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第二話

 警察署に近づくと頭痛はすっかり収まった。

しかし離れようとするとまたどんどん痛みがでてくるので先程、署長さんからもらっていた名刺に連絡を入れた。


すぐに電話にでてくれたので事情を説明する。

「すぐに迎えにいきますのでお待ち下さい」


そう言われて裏口近くで待機しているとすぐに一人の男性が走ってきた。

「こちらへ」

案内を受けまた警察署に入ることになった。


「取調室に案内します」

「なにかあったのですか?」

「恐らくその頭痛の原因から話が聞けると思います」


ついていくとよくテレビなどでみる取調室の隣の部屋に案内された。

部屋に入ると先ほど助けたメアリーが取り調べを受けている部屋を見ることができるようになっていた。


部屋には署長もいた。

そして僕が入った段階で隣の取り調べ室にいるメアリーが声を発した。


「私の眷属が戻ってきたようだな」

「彼に何をしたんだ?」

リーダー格だった男性が取り調べをしているようだった。


「私の初めてをあげたのよ、逃がす訳ないじゃない」

「な!?」

「眷属化するときに私のオリジナルの刻印魔法を併用して私から一定距離以上離れたら頭痛が起きるようにしたの」

「なんてことを…」


かなりの同様をしているのがこちらがわにも伝わってくる。

かなりまずい状態のようだ。


「一体どういうことなんですか?」

「刻印魔法とは自分の持ち物などに自身の魔術の波紋を記憶させることで自分以外が使えないようにしたり手元から離れたらわかるようにする魔法のことです」

「それは生物にも使えるんですか?」

「いや、普通は生物には使用することが出来ません。生物に使用するのは契約魔法などがあるのですが基本的には、双方の同意がなければ使用することは出来ないので…」

どうやらかなり特殊な状態のようだ。


そんな話をしていると彼女がさらに説明する。

「私から一定距離以上離れたら頭痛が襲うようにしてある。これで私を強制送還することはできないだろう?」

「そんなことをしてただで済むと思っているのか?不法入国の上に、一般人への危害、及び魔法の使用は重罪だぞ?」

「やっと血の伴侶を見つけたのだから向こうに帰る訳にはいかない、そんなことになるのなら死んだほうがマシだ」

「くっわかった。処遇についてはこちらで検討する」


そういってリーダーの男性は部屋をでた。

そしてそのままこちらの部屋へとやってきた。


そして、恐ろしい速さで男性と署長はこちらに向かって土下座をしてきた。


「「大変申し訳ございません!!!!」」

まさか自分よりも遥かに年上かつ立場もある人間からこんなことをされるとは思ってもみない事で、動揺し慌てていると…


「彼女から解除方法を聞き出し、必ずこの状況をなんとかしてみせます!」


署長にそう言われて僕はハッとした。

それほど時間が残されていないことに…


「えーっと、大変心苦しいのですがタイムリミットが迫っております…」

「タイムリミット?」

「僕の門限は22時なんです…」

現在時刻は19時、ここを21時にはでないと間に合わない。

「門限は、ご家族に説明してな…ん…とか…もしかしてお祖母様の関係でしょうか…?」

署長が恐る恐るこちらに聞く。

「はい、予定外の門限破り、さらには外泊なんてもってのほかなので、僕のスマホの位置情報をチェックして恐らくここに来てしまいます…」

「あわわwqわいほふぃfほあぎwhどhゔぉあ」


声にもならない悲鳴をあげる署長。


署長とリーダーは二人でそそくさと外に出ていった。

署長はどこかに電話していた。


「超法規的措置」


そんな単語が聞こえてきた。


このあと一体どうなってしまうのかマジックミラーになっていてこちらは見えないはずなのにこちらを向いて笑っているメアリーと目が合う。


そして成人女性とは思えないほどに無邪気な笑顔を浮かべる彼女に少し胸がときめいた。

今回の騒動の原因になっているとはいえ、憎めないこの気持ちは彼女の刻印魔法のせいなのだろうか?


