第三章 歪な別れ
世界が少しずつ歪んでいく気配がする。
信じていたものが崩れはじめたとき、彼女は何を選び、何を捨てるのか。
――これは、少女が「神」へと歩み始める、その前触れ。
優斗はギルドに駆け込んだ。金もない、地位もない、ただ妹を助けたい一心で。
――その想いに、なぜか世界が応えた。
見ず知らずの剣士、魔法使い、回復師――多くの冒険者たちが、優斗の願いに賛同したのだ。
「そんなに妹が大事なら、俺たちが助けてやる」
「子どもが闇に消えるのを、見過ごすわけにはいかないだろう?」
アジトへの突入作戦は、夜明け前に始まった。
次々と現れる敵。仲間の血。叫び声。焼けた鉄の匂い。
だが、優斗は進んだ。妹を救うためだけに。
そして、最奥。
ミナは、床に崩れ落ちていた。傷だらけで、瞳は焦点を失っていた。
「ミナ――!!」
走り寄ったその時、何かが閃いた。
矢だ。
放たれたそれは、まっすぐ優斗の胸へと――
「っ……ああ……ぁ……」
血が溢れる。世界が揺れる。妹が、名前を呼ぶ声がする。
「お兄ちゃん……お兄ちゃん!!やだ、やだ、死なないで――!」
優斗は、ミナの手を握った。
泣きじゃくる妹の顔が、涙でにじむ。
「……大丈夫。ミナが……生きてるなら……俺は……」
その言葉を最後に、彼の心臓は止まった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
少しずつ、彼女の運命が動き出します。
まだ何も明かされていないことが多いですが、焦らず一歩ずつ追っていただければ嬉しいです。
次回も、よろしくお願いします。