引き取り、正式に王族に迎える
言質を取られない様にしないと。
翌日、朝食を済ましてゆっくりとしていると、王城から来た馬車にしてはかなり地味な外見の馬車が来た。
どうやら、乗り心地優先の馬車みたいで、快適に王城に到着した。
王城に入ると、文官が案内してくれたが、途中からメイドが案内をしている。
もしかして、この国も「王宮」を案内するのはメイドの仕事か?
……応接室に入ると予想が当たっていた。
「初めまして。王妃のアラセリスよ」
「お久しぶりです、ヤクモ様。改めてご挨拶させて頂きます。
第3王女エレサリアです」
俺との緩衝材に王族の女性を出してきた。
まあ、悪手じゃないのは事実だな。
「そして、この国の現国王エドムンドです」
「儂がエドムンド国王である。
ヤクモ殿。昨日は大変申し訳ない」
そう言ってエドムンド国王は頭を下げた。
「どうせ、対立派閥の仕業でしょう」
「……何故、知っている!」
「当たりかよ……」
この後、壁だったアルカルナ宰相から説明を受けた。
どうやら、対立派閥の逃げ切れた残党が裏で動いていたみたいで、俺達の訪問の報告を途中で握り潰したみたいだ。
とりあえず、直接動いた奴と命令を出した奴は捕えて「色々(・・)」と吐かせているらしい。
「マリベージャル国王。この報告に責任を取れるか?」
「うむ。国王として誓おう」
「分かった。その報告を以て謝罪として認めよう」
俺がそう言うと、国王と宰相が被っていた血統書付きの「猫」を捨て、深い溜め息を吐いた。
「それで、王妃や王女は、この国から家出した母娘の事を知っているのか?」
「勿論です。事は王の血統に関わる事ですから」
「私もです」
「分かった。王家としてはどうする?」
「引き取り、正式に王族に迎える」
「そうか。本人の意見は、『田舎の閑素な村で生きた無教養の私には、今更、国の最高峰の教育が必要な王女は絶対無理!』と、言っていた」
「まあ、確かにそうよね。私だって5歳から始まったしね、王女教育」
「確かにそうですね。幼少期から始めないと身に付かないわ」
「そういう訳で諦めろ」
「……分かった。王女として迎えるのは諦めよう」
「言っておくが、目的や理由を問わず、監視や束縛監禁したり、あの都市から外に連れ出したら、俺の敵だからな」
「……分かった。一切を諦めよう」
何が「王女として迎えるのは」だ。
拉致して、王族派の適当な上位貴族の養女にして、迎えるつもりだったのだろう。
これだから、言葉の応酬で将来や生死が決まる世界で生きているだけあって、油断ならないな。
「さて、ヤクモ殿。昨日言った通り、謝罪と御礼についてですが……」
「第3王女を嫁に、ならお断りだ」
「ダメですか?」
「ああ」
「ヤクモ様、私がお嫌ですか?」
「嫌です」
何処かの作品では、「嫌じゃないです」と言って夜の意味で食べている主人公が居るが、俺は「NO」と言える立場だ。
「そんな……」
「ヤクモ様、ダメですか?」
王妃が若干捨て身で、谷間チラをしながら上目遣いで聞いてきたが、答えは変わらない。
「嫌です」
「そうですか」
王妃が本当に残念そうに言った。
「そ、それではヤクモ殿で、ご希望がございますか?」
現金なら、ちょっと災害級モンスターを一匹討伐すれば、一生遊んで暮らせる額が手に入るから無し。
武器等の装備品は、この世界での神話級以上を多数所有しているから無し。
魔道具は、ワンチャンの可能性有りだが、食指が動く魔道具が無かった場合は……
「それなら、宝物庫で譲渡してもいい魔道具を1つと、禁書を含む全ての書物の閲覧許可が欲しい」
俺のギルド名「ラジャス・アーク」を偽名に使った死霊術士が、あの「4人」の中の「誰」かだとしても、既に数百年経過している。
だから、行方を追っても手遅れだ。
万が一の可能性としては、ラノベ的な転移や転生時のチート特典で長寿の種族になれば会える可能性が有るが、あの世界と、この世界が同じ時間の流れとは限らないからな。
だから、1番可能性の高いのが、俺のギルドに悪意的なプレイヤーだろう。
俺の金目当ての奴らばかりだったから、一切のギルド加入を認めなかったからなぁ。
だから、ソロギルドだった理由が「ぼっち」じゃないからな!
「分かった。禁書を含む全ての書物の閲覧許可と、我が宝物庫から譲渡出来る魔道具1つを進呈しよう」
そんな訳で、俺達と宰相と宝物庫管理責任者と一緒に宝物庫に向かった。
……到着!
流石に、リアルなファンタジー世界の宝物庫は違うなぁ。
結構、興味が引く魔道具が有るな。
しかし、戦闘系は先ず除外だな。
災害級ザカリアスを超える素材を使用した装備品があるとは思えないからな。
それ以外で、興味が引く魔道具は有るには有るが、国の「宝物庫」から貰いたいと思える魔道具は無いな。
でも、この国の矜持を守る意味で、「何も要らない」と言う訳にはいかないから、戦闘や戦争時に、それに平和時の両方で活躍する事があまり無い魔道具を選ぼう。
……お、適当な魔道具を発見!
「コレにしよう」
「ソレでよろしいのですか?」
「ああ」
「分かりました」
俺が選んだ魔道具は「オルゴール」だ。
ただ、動力が魔石を使っているだけの魔道具で、宝物庫に置かれている理由が、このオルゴールが、当時、天才の名を欲しいままにしていた巨匠の最後の作品だったからだ。
因みに、数百年前の作品らしい。
宝物庫を後にした俺達が、宰相と一緒に先程の応接室に一旦戻る事になり、向かっていると、近衛騎士団長が声を掛けて来た。
しかも、騎士ザカエルも一緒に。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。
ネタに使った作品は、ご都合主義な所は有りますが、普通に楽しく読んでいます。




