ボクは、お前に決闘を申し込む!
美しさは罪なのか?
そうなると、間に合わせだと色々と不都合があるから、宿屋を決めた後、馬車を預けて買い物をする事になった。
カリアの普段着に冒険者用の服に、日用品に、装備だ。
流石に、装備を買うとなると遠慮したが、先程と同じく「助けた恩を仇で返すつもりか?」と言うと諦めて「ありがとう」と言った。
「武器と防具を合わせて、予算は金貨5枚に大銀貨10枚に銀貨20枚な」
「……ありがとう」
実際、Cランクで回復担当なら、平均が金貨3枚ぐらいが順当らしい。
カリアも、中途半端は良くないと思ったのか、武器は最低限にして、防具に金を掛けて、合計が金貨5枚に大銀貨10枚に銀貨19枚の予算ギリギリの買い物となった。
次に冒険者ギルドに行って確かめたが、カリアが入れるパーティーは無かった。
序に、最近起こった事や注意事項を聞くと、約1年前から、評判が良い娘が失踪する事があるらしく、聞いた受付嬢が知る人数は3人らしいが、気を付ける様にと、言われた。
買い物も終わり、宿屋に戻ると俺達宛てに手紙が届いていた。
部屋に行き、手紙を開けて読むと、この街の領主である「サンビル伯爵」からだった。
内容は、友人の妻を助けてくれたお礼がしたいから、是非、領主館に招待して夕食をご馳走したいという事だった。
……確かに、書いている事が本当なら、身を寄せる先としては安心出来るだろうな。
そして、手紙に書いてある時間に迎えの馬車が来たから招待される事にした。
「ようこそ、我がサンビル領主館へ」
玄関口から入ると、領主自らが出迎えてきた。
そのまま応接室に案内されて、俺達からも事の顛末を聞いてきたから、正直に答えた。
「彼女達を救い出してくれて感謝する」
伯爵位で街サンビルの領主と、行商人にどんな接点があったのか聞くと、どうやら、サンビル伯爵は行動派で、毎月1回は、街の外の視察を自身でやるみたいで、ある日の視察の時にフォレストウルフ8匹に囲まれて何とか討伐したが、ポーションが足らなくなり、下っ端が危ない時に彼女達が駆け寄りポーションを使ってくれたらしい。
それ以外にも、色々と気配りをして貰い、彼女達の誠実さに感銘を受けたサンビル伯爵は、それ以降は彼女達の後ろ盾みたいな立場になった、と話してくれた。
そして、彼女達は、このまま領主館で文官系の仕事をする事になったらしい。
それから客室に通されて待っているとメイドが来て「夕食の準備が整いましたので、ご案内いたします」と言われたから案内されて食堂に到着したが、どうやら、俺達が最後だったみたいだ。
「さて。今回の事を話すと暗くなるから、言わずに乾杯!」
「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」
お互いの自己紹介を済ませ、差し障りない会話をしていると、サンビル伯爵は言った。
「カリア嬢は、仕方ないとして、ヤクモ達3人は綺麗な所作だね」
「以前、とある仕事で貴族の方々に接する必要があったので、その時に習いました」
「それはまた大変だったろうね」
「まあ、そうですね」
サンビル伯爵は問題無いし、ミランダ夫人も天然系だから注意していれば大丈夫だけど、問題は次男のアーベラだな。
あ!
次男が、次第にソワソワし始めたよ。
真剣な顔をして口パクをすると顔を沈める、を繰り返して、そして、遂に意を決したのか、とうとう言った。
「アリシア嬢、ボクと婚約してください!」
言った!
そしてアリシアの返答は?
「お断りします」
先ずは、何故、アーベラがアリシアを知らないかと言うと、アーベラとアリシアの年の差が4歳だからだ。
もっと簡単に言えば、年齢差がアーベラは中3で、アリシアが小6だからだ。
次に、社交界で会っていないのは、あの馬鹿王子がパートナー必須のパーティーでアリシアを無視したかららしい。
そして、馬鹿王子と婚約している以上は、アリシアだけでパーティーに出ても、ランカール辺境伯とアリシアに傷が付くだけだからだ。
「何故ですか!」
「私は冒険者です。ですから、貴族の方に嫁ごうとは思っておりません」
「そんなのはど……」
「後、私を守れるだけの強さが無いと話になりません。ですから、婚約等の話は、リーダーに勝ててからにしてください」
「……!?」
そこで、俺にキラーパス!?
「……分かりました。そこのリーダーである男に勝てば良いのですね?」
「ええ」
「ボクは、お前に決闘を申し込む!」
模擬戦じゃなくて、決闘!?
「アーベラ!」
「父上。止めても無駄です! ボクは、この男に勝って、アリシア嬢との『真実の愛』を手に入れるのです!」
どうやら、まだ「俺」が災害級ザカリアスを単独討伐した、とかの情報を得ていないのかもしれないな。
普通に、止めようとしているし。
そして、ミランダ夫人は「あらあら、どうしましょう?」とちょっと困った顔をしている。
因みに、嫡男である長男のザークルは、将来の予行練習代わりに、2泊3日で隣の領の視察に行って不在だ。
……結局、サンビル伯爵の説得空しく、翌日、俺はアーベラと決闘をする事になった。
翌日、アーベラとの決闘は、朝食前となった。
場合に因っては、アーベラの口から虹が流れるかもしれないから。
そうなると、折角の料理が無駄になるしな。
「逃げずによく来たな」
決闘のルール説明も終わり、お互いに自前の装備を調えていた。
いや、俺は止めたよ!
でも、あっちの馬鹿が「ボクは絶対に負けないから問題無い!」とか、意味不明な自信から話を聞かないんだよ。
そして……
「これより、アーベラとヤクモの決闘を行う。
両者、準備は良いな? ……始め!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




