませようとしてたんでしょ?」


「いいじゃん、別に。いつものことだし」


返事をする前に、部屋に入ろうとした。


ドアを閉める前に見たねぇちゃんは、どことなく寂しそうな目をしていた。

台所の明かりに照らされた横顔が、廊下の暗がりににじんでいた。


僕はその顔を見た時、気づくのだ。


心の奥に無理やり閉まっている「ありがとう」に。

でもそれは口には出ない。


そう……ただ静かに後悔になって蓄積していくだけなんだ。

───


※この短編にあわせて制作したインスト曲をYouTubeで公開しています。

ご希望の方はこちらからどうぞ:


[不器用な想い](https://youtu.be/bUy4qPj7mbM)

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