俺は、小袋をリンに渡す。
ある種のネタバレ込み?
倒したモンスターを全て渡した。
勿論、向こうは拒否したが、ハイオークが1匹居たから、その1匹だけで充分と言って押し切った。
まあ、御者付きの自前馬車持ちで、男1人に女4人のパーティー編成に、実際の値段は分からないが、良い装備品を身に付けている事から、金には困っていない事を察してくれたから、押し切れたとも言える。
そして、現場の処理が終わると、向こうの責任者が挨拶したいと言ってきた。
「改めて、お礼を言わせて頂きます。私達を助けて頂いてありがとうございます」
俺達に挨拶する為に現れた責任者は、そう言って頭を下げた。
その後は、お互いの自己紹介をした。
そこまでは良かったのだが、問題が発生したよ。
責任者が少女で、「美」を付けても誰も文句は言わないだろうが、問題はそこじゃない。
問題なのは、責任者が「聖女」だったという事だ。
確か、この大陸に存在する、所謂聖教国、つまり、神の代理人が統める国で、公式発表している聖女の数は「5人」で、その内、年若い聖女は3人と聞いているが、彼女はその内の1人で、名前が「ソフィア(15歳)」だ。
「聖女のソフィアです」
……勘弁してくれ。
絶対にフラグが発生したぞ、コレ!
「何故、聖女という立場の貴女を守る者達が、この人数なんだ?」
情けで、強さはスルーした。
「実は……」
話を聞くと、護衛の彼らは試験中で、試験内容が、目的地までの聖女の護衛。
そして、目的地に向かう途中で、モンスターの襲撃を受けた訳だが、試験に合格すると聖騎士入団だった。
因みに、試験中に聖女であるソフィアが手を貸したら、不合格になる。
そして、俺達が手を貸すのはギリセーフだと言う。
当然、聖女の周りのお世話を男性にさせる訳にはいかないから、専属の女神官も2人居て、名前が「マリベル」と「ロイナ」だ。
マリベルが外見が20代前半で、ロイナが10代後半って感じだ。
序でに、護衛の試験中の彼らの名前は、「ファスト」、「セカード」、「サズド」、「フォス」、「ファイズ」、「シークス」、「セブス」の7人で、女性は「シークス」と「セブス」の2人だ。
まあ、テンプレみたいに、マリベルは俺達に対して警戒心を隠して無いし、逆にロイナは仲良くなりましょうな空気を出している。
「皆様にお礼がしたいので、是非、神殿に来て頂けませんか?」
「ソフィア様、危険です!」
「何故ですか?」
「当たり前です! 素性の知れない者を同行させるなんて!」
「それは違います。彼らは、私達の命の恩人です」
「しかし……」
「私が決めた事です」
「……分かりました」
……勿論、この瞬間、マリベルに睨まれた。
結果、俺達は聖女様御一行に同行して、共通の目的地である街「ガレンダル」に向かったのであった。
聖女様御一行は、貴族用の門から入った為、随行している形の俺達も貴族用の門で軽いチェックで終わり、ガレンダルに入った。
蛇足で、聖女ソフィアが俺達の馬車に乗りたがったが、俺達全員で丁重に断った。
同乗すれば、更なるフラグが建つのは分かっているからな。
まあ、アリシア達は、普通に聖女様と同じ馬車なんて、と思っていたみたいだが。
「皆様は、暫くの間ですが、こちらの部屋でお待ちください」
俺達と聖女様御一行は、神殿の裏口から入り、スタッフオンリーのエリアの応接室に通されて、神殿の責任者を呼ぶという事で、待つ事になった。
蛇足だが、マリベルからは睨まれたままだと御報告しておく。
待つ事40分で、神殿の責任者とやらと、聖女ソフィアにマリベルとロイナに、護衛のリーダーのファストとサブリーダーのセブスが入って来た。
「初めまして。この神殿で責任者をしている司教のブルタスです」
向こうが挨拶と自己紹介をしたから、俺達も自己紹介をした。
終わると早速だが、お礼の話になった。
「冒険者『星屑』の方々には、聖女ソフィア様を助けて頂きました。
神殿として、充分なお礼をしたいと思います」
そう言って、硬質な音を出す小袋が俺の前に置かれた。
「金貨10枚、入っております」
中身を確かめると、倍の金貨20枚入っていた。
要するに、口止め料込みという訳か。
「確かに」
俺は、小袋をリンに渡す。
「勿論、神殿としても、お金を渡して終わりにする訳にはいきません。
1泊で結構ですので、泊まって頂けませんか? 私達は、皆さんを歓迎します」
アリシア達を見ると頷いている。
「分かった。歓迎を受けたいと思う」
「それは良かった」
司教ブルタスと護衛の冒険者2人が退室した後は、ソフィアからの質問責めを受けたが、何とか躱して、差し障りない内容に留める事が出来た。
それと、何度も言うが応接室に入ってから、マリベルは俺を睨んだままだ。
ロイナも時々は「ほぇ~」とか「そうなのですか~」とか返している。
その後、聖女ソフィアの質問責めを躱し終わると、俺達が泊まる客室に案内され、マリベルが睨む以外は問題無く、今日が終わった。
その夜……
「まさか、俺達を消す為に即日対応するとは思わなかったよ」
「く……」
「仮にも、聖女の命の恩人を、身元不明という理由だけで殺そうとするとは、な」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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