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……気に入らねぇな!

作者も両方読みますから美味しい所は……

 

 交流会が開かれたが、当然、招かれた特使や王族の狙いは俺だ。

 確かに隣接する国は5つかもしれないが、それでも挨拶から始まるアレコレは面倒臭い事、この上ない。

 しかし、老舗旅館の元後継者の俺としては表面的にはきちんと対応したし、所属する国と顔と名前は覚えた。

 後、グラウディア王女やフェリシア嬢は、それぞれが追従して来た貴族達の相手をしていて、俺の方に助けに来る事は無理そうだな。

 そして、本当に面倒臭かったのが、あわよくば狙いで各国の特使や王族が連れて来た王女や上位貴族の令嬢達だ。


「ヤクモ様の偉業を聞いて、わたくしは胸が高まりましたわ。是非、我が国で、ヤクモ様の偉業を聞かせて頂けませんか?」


 ……と、言いながら俺の右腕を自分の胸で囲む。


「我が国は、ヤクモ様を歓迎しますわ。

 是非、我が国の美味な料理や自慢の華々を見て頂きたいわ」


 ……と、言いながら開けた胸元をアピールする。


「ヤクモ様。是非、我が帝国に拠点を移しませんか? 我が帝国は、ヤクモ様の要望を全て叶う事を約束しますわ」


 ……と、言いながら帝国の皇女は妖しく笑う。


 こんな感じで、戦闘態勢バッチリの王女や上位貴族令嬢達が、俺に自分の国に来て定住しろ、とか言ってきているが、本音が透けてて全く嬉しくない!

 折角、美女美少女に囲まれているのに……


 今や俺は、戦略級爆弾の扱いだ。

 俺が居る国は、他国に対して大きな顔が出来るし、他国への政治に対しても圧倒的に有利に働く。

 王女の1人や2人、貴族令嬢の5人や6人で俺が手に入るのなら安いもんだろう。

 それにしても、レオハース帝国の特使や皇女も来て参加しているが、主席魔導師「フェレイス」が参加していない事から、彼の不参加は政治的な判断だろう。


 そんな中、ふと周りを見ると壁の華をしている令嬢が1人だけ居た。


 ……なんて言うか、そこだけ異世界恋愛系ラノベの1シーンみたいで。


 だから、美女美少女の囲いを抜けて移動して、彼女に声を掛けてみた。


「初めまして。ヤクモと言います」

「初めまして。ヤクモ様のパートナーのリンと言います」

「は、初めまして。ルフィナ=フエン=ヒローラです」


 あれ?

 国は違えど、形式的な名乗りは、爵位が先に出ると習ったのだが……

 例えば、○○公爵家が○女の○○=○○=○○です、みたいな?


 ……もしかして、マジで、異世界恋愛系ラノベ?


 良く見れば、メイクは薄いし、髪もきちんと結えていないし、髪に艶も無い。

 しかも、ドレスも2、3個前の流行のドレスから華美な刺繍等の飾りを取り払ったみたいな質素な印象を受けるし、袖から見える腕はかなり細い。

 そんなんだから、当然だが宝飾品を身に付けていない。


「ヤクモ様……」


 偽善だと思うし、偽善だと言われても反論出来ないが、それでも言いたい。


 ……気に入らねぇな!


「不愉快だな」

「申し訳ない」


 俺が、そう溢すと近くに居て静観していた男が、前に出ていきなり頭を下げた。


「どういう事だ?」

「初めまして、ヤクモ様。私は、エカルークス国のヒローラ侯爵でございます。是非、ヤクモ様とお近づきになりたいと思っておりました」

「俺は、質問に答えて謝罪の理由を教えて貰いたいのだが?」

「は、はい! 本来であれば、此処に居る出来損ないの次女ルフィナではなく、我が国の至宝である長女のマイアーレが来る予定だったのですが、急病を患いまして、やむを得ず次女のルフィナを連れて来たのです」


 ……何か、マジで異世界恋愛系ラノベの匂いがするが、念のために確認しよう。


「貴方の国の至宝ですか」

「はい。長女のマイアーレは、とても美しく育ち、周りからも愛されております。どんな豪華なドレスも着こなし、煌めく宝飾品に負けない美貌を誇っています。

 逆に、一応は出来損ないのルフィナにも婚約者は居ましたし、学園ではそこそこの成績を残していたようですが、情けない事に婚約者の1人すらも繋ぎ止める事も出来なずに婚約破棄されました。

 その元婚約者も、最近はマイアーレと楽しそうに会話をしている所を見ています」


 マジな異世界恋愛系ラノベだわ!

 ルフィナの見える腕や目の隈から察する事が出来る栄養不足に過労や寝不足。

 それに、この交流会に参加しているにも関わらず、ルフィナの外見の貧しさの異常性。

 更に、自分の娘であるルフィナをけなす言葉を普通に吐き、確実なアピールポイントになる、長女の知性や教養のプレゼンが出ていない。

 そして、どんなドレス、ではなく、どんな豪華なドレス、と言う所から無駄な浪費を感じる。


 多分、急病ではなくて、「どんな偉業を成し遂げようと、野蛮な冒険者になんか会いたくないわ!」というのが、そのマイアーレの本音だろうな。


「ヤクモ様」

「どうした、リン」

「彼女の首を……」


 ……ん!


 改めて見たら、首に巻いているスカーフが浮いているよな?


 ……まさか!


「その首のスカーフは?」

「大変申し訳ない。見苦しいでしょうが、仕方ない処置でして。婚約破棄の違約金を払う事になったのですが、その損失をルフィナを我が家から除籍し、奴隷に堕として働かせる事で補っています」


 仮にも、自分の娘を奴隷に堕とすなんて、胸糞悪いなんてもんじゃないな!

 偽善者と呼ばれても構わん!

 俺は、宰相と、ルフィナと、この2人の国の特使と、このクソ親父を連れて近くの個室に行き、王城に仕える奴隷商を呼んだ。


 奴隷商を来たら、直ぐに始めた。


「幾らだ?」

「はい?」

「ルフィナは、幾らだ、と聞いた」

「は、はい。そうですねぇ……」


 この時のクソ親父の顔は、ゴブリン以下のニヤけ顔だった。


「白金貨100枚で!」

「分かった、買おう」

「へ!?」

「だから、白金貨100枚で買うと言ったんだ」

「あ、あの……」

「まさか、侯爵たる身分で、吐いた言葉を違える事は無いよな?」


 俺は微小な威圧を放ちながら言った。


「……は、はい」


 こうして、奴隷の主人変更手続きを終わらせると、宰相に頼んでおいた魔法誓約書が俺達の下に届いた。


 因みに、魔法誓約書とは、絶対遵守を強制させる誓約書で、破れば違反者を殺す事も出来る。


 この魔法誓約書は、殆どは「もうルフィナはヒローラ侯爵家、及び家族とは無関係」という内容だが、最後に「ルフィナを取り戻そうとしたり、ルフィナ暗殺計画が露見するか暗殺未遂が確認された場合は、その時点でのヒローラ侯爵家の全権利と財産を没収してルフィナが相続するものとする」と、「魔法誓約書を紛失した場合は、残った魔法誓約書の内容が遵守される」を加えた。


 クソ親父は、白金貨100枚に目がくらみ、アッサリと娘であるルフィナを手放した。


 この魔法誓約書を4部作成して、俺、宰相、特使、クソ親父がそれぞれ所持する事となる。


 勿論、この魔法誓約書は、後からの書き足しが出来ない様になっている。


「さようなら、お義父様とうさま……」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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