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プロローグ

短編だと1話更新できなかったので挙げ直しました。



 僕の人生はずっと失敗続きだった。

運動も勉強もダメ、人より優れた所は健康な身体位な物。


生まれてこの方、病気や怪我とは無縁の生活をしてきた。

しかし、別に体力がある訳でもなく。筋力がある訳でもない。


ただただ、健康なだけだった。


そんな僕は大学受験も就職にも失敗し、残された道はこの健康な肉体を生かして探索者になろうと決意し探索者試験を受けた。


しかし結果は落第。

このままダンジョンに入れば死にかねないと判断され試験は不合格。


そしてそんな結果を突きつけられた帰り道。

家まであと数100mといった所で突如、頭上にゲートが開いた。


ゲートとは、異世界とこちらを繋ぐ出入口のようなものである。

しかし、ゲートは特定の場所でしか開くことが出来ず、その場所は厳重な管理化におかれており町中に現れて良いものじゃなかった。



そしてそのゲートから現れたのは、小さな銀髪の女の子。

白髪とは違い、月夜に照らされて光輝くその髪に目を奪われながらゲートから落ちてくる女の子を受け止めた。


幸いにも小学生低学年位の女の子を無事受け止めることが出来た。

しかし、力のないせいで地面へと尻もちをついてしまう結果となったが…



「ありがとう!助けて!」

女の子からはお礼と同時に助けを求められる


「えっ!?えっ!?」

状況が飲み込めない僕は固まっていると、近くのビルから男たちの怒声が響く。


「おい!あいつが逃げたぞ!探せ!遠くまで行けるような魔力は残ってないはずだ!」


探されてるのがこの少女であることは想像に容易かった。

「もしかして君を探してる?」

「そうよ!急いで!!」

そう言って小さな銀髪の少女に腕を引かれその場から離れる。


しかし、小さな女の子と先ほど探索者として落第だった男が一人。

男たちに追いつかれるのは、必然だった。



「なんで…あなた…そんなに…体力がないわけ…」

肩で息をする女の子。

少し走って僕よりも早く息が切れ結局は、おぶって移動することになった。

「子どもを抱えて走れるような体力は僕にはない…」

自慢ではないがここまで来ただけでも褒めてほしいもんだ。

自宅が見える位置まではたどり着くことが出来たのだが…


そこでゲームオーバーだった。

すでに数人の男たちに回り込まれ自宅に逃げることは不可能だった。


塀を背にして周りを屈強なガラの悪そうな男たちに囲まれる。

男たちよりもさらに大柄な影が後ろから現れる。


最近では珍しくなくなった亜人…頭に大きな角が見える。

恐らくは鬼人族だろう。


大柄な身体が特徴で男女ともに体格が2mを超える。

更に骨格からも人間とは異なり、肉弾戦闘に特化した種族と言える。


「そこのお兄ちゃん、その女をこっちに渡してもらえないか?」

鬼人族に目が言っていたせいで見逃していたが鬼人族の脇に目つきの鋭い男が立っていた。

こちらを値踏みするような視線を向けつつ威圧感の漂うその男がリーダーのようだ。


周りの男達は、その男の挙動ですぐに動けるに準備しているようだ。


「その様子じゃここから逃げるなんて出来ないだろ?どうせ巻き込まれただけだ、その女を渡してくれれば君は、無事にお家に帰れる。どうかね?」


肩で息をしている。背負っているのも限界。

逃げるなんて出来ない。


下手をすれば死ぬ…だけど…


「嫌だ…」

小さい声がでた。


「は?」

なんて言った?


周りでは今にも一触即発の雰囲気だが、口からでた一言は…


「嫌だ…絶対に嫌だ!」

いくら力も何もない僕でも小さい女の子を見捨てるようなことはしたくなかった。


「よく言った!私の初めてをお前にくれてやろう!」


後ろの女の子が叫ぶ。

そう言って、彼女は俺の首筋に噛みついた。


「貴様!それは、禁止行為だぞ!!!!」

その行為の意味を男たちは知っているようで慌てている。

しかし、自分に何が起こっているのか自分自身でもわからなかった。


だけど身体が熱くなり今まで感じたことのない万能感を感じていた。

身体の底から力が溢れてきていた。


「おい、お前。その姿は!?」

自分が今、どんな姿なのかそれは判別出来なかった。

しかし今ならなんでもできる。

そんな気がしていた。


「お前たち!見てないで取り押さえろ!」

男たちは一斉に飛びかかる。

しかし、’’俺に’’触れることはなかった。


一瞬で飛び上がり、全員を躱す。

そして目標を失った男たちが重なっている場所に降りる。

「俺様を捕まえられるかな?」

「ハハハハハ!!!!!見た目も性格も味も超私好み!!!」


背中ではしゃぐ少女だったはずの女の子は、いつの間にか成人女性に変化していた。

しかし湧き上がる力のおかげか全く重さを感じなかった。

こちらの様子の変化に驚きつつもリーダーらしき男は、鬼人族に指示を出す。


「おい!カヅキ!やつを捕らえろ!少し手荒に扱っても構わん!」

鬼人族の男は、カヅキと言うようだ。

「任せろ!」

カヅキはこちらに勢いよく向かってくる。

絶対に敵うはずはない。

しかし、今の俺なら勝てる。

そう思えるほどに今の俺は力が溢れていた。


カヅキの攻撃を真っ向から受け止める。

「嘘だろ!?」

そしてそのまま自分の倍以上ある身体を持ち上げる。

カヅキは持ち上がったせいで力を入れることができずにいた。

藻掻くカヅキだったが、そのまま先程の男達がいた場所に放り投げた。


起き上がる途中だった男たちは飛んでくるカヅキを受け止める形でまた倒れてしまう。

その様子を見ていると俺の身体にはさらに変化が起きていた。


「ハハハ!まさかここまでの適応率を持っているとは!?私達は最高のパートナーだな!」

俺の背中ではしゃぐ女性を押しのけるように背中からは黒い翼が生えてきた。


今、生えたばかりの翼を使い空に浮かぶ。

生まれた時から生えているかのような使い心地だった。


これなら逃げられる。

そう思い、空高く浮かび上がろうとした俺にリーダー格の男はあるもの取り出した。


「それ以上抵抗する場合は、亜人保護法違反で逮捕する!」

そう言って取り出した物は、警察手帳だった…



それを見た瞬間に冷静になり、後ろの女性を見た。

女性は、まずいという顔をしたあとに目を逸らした。


空高く飛び上がるのを止めて静かに下に降りる。


そして頭を下げる。

「申し訳ございませんでした!逮捕だけはご勘弁を」


「ちょっと!私を売る気!!?」

背中で抗議する女性だったが、逃げようと力を入れているようだががっちりと抑えて逃さないようにする。


「俺は善良な市民なので警察への協力は、惜しみません!」

「協力感謝する、君にも一応事情を聞く必要があるから一緒に来てもらえるか?」

「わかりました!」


そう言って俺は、女性と共に連行された。

そしてこの一連の出来事が人生を大きく変えることになることに俺自身も気付いてはいなかった。


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