……本物なのか!?
正確な時間を計ってないので適当です。
マリーに案内される中で、あちこちにある果物屋さんで色々と摘み食いしながら、俺達は街を廻っていた。
「お昼は、家には劣るけど、美味しい料理を出す店がこの近くにあるから、どう?」
「皆は良いか?」
3人共が頷いたから、その料理を出す店に向かったのだが、もうお昼時なのに閑古鳥が鳴いていた。
「これは! ……どうしたの?」
「マリーちゃん、久しぶりだね」
「それより、何故、店がこんな事になっているのよ?」
「マリーちゃん、後ろの方々は?」
「信頼出来る人達よ。それよりも……」
「実はね……」
簡単に言えば、悪質な地上げ屋に絡まれているみたいだった。
最近では、店主である料理長が暴漢に襲われて右腕を骨折させられた。
そして、今、途方にくれていた訳だ。
更に、もう直ぐ地上げ屋が来るらしい。
「とりあえず、その骨折を治療しようか?」
「え!?」
「勿論、無料という訳にはいかないが」
「ありがたい申し出ですが、そんな高額な治療費は払えません」
「大丈夫。そんなに高くないから」
「それでも……」
「治療費は、俺達の1食分と、俺が治療出来る事を黙っている事。どうだ、高く無いだろ」
「……本当ですか!?」
「どうするかはそちらの自由だが、治療自体はきちんと出来る」
家族全員で話し合ってから12分後に結論が出たみたいだ。
「お願いします」
「後、追加で銅貨1枚払えば、地上げ屋の方も引き受けるがどうだ?」
「「「はい!?」」」
「大丈夫よ。彼、盗賊団の討伐も出来るの」
「「「お願いします!」」」
……即決か。
思っていた以上に追い詰められていたんだな。
銅貨1枚を受取る。
「引き受けた」
その後は、地上げ屋が来るまでの時間を利用して、これまでの経緯を詳しく聞いた。
そして……
「お邪魔するよ」
「彼らです!」
地上げ屋が来た。
人数は6人。
「おや、お客さんが来ていたようだね」
「お前らが、この店を手に入れようとしている地上げ屋か?」
「地上げ屋なんてとんでもない。私達は、新しい場所を勧めているだけです」
「店の主人の右腕を骨折させたのも?」
「誤解です。不幸な出来事ですが、私達は無関係ですよ」
「好き放題言っているが、こちらには面白い情報が手に入っていてな。出す所に出せば、誰かが間違いなく不幸になるだろうな」
俺がそう言うと、地上げ屋の空気が変わった。
「……何を知っている?」
「おや? 何か心当りがあるのかな?」
「ガキが生意気なんだよ! ……やれ」
……え!?
いや、この程度で、実力行使に出る様な事をやっていたのかよ。
まあ、釣れたから良いか。
俺は密かに「王紋」を背中に回していた左手に「蔵」から出して握る。
それを、後ろに居るリン達に見せてから、わざと一発だけ殴られる。
「はい。不敬罪と正当防衛成立な」
「何を言ってやがる!」
「下っ端が知る必要は無い。お休み」
「な……ぐはぁ」
一発は一発で、俺を殴った奴に腹パンを一発入れて沈めた後、無詠唱で睡眠魔法を掛けて制圧した。
リンに、衛兵達を呼んで貰って、地上げ屋共を詰め所に運んで尋問した。
「何故、この程度で詰め所に連行されて尋問を受けなければならない!」
「権力を持つ俺に、暴力を振るったからな」
「貴様、貴族だったのか!」
「そんな所だな」
「ふん! それなら尚更覚悟するのだな」
「どういう事だ?」
「私の後ろ盾は、貴様以上だ」
「俺以上、ね」
こら、後ろで笑わないの!
リン、アリシア、マルティナが声を殺し肩を震わして笑いを堪えているよ。
そして、また釣れた。
「おい! ウホーア達が連行されたと聞いたが本当か!」
「ネダカーバ様!」
「誰?」
「この街の領主様の3男のネダカーバ様だ」
「……ああ、なる程な」
「何か分かったの、ヤクモ」
「軽くて欲望を満たす為。悪くて爵位略奪とかになるだろうな」
「ああ!」
アリシアは分かったみたいだ。
次男でさえ、2、3段下の予備でオマケ扱いが多いのだから3男は……
「睡眠魔法」
……バタン
領主の3男ネダカーバを眠らせた。
「おい!」
「大丈夫」
俺は、衛兵長に王家の短剣を見せる。
「こ、これは!?」
「この短剣の意味が分かるか?」
「当然だ!」
「それなら、地上げ屋共を解放しない様にな」
「はっ!」
「それじゃあ、残り10分にいきますか」
「残り10分?」
「いや、何でもない。こちらの事だ」
「はぁ……」
衛兵長とお供2人を連れて、俺達は領主館に向かい到着した。
勿論、ネダカーバはお供2人が運んでくれた。
衛兵長を前に出したから話がスムーズに進み、俺達は領主との面会が直ぐに成立した。
「それで話とは?」
「実は……」
ネダカーバが指揮して、街の店を不当に手に入れようとした事と、その為に店の者に暴力を振るい骨折までさせた事を話した。
「それは本当なのか?」
「本当だから、衛兵長達が同席しているし、ネダカーバが拘束されている」
「……なんという事だ」
「この街を治める領主としての裁決は?」
「地上げ屋には、警告を出して3男のネダカーバには3ヶ月の謹慎を言い渡す」
「やっぱり、一発殴られて正解だな」
俺は「蔵」から王紋と証明書を見せる。
「……本物なのか!?」
「本物なら、国王に暴力を振るった事になる」
「……信じられん」
「奴隷の主として命令する。過去の命令を全て破棄する。そして、命令する。真実を答えよ。
この『王紋』は本物か?」
「はい。その『王紋』は本物です」
「奴隷の主として命令する。先程の『過去の命令を全て破棄する』を撤回する」
「畏まりました」
「信じたか?」
「……ああ。奴隷への命令は絶対だからな」
「俺は、この王紋を出した状態で一発殴られたからな」
「……分かりました。地上げ屋は今までの経歴を洗い直して全員を最低でも鉱山労働5年とし、ネダカーバは貴族籍を剥奪の上で追放とします」
「まあ、妥当だな」
「……」
「付いて来て貰った衛兵長と衛兵の2人」
「「「はっ!!!」」」
「王紋の事は秘密な」
「「「承知しました!!!」」」
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