いや、恐らくは…あの時の…


そんな葛藤をしつつも署長達を待った。

30分ほど経っただろうか、残された警察の方と一緒に二人で椅子に座って待っていると。


「お話があります」

そう言って入ってきた署長は、非常に汗をかき大変だったことが目に見えてわかった。


そして、机に数枚の書類をおいた。

「この書類に目を通して頂けますか?」

「わかりました」

顔をハンカチで拭きながらこちらの様子を見ている署長を尻目に書類に目を通した。


そこには驚くべき内容が記載されていた。


「これは、本当に実行するのですか?…」


そのあまりにも予想外な提案に困惑しつつ署長に尋ねる。


「恐らくこの問題が表面化すれば私だけでは済まない。この警察署そのものが無くなる可能性すらある。それを考えればこの提案は、そちらにもメリットがあるのではないでしょうか?」


「確かに、メリットはありますが…」

記載されていた内容を飲めば、確かにこちらにもメリットがある。

僕が、探索者になることができる未来を開くことができる。


それに、署長さん含めこちらの刑事さん達全員を露頭に迷わせず済む。

「しかし、この内容は彼女の協力が前提ですよ。それはどうするのですか?」

この内容は、彼女が納得してくれなければ破綻する。

しかしこの内容はある種、彼女を縛るものだ。ここまでの彼女を行動を見て、同意するとは思えなかった。


「問題ありません。必ず同意させますので…」

「まぁ、彼女が同意するのであれば私としてはこの提案は魅力的なので…お受けします」

「ありがどうございます!!!すぐに彼女の同意をもらってきます!しばしお待ちを」


そういって署長は隣の部屋にリーダーの男性と一緒に駆けていった。

彼女は、本当に承諾するのだろうか…俺との主従契約なんて…



音声は切られており、隣の部屋も見えない状態にされてしまったので向こうの様子は確認することができないが、恐らく揉めているのだろう時間がかかっていた。


残りのタイムリミットは1時間30分…

僕の今後の生活とここの警察署の命運が刻一刻と近づいていた。


そして、部屋の扉が勢いよく開き、署長達が入ってきた。

「同意を得ました!すでに契約魔法の使い手は呼んであります。こちらへ」

そう言ってそそくさと案内されたのは応接室だった。


そこには手錠に繋がれた状態のメアリーが座っていた。

こちらの顔を見ると少し不満そうな顔をしながらこちらを見ていた。

「この提案は、予定外だったよ、愛染寺 トウカくん」

突然名前を告げられて少し困惑していると


「今後、一生の付き合いになるのだから名前は、聞かせてもらったよ私の主様」

僕が、署長の方を見るとどうやら不信を買ったと思われたのか

「済まない、それが同意の条件だったので…」

署長が頭を下げた。


「あっいえ別に問題はありませんよ、そういえば名前を名乗っていなかったなと思いまして」

向こうがこちらのことをすでに把握していた関係で自己紹介が抜けていたことを思い出した。


今度は、メアリーの方を向き

「もう知ってるようだけど僕は愛染寺トウカ。今度ともよろしくメアリーブラッドレイさん」

そう言って彼女の方に手を差し伸べた。

その様子に彼女は少しキョトンとしたようすで手錠を付けた手ではあったが俺と握手を交わしてくれた。


そして、僕は彼女と主従契約を結び。

彼女の保護者兼、亜人監察官となった。





主従契約・・・契約魔法を使用し書面などを触媒として魂に刻みつける魔法。

従者として契約した者は、基本的に主に逆らうことが出来ないが奴隷契約とは違い、人道や自身の生命に反した命令に関しては拒否することが可能。

主の許可なく主に害を与えることが出来ない。

主の許可なく一定以上の距離を離れることも出来ない。



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