そうか。なら、力尽くで奪うしかないな!
恒例のアレです。
夕食の時間になり、食堂で食べているのだが、綺麗な所在だ。
流石は、子爵位までの侍女が出来るだけは有るな。
子爵位の侍女が出来るという事は、子爵位までの令息令嬢の教育が出来るという事になる。
つまり、教える事が出来るという事は、自身も出来るという事だ。
勿論、俺も、ダンカール辺境伯達に改めて教えて貰ったから大丈夫だ。
「失礼ですが、ヤクモ様の所作はまるで貴族みたいです」
「リン……」
「申し訳ありません!」
「いや、別に怒ってないから。まあ、その辺りは部屋で話すよ」
「はい、ヤクモ様」
夕食が終わり、リンの「お背中を流します」攻撃を躱して、後は寝るだけの状態で話した。
「先ずは、この都市に来る前は、とある貴族に一時的に雇われていたんだ」
「では、その時に?」
「ああ。その時に、貴族的な礼儀作法全般を叩き込まれたな」
「そうだったのですか。それではヤクモ様は、今後はどうされますか?」
「暫くは、この都市に居るかな。
この都市は、居心地が良いからな」
「畏まりました。それと、私もヤクモ様と一緒に冒険者をやるのですよね?」
「ああ。だから、明日、冒険者ギルドに行ってリンの冒険者登録をしよう」
「はい、ヤクモ様」
「それじゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさいませ、ヤクモ様」
「寝ずの番、しなくて良いからな」
「は、はい!」
寝ずの番をするつもりだったな、リン。
その後は、リンも普通にベッドで寝たみたいだが、前世の癖か、ふと夜中に目が覚めると俺のベッドにリンが居た。
……まあ、良いか。
俺は向きを変え、リンを抱きしめて寝た。
ああ、弟妹の小っこい頃を思い出すなぁ。
「ももももう、申し訳ありません!」
「ああ、気にするな」
「しかし……」
「今後も、一緒に寝たい時は言う事。これ命令だからな」
「……は、はい!」
翌朝、リンは俺との「朝チュン」状態にパニックになったが、なんとか収まった。
宿屋で朝食を食べた後、先ずは冒険者ギルドに行って冒険者登録をした。
因みに、何故、奴隷に冒険者登録が出来るかというと、奴隷を買って、引きニートになる奴が一定数以上居るからだ!
まあ、買い主の命令には逆らえない為に、虚偽の言動が奴隷には出来ない事から、手続きの関係上、奴隷も冒険者登録が出来る様になったらしい。
それと、リンの毛並みは輝いている!
ゲームのテイマー系イベントで手に入れた、現実なら1個10万を超えるペット用毛ブラシ数点を使い、俺がリンにブラッシングしたからだ!
リンは、夢から帰るのに苦労したみたいだが、その成果は聞くまでもない!
道中、老若男女関係なく、一度は振り返ったのだからな!
「……以上で説明は終わりますが、何か質問はございますか?」
「いえ、特にありません」
「では、今後の活躍に期待します」
「ありがとうございました」
「リン。次は装備を整えよう」
「はい、ヤクモ様」
冒険者ギルドでやるべき事が終わり、ギルドを出ようとすると、邪魔が現れた。
「ちょっと待ちな」
「誰だ?」
「オレか。オレ様は、偉大なCランク冒険者のブーモ様だ!」
「知らん」
つーか、Cランク程度で「偉大な」を付けるなよ、痛い奴だな。
「オレ様を知らないとは不憫な奴だな。だが、そんな不憫な奴に手を貸してやろう」
「何を?」
「その獣人族のメスは、オレ様が鍛えてやる。
だから、その獣人族のメスを寄越せ!」
「断る」
「折角、このオレ様が、理知的に話している内に寄越した方が良いと思うんだがなぁ」
「必要無い」
「そうか。なら、力尽くで奪うしかないな!」
「今の言葉、聞いたな、受付嬢」
「はい。確かに聞きました」
「それなら、手続きの方を先にやっててくれ」
「はい、畏まりました」
「何の手続きだ?」
「お前の冒険者登録の抹消だ」
「どういう事だ?」
「奴隷法の強盗罪」
「なんだ、それは?」
「奴隷の主に金銭的な交渉をせずに、その奴隷を奪おうとした場合は、未遂も含めて、奴隷法の強盗罪が適用される」
「奴隷?」
「ああ。リンは俺の奴隷だよ」
「だから、どうした!」
「そして、奴隷法の強盗罪を犯した者は、その奴隷の主に、奴隷購入時の料金と、購入時からこれまでに奴隷に掛かった費用の合計の3倍のお金を支払う義務が発生する」
「3倍だとぅ!」
「仮に、その時、奴隷が白金貨10枚相当の装備をしていた場合は、その装備分も加算される」
「ヤクモ様、つまりは?」
「ヤクモ様、幾らですか?」
「白金貨18枚だ。だから3倍にして54枚だ」
「分かりました」
「つまり、お前は、白金貨54枚を俺に支払う義務が出来た訳だ」
「ふ、ふざけるなー!」
「ヤクモ様!」
「ふん。奴隷堕ち確定、と」
「ぎぃ……がぁ……げぶぅ……」
俺は、目の前の馬鹿が、剣を抜き、振りかぶった所で、懐に飛び込み、剣を持つ右肘を左回し蹴りで叩き込み、右足上蹴りで右踵で顎を蹴り抜き、左前蹴りで鳩尾に入れる。
気絶した馬鹿から換金出来る物は全て剥ぎ取り、現金は洗浄を掛けて懐に仕舞う。
剥ぎ取りをした物は、即座に受付嬢に買い取りをお願いした。
因みに、買い取り金は銀貨5枚だった。
「それじゃあ、暫くはこの都市に居るから、手続きが終わったら、顔を出した時に教えてくれ」
「分かりました」
「それじゃあ、リン」
「は、はい」
「行こうか」
「……はい」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。
右足上蹴り
正式な名称は知りません。
蹴った時の姿勢が上下に一本の棒みたいになるアレです。




