第5話 天子の気持ち
鬼男は天子さんに人間の肩を持つなと言われ、そのまま鬼男は去っていったが、天子さんはなんだか、追放されることよりも鬼男に理解してもらえないことのほうが辛く、とても悲しそうな表情になっていた。
リリー「天子さん…その、私、」
天子「いいのよ。これで。それにちっとも迷惑だなんて思ってないわ。私が勝手にやってることだもの。」
リリー「天子さん。」
リリーは天子さんに自分の胸の内を話すことにした。
リリー「正直ね、2年あの会社にいて、これからいろんなこと学んで、いろんなこと勉強してこれから写真家としていろんな経験を積んでいくって思ったら、ワクワクが止まらないの」
天子さんは優しくて、他の守護神なんかと比べ物にならないくらい、凄くて、自分のことより私の心配をしてくれて凄く嬉しかった。
私も、天子さんみたいな人になりたい。
リリー「だから、だから私も天子さんみたいな人になる為に、決心しました。天子さん。私と一緒に来てくれますか?」
天子さんは何も言わず何かを悟り、頷いた。
翌日、私は天子さんを連れて職場に行った。
店長に何を言われるかわからないけど、私は自分の道を行くことを店長に伝える。その覚悟を天子さんにも見てほしくて職場に連れてきた。
扉を叩く音「コンコン」
リリー「失礼します」
緊張で声が震える。手も凄い震えてる。震える手をグッと抑えながら、店長と対面する。
店長「どうぞ。珍しいね、橘さんから用があるなんて。どうしたんですか?」
リリー「あのー、あの…その…えーと、わ、私、その…突然で申し訳ありませんが、今年いっぱいで、退職を、させてください。」
ついに、ついに言った!勇気を振り絞って言うことができた。だが、店長の顔はまるで理解をしていない様子だった。
店長「んっ?ちょっと、いきなりどうしたの?」
リリー「今年いっぱいまでどんな業務もこなします。だから!」
店長「そういうことを言ってんじゃないんだよ!!辞めることは別に構わない!君はなんで辞めるのに部外者を会社に連れてきてるんだってことを言ってんだよ!
そういうとこが常識ねぇって言ってんだよ。カメラマンの才能がないのもそういうとこだと思うぞ。」
真っ当なことを言われてしまった。でも、カメラの才能は関係ない。そんなこと言われる筋合いもないと思ってしまった。