訪問理由は?
ホウレンソウが出来ていないと恐怖ですよね。
マリベージャル国の王都に、朝方に到着した俺達は、今日泊まる宿屋を決め馬車を預けて、王城に向かった。
30分後に王城に到着して、表向きの身分を明かして、手続きで待たされた後、王城の応接室で待っている状態だ。
……まだか?
応接室に通されてから5時間以上は経過した筈だ。
俺はきちんと身分証明をしたし、向こうも確認したからこそ、可笑しい。
応接室に通したにも関わらず待たせ過ぎだ。
「帰るぞ」
「そうね、ヤクモ」
「畏まりました、ヤクモ様」
「分かったであります、ヤクモ殿」
俺達は、皮肉たっぷりな書き置きを残して、応接室を出ると監視兼見張りの騎士が居たが、その騎士の制止を振り切り王城を後にした。
俺は王城から出ると、アリシア達に認識障害の魔法を掛けた。
「ヤクモ様?」
「嫌がらせだ」
「ヤクモも、黒いわね」
「5時間以上待たされたから、これくらいは可愛いもんだろ」
「まあ、確かにね」
「アタイ、腹減ったであります」
「そうだな。適当な食堂でちょっと遅いが昼飯にしよう」
「やったー!」
辺りに漂う匂いで、選んだ適当な食堂で少し早い夕食にしたが、運良く当たりで美味しかった。
認識障害の魔法を掛け直して、軽く散策してから宿屋に戻った。
マリベージャル国side
「宰相よ。今日は午前中の仕事がかなり少なかったな」
「確かに」
「今後も、こうであって欲しいものだ」
「そうで……」
「国王陛下ー!」
「何事だ!」
「国家の存亡に関わる故、直接に報告がございます!」
「国家の存亡とは、どういう事だ?」
「落ち着いてください、国王陛下」
「……話せ」
「はっ! 今日の午前8時半頃にSランク冒険者ヤクモ様と、その冒険者パーティーの方々が面会を希望しておりましたが、先程、帰られました!」
「「なっ!」」
「しかも、書き置きがあり、かなり御立腹の可能性がございます!」
「宰相」
「はっ」
宰相に騎士が持つ書き置きを取りに行かせ、内容を宰相が確認しているが、顔色が一気に悪くなっておる。
そして、蹌踉めいたが、何とか踏ん張り、その書き置きを儂に持って来た。
読むと、皮肉な描写を多用した内容であり、向こうの怒りが最も感じるのが、直訳すると「エルフ国と直接関わる者を残せば、交流国は別に他国でも問題無いよな」と書かれている部分だ。
これが真意であった場合は、少なくとも我が王家の血統が途絶える!
彼のSランク冒険者ヤクモは、あの災害級ザカリアスを単独討伐する程の規格外を遥かに超えた、正に化物級の強さを誇る強者。
当時の考えられる最強の布陣でさえ、倒す事が出来ず、撃退するのがやっとのモンスターを討伐したのだ。
国1つを潰すぐらいは軽く熟すだろう。
つまり、騎士の言う通り、「国家存亡の危機」と言える。
「大義であった。後で使いを出す故、その時に知る全てを話せ」
「はっ! 御前失礼します」
自身の家族の死刑さえ覚悟して、報告をした騎士を下げさせると、宰相に聞いてみる。
「どうする、宰相」
「はい。先ずは訪問理由の確認です。国王陛下の御落胤に付いての報告を受けています。恐らくは、彼の冒険者の訪問理由は、それかと思われます」
「そんな事で、動くのか?」
「はい。調書に因れば、気を許した者には、善人、いえ、お人好しと言える言動をしています」
「それなら……」
「ですが、敵対者に対しては冷酷な対応をしています」
「……直ぐに、居所を探し出し、謝罪をし、明日、王城に来て頂ける約束を取れ!」
「はっ!」
「同時に、報告が途切れた原因を徹底的に洗い出せ!」
「御意」
最悪、儂の命と引き換えに、王妃と子供達の命だけでも助けねば……
ヤクモside
さて、あの書き置きを読んで、この国はどれだけ早く動けるかな?
宿屋の部屋でのんびりしていると、午後8時過ぎに宿屋から面会希望者が来ていると伝えられた。
会う許可を与えると、2分も経たずに扉がノックされた。
「どうぞ」
「夜分に失礼する」
渋みが強い50代前半の男性と、鎧を装備した騎士2人が入って来た。
「どちら様?」
「初めまして。私、このマリベージャル国で宰相の任を就いていて、爵位は侯爵位で名を『ダゼルド=ラーハ=アルカルナ』と言います。後ろの2人は、近衛騎士団長ダーレルと騎士ザカエルです」
宰相と名乗った男が自己紹介をすると、後ろの2人は頭を下げた。
「訪問理由は?」
「貴様、下民の分際で、その言葉使いはなんだ!」
「黙れ、ザカエル」
「しかし……」
「黙れ」
「……」
「失礼いたしました。
今日、王城まで態態お越し頂いたにも関わらず、不作法、いえ、それ以下の対応をしてしまい申し訳ありません」
「それで?」
また騎士ザカエルが、一歩前に出て文句を言いそうになるが、近衛騎士団長が制した。
「多大な時間を無駄にしたお詫びと、来国して頂いた御礼をさせて頂きたいと思っております。そこで、明日、来城して頂けないでしょうか?」
俺はアリシアとリンを見ると、アリシアとリンは頷いていた。
マルティナは、頭を使う事が苦手そうだから見ていない。
「分かった」
「ありがとうございます! では、午前9時に馬車を寄越しますでお願いいたします」
宰相と騎士団長は頭を下げたが、騎士ザカエルは頭を下げず睨んでいた。
アレは、俺の情報を知らないか、知っても「カタリ」だと思っているのだろうな。
本当に「カタリ」なら、仮にも一国の王が、自身の権限と同等の権力を渡す訳が無いのにな。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




