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私の記憶  作者: かりんとう
第1章 リリー
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第6話 決意そして再び

私、リリーは、店長から真っ当なことを言われ、今にも魂が抜けそうなとこを必死に抑えるぐらいの気持ちでいた。

返す言葉もなく、ただ沈黙が続いた。


店長「今年いっぱいまでは普通に頑張ってくれるね?」


リリー「はい。すみませんでした。」


店長「はぁー、残念だよ。」


勇気を振り絞って言ったはいいけど、気まずい雰囲気になってしまった。


なんか、



なんか、



なんか、思ってたんと違う。


へのへのもへじを書いたのにへのへのもへじにならなくて、なんか違うなーっていうのと同じぐらい違う感じがした。


今まで何も助けてくれたこともなく、面倒くさい業務は全部私に押し付けて、挙句の果てには残業は一切なしのはずが、入社したその日から残業をさせられる始末。


リリー「私はただ単純にカメラが好きで、写真が好きでもっといっぱい好きになりたい。だから自分の道を行く。それのどこがいけないんですか?」


店長「才能がないやつにカメラマンはできない。好きだけやっていけるほどカメラの世界は甘くないぞ。

ただ綺麗な写真を撮るぐらいなら、素人でもできる。写真からどんな物語があったのか、どんなテーマで撮ったのか、撮る側も見る側からも感じ取れる写真を撮らなければプロのカメラマンにはなれないぞ。」


リリー「それは、」


???「それは違うな」


思わず振り向くとえっー!なことになっていた。



鬼男「才があろうがなかろうが、こうなりたいと思う者に対して声援を送るのが上に立つ者の使命だと俺は思う。

なのにあんたは正論ばかりで、リリーに声援すら言おうとしない。同じ上に立つ者として実に恥ずかしい。」


おぉー、鬼男さん!?何してんのっ?てか、部外者を連れて来るなと言われたばっかなのに!


店長「えーと、お客様でよろしいですか?」


鬼男「黙れ。貴様のような者が上に立つことで新人が消えることをもっと恥じるべきだ。」


さすがにヤバいかなと思ったが案の定、店長の形相が変わり、店内に響くぐらいの怒鳴り声を上げた。


店長「いい加減にしろ!!営業妨害だぞ!橘!てめぇさっき言ったよな?部外者を入れるなって!クビだ!クビ!今すぐ荷物まとめて出てけ!」


その瞬間、鬼男が店長の顔目掛けて、一直線に拳を入れた。


顔面を殴る音「ボコッ!」


周りの物にぶつかる。


ぶつかる音「ガシャン!ガシャーン!」


鬼男「行くぞ。」


完全に営業妨害をしてしまったが、なんだか、モヤモヤした気持ちは晴れたような晴れてないような?でも、鬼男は私の為に戦ってくれたことは感謝でいっぱいだった。


荷物をまとめてその場を去る時、同僚はその場に立ちすくんで呆然としていた。それと同時にもう後戻りはできないと心に誓った。

どんなことが待っているのか、今からワクワクが止まらない。


その後、店長から私宛に手紙と給与と合わせて退職金が入っていた。手紙にはこう記されていた。


”橘さんへ“

あんなことを言ってしまったことを深くお詫びします。申し訳ない。正直なとこ、人手が足りなく、入ってきたと思ったらすぐに辞めてしまう人ばかりで、つい橘さんに当たってしまった。すまない。

橘さんがカメラで写真を撮る姿は本当に楽しそうで、純粋にカメラと写真を愛していることを肌で感じることが何度もありました。

プロの道は厳しいと偉そうなことを言ってしまったが、才があろうがなかろうが純粋に好きという気持ちを大事にすることが本当のプロなんだと気付かされました。

橘さんなら、きっと自分の夢を叶えられると信じています。頑張れ!

                店長より


涙が止まらなかった。初めて応援された。後押しをされることがこんなにも勇気をくれるなんて。物凄く胸が熱くなった。


リリー「うぅ…店長、ありがとう。」


天子「よかったわね。リリー。」


リリー「ゔん!でんござんもありがどう!うぅ…」


鬼男「フッ…感謝の気持ちを述べるときは泣き止んでからにしろ」


リリー「おにおざんもありがどう!」


私、リリーは自分一人の力じゃここまで来れなかった。みんなからの支えでここまで来れた。私はずっと一人だと思っていた。

でも今は一人じゃない。強い味方ができました!守護神という強い味方が!


だがこの時、リリー達の前に立ちはだかる大きな試練が来ることをリリー達はまだ知る由もなかった。


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