プロローグ~その4
プロローグ、もうチョイ続きます。
村の女性達が墓場に居る間に俺達は広場のゴミを焼却して、生き残った女性13人とレミが寝られる場所を、ゴーレム作成術を応用した2階建ての家を用意した。
レミの両親も被害者で、別れの言葉を言うレミに最初は付き添ったが、レミは両親にあまり似ていなかったな。
それに、森で襲われている時に見えた、左鎖骨下の入れ墨みたいな痣は何だったのだろうか。
ある程度の気持ちの区切りが出来た村の女性達が、広場の大きな家を見てびっくりしていたが、説明したら落ち着いたみたいだ。
そして、皆で今後の話を始めた。
1時間後には結論が出た。
それは村の放棄だ。
男も、次代を継ぐ者が居ない以上はどうしようもないからな。
今後が決まった後は、遺品整理と夕食を済ませると、疲労からかレミを含む女性達全員が寝てしまった。
一応、悪夢で目が覚めない様に睡眠魔法を掛けると、留守番をゴウキに任せ、俺達は屑野郎共のアジトに向かった。
……慰謝料は必要だろう?
サクっとアジトを強襲して、生ゴミを焼却処分して、用意されていた金銀財宝を全て回収してアジトを破壊すると村に戻り色々と準備した後、俺達は女性達が寝ている家の2階で寝た。
翌朝
俺達が用意した箱馬車5台に乗り込む女性達。
まあ、その内2台は荷物用で、残った3台の内1台が家畜用だけどな。
牛や馬は自力で歩いて貰うが豚や鶏はなぁ。
箱馬車を引く「馬」は召喚魔法で喚んだ馬に化けた「馬頭鬼」だ。
後、アジトから回収した硬貨の6割を女性達に渡した。
最後の確認をして出発した俺達は、野営2泊して目的地の都市ランカールに到着した。
俺が、都市出入り口の門番に説明すると、監視付きだが中に入る事が出来た。
まあ、村用の鑑札を見せたしな。
1時間後に、この都市を治めるランカール辺境伯が居る領主館に行く事になった。
到着すると、ランカール辺境伯と村の代表との話し合いをする事になり、村の代表は村長の長女と、助けた側代表として俺が行く事になったのだが、通された応接室には、「警戒と万が一の為に居ます」と言わんばかりの護衛が領主側が座るだろうソファーの後ろに3人も立っていた。
……そんなに警戒が居る?
此方は、村長の長女とはいえ非力な村娘と、外見ガキの俺だけだぞ。
そんなに風に思っていたら誰かが入って来た。
多分、領主と執事だろうな。
「待たせたね。私が領主のランカール辺境伯だ」
「執事のレジスです」
「リコト村の村長の娘アンナです」
「ヤクモです」
とりあえず、お互いの自己紹介は終わり、事のあらましを領主に話した。
領主のランカール辺境伯も話してくれた。
どうやら、あの屑野郎共はそこそこ有名な盗賊団みたいで、それを外見ガキの俺率いる4人だけで殲滅した為に警戒していたみたいだ。
領主が目線を執事のレジスに送ると、俺達の前に小袋が1つ置かれた。
硬質な音からして硬貨かな?
「デオジー盗賊団の討伐報酬の、大金貨7枚と金貨10枚だ」
そういやぁ、証拠として門番の奥の詰め所に屑野郎共の首を提出したな。
俺は小袋の中から金貨4枚だけ抜くと、小袋を領主側に押した。
「どういうつもりだね?」
「残りは彼女達の支援に使ってください」
「え⁉」
「今、彼女達には何も無い状態に近い。だから、せめて自立出来る様に」
「良いのか?」
「ええ。それに報酬なら野郎共のアジトから頂きましたから」
「……なるほど。それで4枚だけ抜いたのか」
「そういう事です」
まあ、要するに小袋から4枚だけ抜いたのは、建前上とかだな。
無報酬は、立場もあり、向こうも疑わざるをえないからな。
その後は、改めてランカール辺境伯からお礼の言葉を貰い1泊する事になった。
まあ、定番だな。
夕食時、改めて俺達4人の自己紹介と村代表としてアンナが挨拶をした。
他の村の女性達は別室で同じ物を食べている。
因みに領主側は、領主のランカール辺境伯と第1夫人のアンジェリアさんに三女のナーシアが居る。
長男は都市を挟み村の反対側を視察中で、次男は風邪を拗らせダウン。
長女は既に嫁ぎ済みで次女は王都の学園に居て不在との事だ。
さて、この世界は例に漏れず中世ヨー○ッパ系で、そんな世界の貴族の食事は当然「ナイフとフォーク」な訳だが、俺は仕事上必要だったから覚えたのだが、マナ達もマナーが出来ていた。
何故かと考えると、NPC達の説明文的なヤツに入れていた事を思い出した。
……ちょっとズルい。
旅館の仕事に僅かながらも関わっていたから必要性を知っていた俺は、説明文に「礼儀作法は洋の東西を問わず全て修得済み」と書いている。
……入れといて良かったー!
翌朝、領主にアンナや他の女性達に、そしてレミに挨拶をする。
「レミ、ありきたりだけど、頑張れ」
「うん、ありがとう。私達も頑張るよ!」
「彼女達については任せなさい。ランカール辺境伯の名に賭けて保証し支援しよう」
「お願いします」
挨拶が終わると1台の馬車に乗り出発した。
残り4台は彼女達にあげたよ。
結構頑丈に作ったから大抵の仕事に使えると思うしな。
それに聞いたら、馬車は高いみたいだしな。
あ、馬はあげてない。
本性が馬頭鬼だしな。
それに村にも共有財産的な馬が2頭居たし。
パカパカと俺達は、異世界系ラノベの定番の場所に向かっている。
因みに、馬に化けた馬頭鬼の2匹は、リゼンとゴウキが乗っている。
その建物に到着した俺達は、決めれた所に馬車を繋げ建物に入ると、予想通りの視線の洗礼を受け、運良く順番待ちが無いカウンターに行く。
「ようこそ。都市ランカールの冒険者ギルドへ」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。