不愉快だから、潰す
原材料を知らない方が、幸せな場合もありますよね?
殴られたのか、口と鼻から血が出て頬を押えて倒れている年配の女性と、それを守る様に前に出ている若い女性3人と、対峙するチンピラ3人だ。
「何度も言いますが、明日の祭りまで出すつもりはありません!」
「そんな事は知らねえよ!」
「旦那が欲しがっているんだからな!」
「金を払うんだから出せ!」
「だから……」
まあ、どっかの商会の商人が、祭りの名物の料理を欲しがって金を出せば問題無いだろうと、送り出したんだろうな。
「ヤクモ、どうする?」
「不愉快だから、潰す」
「……出来るだけ、穏便に、ね」
「行ってくる」
アリシアに、信頼が無い言い方で少し落ち込んだが、平和的解決を目指して行った。
「ちょっと待て」
「誰だ、てめぇ?」
「関係無い人は、引っ込んでな」
「料理は、明日の祭りで食べれるんだから、待てばいいだろう」
「旦那が欲しがっているんだ」
「その旦那は、我慢も出来ないガキなのか?」
「て、てめぇ!」
「危ない!」
ガッ!
「これ以上の痛い目に遭いたくなければ、引っ込んでいろ!」
「正当防衛な」
「何を言……ぐはっ……」
「がはっ……」
「ぐ……」
「うん。平和的解決だな」
この時、周りの人達は「どこが?」と思ったらしい。
「誰か、この3人を連れて来た『旦那』が居る場所を知っている人はいませんか?」
「それなら、村の唯一の宿屋だよ」
「ありがとう。それなら誰か、男の人で、この3人を運んでくれる人は居ませんか? 1人銀貨1枚で」
直ぐに立候補が出たから、適当に選んだ3人にチンピラを運んで貰った。
宿屋の受付嬢、多分、店主の娘に聞いた。
「この3人を連れて来た商人は居る?」
「は、はい。居ますが、どの様なご用件で?」
「この3人が、脅迫じみた事を言って、村の女性に迷惑を掛けたし、他にも暴力を振るったみたいなんだ」
すると、受付嬢は、俺の後ろに居る村の男性を見る。
「本当だ」
「彼の言っている事は事実だ」
「ガーナさんが殴られた」
「……分かりました。それで貴方は、どうされるのですか?」
「きちんと話して責任を取って貰う」
「ご案内します」
受付嬢に案内されて、3階の1番奥の部屋の前に着くと、受付嬢は扉をノックした。
「何か?」
「宿屋の者ですが、お客様が連れて来られた方々が村の者に暴力を振るい、脅迫じみた事を言った責任を取って欲しいと言って来られた方々が、それについて話したいと」
「分かりました」
「失礼します」
受付嬢に続いて俺達も入ると、中に外見年齢が50後半の男と冒険者風の男が1人居た。
正直に言うと、商人だと思える男から受けた印象は、直ぐに剥がれそうな薄い仮面を付けたタヌキだ。
「後ろの2人が、そうですか?」
「はい。それでは、私は失礼します」
そう言って、静かに受付嬢が去った。
アリシアが扉を閉めて、その場で待機して、俺は商人の前に行く
「俺の名はヤクモだ。祭りの事を聞いて今日来た者だ」
「私は、サンビルの街で商いをしているトルレイス商会のトルレイスです」
俺は、先程の事を話した。
……が、反省しない所か、薄い仮面を剥がして強硬に出た。
「別に構わんだろう。此方は金を出すんだからな」
「そういう訳にはいかないだろう。村の者も、外から来た者も、明日の祭りで食べる事を楽しみにして、待っているのだからな」
「そんな事は知るか! 私が、わざわざ来てやったんだ。しかも金を出してやるんだ、文句を言わずに出せ」
「お前、本当に商人か?」
「……どういう意味だ?」
「宿屋に泊まっているという事は、先程言った通りサンビルから来たのだろう。つまり、地元ではない。
それなのに、それ程の強硬な態度を取るなんて、俺の知る商人からは、かけ離れている」
「……やれ」
「は!」
商人の一言で、後ろに控えていた冒険者風の男が俺の前に来た。
「青臭い正義感を出したのが、運の尽きだ」
そう言うと、いきなり抜剣して俺に切り掛かって来た。
「はい、殺人未遂な」
「ぐはぅ……」
俺は、腹パンの一撃で沈めた。
「私の護衛に手を出すとは覚悟は出来ているのだろうな?」
「何の覚悟だ?」
「私は、サンビル伯爵様との取引をしている。その私が、今回の事を言えばどうなるのか、分かっているのか!」
「……ぷ!」
「何が可笑しい!」
「だって、ねえ」
「そうだな」
とりあえず、五月蝿いから商人も腹パンで沈めて、2人と、村の男3人に追加料金の銀貨を払って、チンピラを3階の部屋に運んで貰い、縄で縛り拘束して、部屋に放り込んだ。
受付嬢には、あの商人は罪を犯したからサンビルの街に明後日連行する、と説明した。
その時に、商人から徴収した現金から金貨3枚を渡した。
「分かりました。きちんと明後日にはお願いしますね」
「ああ」
俺達は、先程の場所に戻り、まだ暴力を受けた年配の女性ガーナが居たから、これまた商人から徴収したポーションを渡した。
青くなっていた頬も綺麗になって俺達や周りの人達もホッとした。
宿屋の受付嬢と同じく、「商人から徴収した金だ」と言って1人金貨1枚ずつ渡した。
「あんた、何者だい?」
「知らない方が良いよ」
「……分かったよ。このお金は有り難く頂くよ」
若い女性も一応は納得したみたいで、受け取った金貨を仕舞った。
翌日、祭り「収穫祭」が始まり、やっと隠れ名物の料理を食べる事が出来た。
料理の形は「鍋」で、近辺で狩れる鳥系モンスターのグレイバードの肉を材料にしている。
そして、調味料なんだが、村で栽培している植物で、コレを乾燥させ、粉末にしたのが調味料となる。
グレイバードもそれなりに美味しかったが、それ以上に調味料が深い味と、芳しい香りを出していた。
俺達も、つい満腹になるまで食べてしまった。
だから、俺は、是非、調味料を買いたいと言ったが、完全に拒否された。
……まあ、この村の秘蔵の調味料だもんな。
そう思って諦めた。
更に翌日には、こういう事も有ろうかと用意した護送用の馬車を出して、サンビルの街を目指した。
村の調理担当side
「やっぱり言えないよね」
「うん。言えないよね」
「決めての調味料が、ゴブリンの死骸を苗床にするキノコが、調味料だなんて」
「そうだよね。村以外に知られたら、誰も祭りに来なくなるだろうから、絶対秘密だよ」
「うん。絶対秘密!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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