プロローグ~その5
ちょっと短いですが、この話でプロローグは終わりです。
「俺達4人の冒険者登録がしたい」
「畏まりました。それでは、この用紙に記入をお願いします。代筆は必要ですか?」
「いえ、大丈夫です」
俺、いや、俺達をこの世界に招待した奴のせめてものフォローなのか、会話と読み書きが最初から出来ていた。
用紙4枚を出すと冒険者ギルドからの定番の説明があったが、内容はこれも数多の異世界系ラノベから外れていなかった。
G→F→E→D→C→B→A→Sの順にランクが上がり、Dから一人前だ。
残念ながら、魔力量や魔法属性を調べる水晶球は無かった。
受付嬢の説明が終わり、一度本拠地に帰る事にしたのだが、キサラの超美貌に動けないのか、定番の「絡み」が無かったな。
都市ランカールを出て、見張りからも見えない所まで移動すると、馬頭鬼達を返還して馬車を亜空間収納、別名「蔵」に仕舞い、俺は移動魔法の「転移扉」を開き本拠地に帰る。
「お帰りなさいませ、ヤクモ様」
「ただいま。何か有った?」
「いえ。特にありませんでした」
「それは良かった」
俺は侍女長「サラ」に、幹部全員に幹部専用の謁見の間に来るように伝えて俺も向かう。
因みに、一般用の謁見の間は、罠だらけで使いたくない。
「ふう」
俺は、謁見の間の玉座に座り息を吐く。
すると……
《召喚者名「ヤクモ」のチュートリアルは、終了しました。尚、久世八雲の所有財産は、全てゲーム内通貨に換金しました。貴方の新たな門出に言祝ぎを贈ります》
……へ⁉
調べたら、ゲーム時のレートで馬鹿げた金額が入っていた。
後、ステータスの称号に「天津神の愛し子」が入っていたよ。
……そういやぁ、今月は神在月だったし、あの神社に4億8千万寄付したな。
気持ち的な内訳は、4億は三柱貴子と大国主命に、8千万は他の八百万の神様に、だな。
……どうやら、俺達を異世界に飛ばしたのは、あの方々みたいだな。
存在とは思っていたけど、そんな神霊力みたいなの有ったんだ。
勿論、家族への心残りは有るけど、事実としての老舗旅館「久世」の傷だしな俺。
だから良いや。
……八百万の神様達、ありがとうございます。
さて、皆と話し合いをした結果は、いつも通りに終わった。
なんせ、ソロギルドだったから俺が決めたら、ソレがギルドの方針になる。
だから、俺だけだと今や自我を持った皆に反対されるだろうから、いつものメンバーで冒険の旅に出る事にした。
旅のメンバーは、トモエ、ガル、ユキ、リオンの4人だ。
最後まで自分が行けないから反対をしていたマナには「俺の留守を護れるのはマナしかいない」とか「いざとなれば、転移扉で喚ぶ」と言うと赤面しながらも何とか引き下がってくれた。
実際、マナにはそういう役職を与えているから仕方ない部分もある。
さて、俺が居ない間の色々を話し合って決めて、最後の難題が地表部分の和風建築の「城」をどうするか?
……結論は、城全体を岩山で囲んで隠す、だ。
環境破壊で、それなりの罪悪感があるが仕方無いと諦めた。
でも、一応は洞窟みたいな出入口と天井に採光用の大穴を作った。
侵入者は、一応生かして牢屋行きだ。
……魔王城に認定されたらシャレにもならん。
次に、着手したのが馬車だ。
たった数日程度乗っただけで理解した。
俺には現地産馬車での旅は無理だと。
一応は外見等は偽装するが、それ以外はフルチートにした。
……と、言ってもゲームならボタン1つで出来るけどな。
必要なのは、材料と、木工系と裁縫系と鍛冶系のレベル40以上の職人、これだけだ。
勿論、全員揃っているぞ。
まあ、ゲームじゃなく現実だから、本拠地の倉庫から必要な材料を選び、各職人に説明して作って貰わないといけないけどな。
出来るまで、細々とした事をしながら3日後に馬車が完成した。
注文通りに、外見は木造で、車軸辺りのスプリング等が見えない様に車輪にカバーみたいなのを付けて隠している。
内装も座り心地優先にしてあって、フカフカのクッションだ。
準備は全て済んで、後は現地調達だな!
そして、俺達の冒険が始まった!
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。