奴隷の証言だ。信じてくれるな?
何しろ、「魔境」ですから。
あの後、軽く雑談をし、俺は用意された客室に戻ると、何故かモデルがアリシアのファションショーが繰り広げられており、俺に気付いておらず、ちゃっかりアリシアが着替え終わってから扉を音を立てて閉める。
「何をしているんだ?」
「ち、違うのヤクモ」
何か、アリシアが浮気現場を押さえられ、言い訳をしようとする恋人みたいだな。
「リン、説明を」
「はい。ヤクモ様へ部屋から出られた後、ベルティーナ様とウルリカ様から……」
その後の説明は、要約すると、妹が欲しかったウルリカと、抵抗されて着せ替え人形をウルリカに出来なくなったベルティーナが、アリシアに目を付けて、自分達の立場を利用しゴリ押しで、アリシアだけのファションショーが始まった、てのが真相みたいだ。
「さあ、ベルティーナ様にウルリカ様。
もう寝る時間ですよ」
「分かりました。アリシア、またやりましょうね」
「分かったわ。アリシア、またやりましょうね」
「か、考えておきます」
アリシアのファションショーが終わったのだが……
……アリシアに「紫」はまだ早い!
翌日の今日は、規模的には町級の広さの王都を散策する予定で、今、案内人を待っている。
昨日、ベランダで女王陛下と雑談した時に、「それなら、明日、案内人を用意するわ」と言われたからだ。
……来たみたいだ。
「大変お待たせしました、ヤクモ様に仲間の方々。案内人の『エレナール』です。
エレナと呼んでください」
「それじゃあ、案内を頼むエレナ」
「はい!」
エレナの案内で王都を廻る中、見事な銀細工を売る店があったから、アリシア、リン、マルティナ、エレナに1つずつ贈った。
エレナは、自分まで貰えるとは思っていなかったみたいで、最初は「ポカン」と口を半開きでいたが、直ぐに正気になり、遠慮をしていたが、俺の我が儘で押し通した。
3人の綺麗な笑顔のお礼を貰ったが、勿論、エレナからも……
「ありがとうございます、ヤクモ様!」
綺麗系の代表の様なエルフから、可愛い系の笑顔のお礼は、かなり攻撃力が高かったとだけ言っておこう。
(注意∶最近の「駄」系のエルフはスルーでお願いします)
その後も、エルフ族の伝統的な民族衣装を買ったり、エルフ族の調味料を買ったり、最近流行っている店で昼食を食べたり、色々と廻り、最後は、エレナお気に入りの絶景ポイントに行った。
「綺麗だな」
「綺麗ね」
「綺麗ですね」
「綺麗であります」
「良かった。この場所のこの時間は、沈み始めた太陽に照らされて、景色が凄く綺麗になるの」
……俺達は、時間を忘れて綺麗な絶景を眺めていると、警報が鳴り響いた。
「大変だわ!」
「何が起こった、エレナ」
「あの警報は、数百年に一度有るか無いかの、森の奥から強襲するモンスターを発見した時の警報だわ!」
「エルフ達はどう対応するんだ?」
「戦えるエルフ族が結集して対応するわ」
「……つまり、被害も大きいと」
「……ええ」
「勝てるのか?」
「……撃退がやっとよ」
「良かったわね、エレナ」
「そうですよね、ヤクモ様?」
「そうであります、エレナ」
「全く……。そうだぞ、エレナ」
「どういう事?」
「女王陛下から聞いていないのか」
「何を?」
「俺の冒険者としての経歴」
「いいえ」
「それなら特等席で見せてやるよ」
「何を?」
「この国のエルフ達が、数百年以上抱えた悩みが解消される瞬間を!」
話の流れと、俺のアイコンタクトで察したアリシア達がエレナを拘束すると、俺達はエルフ国を強襲するモンスターの所に向かった。
「え~!?」
何時も、そこで撃退しているのか、かなり広い荒野が、そこにあった。
既に、足止め要員のエルフ達が結界を張っている。
「カナル兄さん!」
「エレナ!?」
結界を張るメンバーの中心の位置に居る。
つまり、実力があるという事か。
そんなエルフが兄だと言うのなら、エレナもそれなりの実力を持っているのかもな。
「どうして、此処に?」
「それは、こっちの台詞だ!
何故、此処に来たんだ!」
「それは……」
「そこからは、俺が説明する」
「誰だ?」
「Sランク冒険者のヤクモだ」
「仲間のアリシアよ」
「ヤクモ様の奴隷リンです」
「同じく、マルティナであります」
「幾ら、Sランク冒険者といえども、たった1人では無駄死にだ。直ぐに王都に避難するんだ!」
「俺が、Sランク冒険者になった理由を教えてやるよ」
「そんな事はどうでもいい。命を無駄にしない為にも早く王都へ……」
先程から、何よりも俺達の安全を優先している。
優しくも冷静な判断だ。
「俺が、Sランク冒険者になった理由は、単独で『災害級ザカリアス』を討伐したからだ」
「な、何を言っている。私は、あの撃退戦に参加したのだぞ。
だから知っている。あの災害級ザカリアスの桁違いの強さを!」
「事実だ。リン!」
「はい、ヤクモ様」
「今、この瞬間からの過去の全ての命令を破棄する」
「畏まりました、ヤクモ様」
「命令する。俺がSランク冒険者になった要因は何だ?」
「災害級ザカリアスを、ヤクモ様に因って単独討伐したからです」
「リン、先程の命令破棄を撤回する」
「畏まりました、ヤクモ様」
「奴隷の証言だ。信じてくれるな?」
「あ、ああ。奴隷の証言なら信用出来る」
「その俺が此処に来たんだ。意味は分かるだろう?」
「つまり……」
「明日からは、あの警報を聞く事は無い!」
「「「「「「「おおーーー!」」」」」」」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




