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第1話 転生

目を覚ますと、見知らぬ世界にいた。目の前には20歳にも満たないだろう女性が私を抱え、途方もなく暗い顔をしているのが見て取れる。周囲には何人かの人々がいて、彼らも同じように暗く、どこか軽蔑するような表情を私に向けていた。しかし、なぜ彼らがそんな顔をしているのか、私は理解できなかった――自分の姿を鏡で見るまでは。


その中で、一人だけ周囲とは異なる表情を浮かべ、私を憐れむような目を向ける者がいた。彼女は他の人々と違い、エメラルドグリーンの目立つ髪をしており、尖った耳を持ち、少し長い髪が特徴的だった。服装も質素で、おそらく私を抱えている女性の従者だろう。彼女が他の人々とは違う種族であることは明らかで、後にそれは正しかったことが分かる。


私はその従者らしき女性と話そうと考えたが、しばし思案した後、それを思いとどまった。周囲の印象が悪い中、さらに状況を悪化させるのは得策ではないと考えたからだ。そうしてその日は静かに過ごし、特に何も起こらなかった。


翌日、目が覚めると、私は昨日とは全く異なる場所――静かで薄暗い、狭い部屋に移されていた。昨日の人々の表情から、歓迎されていないことは明らかで、むしろ殺されてもおかしくないと考えていたが、それにしてもここまで準備が整っているのは不自然に感じた。私を一体どうするつもりなのだろうか。ある程度の予想はつくが、細かい意図までは分からない。情報が不足しているため、何とかして集めたいが、この部屋には誰もいない。


とりあえず、これまでの情報を整理することにした。昨日私を抱えていた女性は、おそらく私の母親だろう。周りにいたのは親類縁者で、従者らしき者は母のお世話係というところか。周囲の人々がしっかりした服装をしていたことから、この家が貴族か商人のものであることは間違いなさそうだ。そして、私がこの部屋に連れてこられた理由だが、あの従者が何かしたのだろうか。最も理解できないのは、私の容姿を見た時に皆が浮かべたあの表情の意味である。


ちょうどその時、部屋のドアがノックされた。返事をするかどうか迷っていると、昨日見た従者が勢いよく部屋に入ってきた。いきなりの侵入に抗議しようとしたが、声が出ない。まったく喋れないのだ。


従者はすぐに私を抱きかかえた。昨日も抱えられたことで自分が小さいことは認識していたが、ここまでとは思わなかった。思うように言葉を話せないことや体重の軽さを考えると、もしかして私は今、赤ん坊の状態なのではないかと考えていたところ、従者が口を開き何かを話し始めた。


「______________」


彼女が話していることは分からないが、表情からするとポジティブな内容だろうということは理解できた。とりあえず、この世界に適応するため、言語の勉強を進めることに決めた。


---


1か月が経ち、いろいろと分かってきた。母は貴族の出で、王太子に嫁ぎ王妃になる予定の女性らしい。従者は母のお世話係であり、身の回りの世話や教育を担当している。また、この世界には魔法が存在することも知った。魔法は、空気中に存在する「魔素」を取り込んで使うものだと、従者が寝る前に話してくれた。実際に使って見せてくれたが、非常に便利そうで、私も練習したいと思っている。ただ、この部屋から出られないので、それが目下の課題だ。


最も気になっていたのは、あの日なぜ母やその周囲の人々があんな顔をしていたのかということだったが、その理由は私の容姿にあった。私の容姿は、この世界にかつて厄災をもたらした者に非常に似ているらしく、一時は殺すべきだという声も上がったそうだ。しかし、母が助命を嘆願し、私を母の実家に幽閉し、従者が様子を見るということで決着したらしい。完全に厄介者扱いである。実際、この部屋には母の従者とメイドしか訪れず、1か月が経っても他に誰も来ない。


言語の理解に関しては、従者の毎日の読み聞かせのおかげで、かなり上達してきた。この部屋には幸いなことに本がたくさんあり、魔法の本もありそうなので、じっくり読んで習得するためにも言語の勉強は必要不可欠だ。


---


8か月が経過したが、依然として外に出してもらえない。毎日同じことの繰り返しだ。朝起きて扉の前に置かれた朝食を、メイド(従者とは別)に食べさせてもらう。朝食は貴族の家らしく、バラエティ豊かで栄養が考えられており美味しい。

その後、従者が来て歴史の読み聞かせを昼食まで行う。ただし、この歴史はやたらと国王を賛美しており、愛国心を植え付けようとしていることが見て取れる。従者も同様に国王を称賛し、それが私の敵対心を防ぐための措置だろう。しかし、幼少期からの洗脳に私が簡単に屈するとは思えない。そんな扱いをされていると思うと、非常に腹立たしい。


昼食後には、従者による魔法の読み聞かせと実演が行われる。彼女はエルフという種族らしく、魔法の扱いに長けている。彼女によれば、魔法には火、水、木、土、風の基本五属性に加え、光、闇の特異属性、無属性魔法、精霊魔法、固有魔法など様々な種類があるらしい。魔法の階級は初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、神級とあり、人間が上級魔法を扱えるようになると一人前とされるとのこと。ちなみに従者は帝級魔法まで扱えると言っていた。エルフの中には、神級魔法をすべて無詠唱で発動できる長老と呼ばれる者がいて、その存在はまさに生ける伝説といえる。従者もかつてその長老に会ったことがあり、特別な魔法を教わったそうだが、詳細は秘密とのことだった。とにかく、私は早く成長して魔法を使えるようになりたい。


従者による魔法の読み聞かせと実演が終わった後は、メイドに夕食を食べさせてもらい、風呂に入れてもらう。こうして、一日の活動は終わる。ざっくりとこんな日々を送っている。


こうして、私の幼少期はあっという間に過ぎていった。

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