第7話 定食は力なり?
私、リリーと天子さんと鬼男さんはフリーカメラマンの道を行く為、いろいろと準備に追われていた。
無論、フリーカメラマンになるのは私だけど、一人だと寂しいし助け合える仲間もいるといいということで、天子さんとおまけで鬼男さんも一緒にいてくれることになった。
鬼男「おまけ〜?」
リリー「いや、私が言ったんではなくて、天子さんが」
天子「そう。おまけよ。」
鬼男「貴様…恩を仇で返すのか?」
あぁー、また始まるのかー?
天子「いやね!冗談よ(≧▽≦)
リリーを助けてくれたこと、本当に感謝してる。鬼男、ありがとう」
少しだけ鬼男さんの頬が赤くなるのがわかった。
鬼男「フッ!恥ずかしいことを言うな。だが、悪い気はしない。また困ったことがあれば、気軽に言え。遠慮は無用だ。」
気軽に言えるかはわからないけど、鬼男さん少しだけ心を開いてくれてよかった。私には相変わらず当たりがちょっとだけ強い気はするけど。
鬼男「ところでお前達二人は、腹ごしらえは済んでいるのか?」
リリー「ご飯のことですか?まだ食べてませんけど?」
鬼男「そうか。ならば、今日は俺がご馳走しよ。なんせ、食べなければ力も出まい。定食は力なりと言うからな。」
んっ!?何のことわざかな?なにかのことわざに似てるけど…
リリー「はっ!もしかしてー!」
天子「継続は力なり、でしょ?変なことわざ作んないでよ笑」
あっ…言われてしまった。
リリー「そう!それですよ!」
気付けば季節も変わり、10月の中頃になっていた。あんだけ暑かったのがいきなり寒くなってもう時期雪も降り始める。
今回の退職の話を両親に電話で伝えたけど、かなり心配してた。
でも私は、絶対に諦めない。今の私には強い味方がいる。
リリー「じゃあ!ご飯食べに行きましょう!」
鬼男「勝手に仕切るな!」
ここ最近まともにご飯なんか食べてない気がするようなしないような。その時別の場所ではなんだか騒がしくなりつつあった。
???「ここで間違いないか」
???2「多分…ここだ」
鬼男「俺がおすすめの場所は、ここだ。ラメーンという細い食べ物だ。どうだ?結構詳しいだろ?」
リリー「あのー?」
天子「ラメーンじゃなくて、ラーメンね!伸ばすとこ違うから!」
鬼男「何?ラーメンだと?お前…どこでその語源を知った?ルーツはどこだ!」
天子「うるさい!さっさと入るわよ!」
リリー「ははっ」
扉を開ける音「ガラガラー」
店の亭主「いらっしゃい!」
どこか懐かしい雰囲気のあるお店でカウンター席のみしかなかった。それもまた味があっていい。思わず私は持ってきたカメラを取り出し、おもむろにシャッターを切った。
天子「カメラ、持ってきたんだ?」
リリー「うん。なんかいい画が撮れそうかなと思って」
鬼男「貴様のカメラ愛には度肝を抜かれる。だが、これも夢の為だ。極めるといい」
リリー「は…はいー…」
天子「あんた何様のつもり?」
店の亭主「お客さん、何にしますか?」
鬼男「では、しょ…しょ…醤油ラメーンを3ついただこう」
店の亭主「醤油3つね。」
リリー「ところで鬼男さんはここのラーメン屋さんに何度か来たことはあるんですか?」
鬼男「ああ、創業当時から来ている。」
天子「めっちゃ通ってるじゃない。あんたそんなにラーメン好きだったの?」
鬼男「ここは、俺にとっての思い出の地でもあるのだ。俺が判断を誤っていなければ今でも一緒に来ていたと思うと、思いやられる。」
なんだか重々しい空気になってしまった。
あっという間にラーメン3人分ができ、いざ食べようとした瞬間、鬼男さんと天子さんが何かに気付く。
天子「!!」
鬼男「!!!」
リリー「いただきまー…」
ガラスが割れる音「バリーン!!!」
店の亭主「わぁー!!何だ!?」
リリー「あぁー!ラーメンがー!」
ガラスを割って男二人組が入ってきた。見覚えのない人だったけど、天子さんと鬼男さんはなんだか知り合いみたい。
鬼男「貴様…ラメーンタイムの邪魔をしたな?この罪は重たいぞ」
???「鬼の指導員と言われたお前が、こんなていたらくになっているとはな。情けない。」
リリー「誰ですか?やっぱ、お知り合いですか?」
鬼男「やつらは天鬼族の監視員だ。しかも、厄介な監視員をよこしてくれたみたいだな」
天子「あいつらは、悪魔の監視員、ビスとクイよ。監視員も何人かいるんだけど、その中でもとびっきりヤバい二人組なの。規則を破れば、容赦なく鉄槌を下す。打ち首もやるみたいね」
ビス「当たり前だ。貴様ら、地球の降りてなーにをしてるんだ?とっくに規則違反をしてるじゃないか?え〜?」
クイ「へっへっ…なー?お前ら、食っていいか?」
突如として現れた悪魔の監視員。なんだか凄く不気味なんですけど!