……妹の涼子を思い出すなぁ。
作者の固定キャラ「リン」参上!
俺は、亜人種エリアに入ったが、中庭が解放されていた。
アウトドアな獣人族の為に解放しているのだろうなぁ。
俺は見て廻る中、1番角の1番奥で、体操座りして顔を膝の上に埋もらしている少女を発見した。
「あの奴隷は?」
「あの奴隷は、希少な黒猫人族の族長の娘でしたが、とある国の戦争に巻き込まれ彼女だけが生き残りました。しかも、その時の怪我で獣人族の誇りである耳と尻尾を失い、更に現地で助けた者が治療をしていたのですが、治療虚しく右腕を失ってしまい、助けた者も元が取れないと、奴隷として売られたのです」
「なる程」
「しかし、彼女は、今の状況に腐る事なく、読み書き計算に家事全般が出来ます。更に、子爵位までの侍女も出来て、冒険者に必要な戦闘技術や第1位階魔法ですが使えます。ただ、暇な時は、静かにしているだけで……」
「彼女と話しても?」
「ええ、勿論です」
俺は彼女の前に行くと、同じ様に座り彼女の目線を合わした。
「初めまして。冒険者のヤクモだ」
「……初めまして」
「君の事は簡単だが聞いた」
「……」
「だから、辛い悲しい記憶を思い出したくなくて、言われた事を一所懸命にする。だけど、こんな時間は家族や仲間の事を思い出して哀しい。違うか?」
「……」
「俺も裏切られたと思って全てが失ったと感じた時があったから多少なら分かる。
辛いよな……悲しいよな……でもな」
「……」
伏せてた顔が、俺を見る為に上げた。
「でもな。結局は、大切な人達の楽しい時や嬉しい時の思い出で心が一杯になるんだ。君は違うのか?」
「それは……」
「心の中で、誰かが君を責めているのか?」
「!」
「それなら、責めてくる人の顔を良く思い出すんだ。その顔は『君』じゃないか?」
「あ!?」
「それは、家族や大切な人達を忘れたくない君が作り出した幻想だよ」
俺は立ち上がる。
「さあ、行こう。君は、もう此処に居る必要は無いんだ。俺と一緒に世界を見よう。
そうすれば、君の心の中に居る家族や大切な人達が笑顔になるから」
「……は、はい!」
俺は、彼女の左手を握り、館主のカザラムの前に行くと言った。
「彼女にするよ」
「畏まりました」
「それと、彼女の奴隷環を奴隷紋にして、洗浄も含めて綺麗にして、身嗜みを調えて欲しい。
勿論、費用は追加で良い」
「畏まりました。では、最初の部屋へ」
「ああ」
彼女とは一旦別れ部屋に入って待っていると、綺麗になって、古着だが清潔な服を来た彼女が現れた。
そして、彼女の奴隷主変更手続きを済ませて、奴隷環から奴隷紋に変更した。
彼女の代金は合計で白金貨8枚だった。
「最後は、お客様が奴隷に新たな名前を付ける事で完了します」
「分かった。家族が付けてくれた名前は?」
「リンリーシュです」
「それなら、新しい名前は『リン』だ」
「あ、ありがとうございます」
彼女、いや、リンは涙を流しながら笑顔でお礼を言った後、俺に抱き着いた。
……妹の涼子を思い出すなぁ。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
奴隷館を出た俺とリンは、ある程度歩くと、周りを見ながらちょっと路地裏に入る。
「あ、あのご主人様?」
「あ、ご主人様呼びは禁止な」
「では、なんと呼べば?」
「ヤクモで良いよ」
「それでは、ヤクモ様」
「様は、要らないよ」
「いいえ。これは奴隷である私の誓いです」
「誓いって、ちょっと重いけど分かった」
「ありがとうございます、ヤクモ様。それでは、何故、周りを警戒しながら路地裏へ?」
「耳や尻尾や、右腕が無かったら不便だろ?」
「確かに不便ですが、それでも、何でもご命じください」
「まあ、良いか。完全回復」
「え……耳が……尻尾が……右腕が……」
「どう?」
リンは、澄んだ大粒の涙を流して俺を見た。
「……ヤクモ様、ありがとうございます!」
「俺は、結構色々と秘密を抱えているけど、先ずは、完全回復を使える事は秘密な」
「はい、畏まりました!」
「いや、言葉使いも……分かったよ、好きに言えば良いよ」
「ありがとうございます、ヤクモ様」
猫系の可愛い美少女が、涙を溜めて上目遣いされたら勝てないよ。
さて、リンの身体を元に戻した所で、買い物をする事にした。
勿論、リンの日用品や服等を揃える為だ。
まあ、リンの下着まで俺も付いて行って意見を言ったもんだから、流石のリンも「もー! ヤクモ様は店の外でお待ちください!」と、店から追い出された。
真っ赤なリンも可愛いな!
一部、リンが真っ赤になる癒やしが有ったが、買い物は終わり、宿屋に到着した俺達は部屋に入る。
「ヤクモ様」
「なんだ、リン」
「ヤクモ様には、他にも仲間が居られるのでしょうか?」
「4人部屋なのは、リンが言う様な、そういう意味じゃないんだ」
「それでは?」
「単純に、奴隷がリンだけじゃないかもしれないから、予め、4人部屋にしただけだ」
「そうだったのですか。それと、私も一緒に入りましたが、ヤクモ様が寝られる時は、私、馬屋に行きますから」
「は!? 何を言っている」
「え? しかし、奴隷は……」
……そうだったな。
「……分かった。リンに命令」
「はい、ヤクモ様」
「リンが俺の奴隷である事実は変わりないが、リンは俺の仲間としての、思考と対応を取る事」
「それは……」
「リン、命令だ」
「畏まりました、ヤクモ様」
「だから、リンも今日からは、俺と同じ様にベッドで寝て、同じテーブルの椅子に座って俺と同じ様に食事をする事」
「……はい」
多分、異世界ラノベの奴隷みたいに、食事時は俺の足元に正座して、俺からのおこぼれを自分の食料と考えていたな。
もしくは、2日や3日にカビが生えた固い黒パン1個とか、具の無い薄いスープを考えていただろうな。
は、は、は!
ざまぁ役ではない元日本人が、そんな待遇を認める訳が無い。
しかも、美少女なのに!
俺がリンを、数年以内に、強く、気高く、美しく、誰もが振り返る。
そんな女性に育ててみせる!
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




