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や、ヤクモの馬鹿ー!

つい買っちゃった大人なアレ。

 俺達は、王都の王立学園に到着すると荷物を降ろし、馬車は王都のランカール辺境伯の屋敷に行った。

 これで何も無ければ、卒業までさよならだなと、思ったけど、このナレーションがフラグにならなければ良いが。


 因みに、俺の住居はアリシアお嬢様の部屋の隣となっていて、アリシアお嬢様の部屋自体は寮での王家用の部屋だ。

 理由は、婚約破棄からくる王家からの詫びと、最終的な俺の責任の所在がランカール辺境伯になるからだ。

 要するに、既に貴族的な良縁の無いアリシアお嬢様が、これ以上の「傷物・・」になっても問題無いからだ。


「アリシアお嬢様、荷物の片付けが終わりました」

「ありがとう、ヤクモ」

「後は、そのバッグだけです」

「こ、これはしなくても良いわ!」

「何を言っているんです」

「いえ、ミモザにやらせますから!」

「後1つなんですから片付けましょう」

「大丈夫よ」

「だから……」

「「あ!」」


 俺とアリシアお嬢様で、1つのバッグを引っ張り合っていたら、バッグの中身が空を舞う。


「あ、あ、あ……」

「ああ。失礼しました、アリシアお嬢様」

「……」

下着・・が散らばってしまいましたが、直ぐに片付けて、タンスにしまいますね」


 一時期だが、久世家の家事全てをしていた俺に死角など無い!


「アリシアお嬢様、ただいま戻りました」

「おかえり、ミモザ」

「……あらあら。アリシアお嬢様、何を考えていたのですか?」


 散らばっている白系7割の、それ以外が3割となるアリシアお嬢様の下着を見て、ミモザがアリシアお嬢様に対して、ニマニマしながら脇腹を突いている。


「や、ヤクモの馬鹿ー!」


 まあ確かに、散らばった下着の中には、20代後半以降推奨な下着も混じっていたな。


 ……紅葉が付いた頬が、ちょっと痛いな。



 残り数ヶ月の学園生活が始まり、アリシアお嬢様は平穏に過ごしていた。


 そう、アリシアお嬢様は!


「アリシア嬢の新しい従者がどんな奴かと思ったら、大した事は無いな」

「そうだよな」

「ああ、全くだ!」

「おい、貴様! どうやってランカール辺境伯様に取り入ったんだ?」

「そうだぞ!」


 ……と、こんな感じで絡まれている。


 だから……


「分かりました。ランカール辺境伯様がお決めになった事に不服が有るのですね。それでは、その旨をお伝えしたいので、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「「「「あ!」」」」


 俺の言った台詞セリフの意味に気付いたモブが直ぐに顔色を変えた。


「そ、そこまでは言っていない。急用を思い出したので失礼する」

「お待ちください、ミゼルダ様!」


 ミゼルダ、ね。

 覚えておこう。


「相変わらず大変ね」

「見ていたのなら、助けてくださいよ、アリシアお嬢様」

「だって、見てたら面白いんだもん」

「……分かりました。では、アリシアお嬢様の下着に大人な下着が混じっていた事をフェリシア嬢に相談させて頂きます」

「ちょ、ちょっと待ちなさい、ヤクモ!」

「クスクス。相変わらず仲が良いわね」

「これは、グラウディア王女殿下」


 フェリシア嬢とは、アリシアお嬢様の大切な親友の姉ポジ令嬢で実家は侯爵家だ。

 第3王女のグラウディア殿下もアリシアお嬢様の大切な友人だ。


「はあ。やっぱりヤクモの淹れた紅茶は美味しいわね」

「そうでしょう」

「ありがとうございます、フェリシア様。

 ランカール辺境伯様に鍛えられましたから」

「それに、過ごし易い様に場を整えてくれるから、安心するわね」

「私に過分な御言葉をありがとうございます、グラウディア王女殿下」


 この後、軽い雑談をしていると、移動する時間になった。


「次は、魔法実技だったわね」

「見せて貰うわよ、ヤクモ。編入試験の実技で満点を取った実力を」

「そうね。私も楽しみだわ」

「畏まりました。微力ながら、ご期待に添えたいと思います」


 この世界の魔法は、あのゲームみたいな所があるが、アレンジを加える応用力も持っている。

 だから、本人の才能と努力しだいで、普通の「メ○ゾーマ」が「カイザーフェニックス」になる。


「これより魔法実技の授業を始める。今日は、あの的に攻撃魔法を当て、その攻撃魔法の向上に努めなさい」


 先生のそんな言葉で授業が始まり、生徒は各々で攻撃魔法の向上に集中している。


 俺の場合は、ゲームで覚えたモノ、つまりインスタントだが、この世界で基礎から習った事で、応用が利く様になって、手加減が上手に出来る様になった。

 だから……


水矢ウォーターアロー!」


 ピチャン……


 良し、5歳児並みだ!


「ふん! 攻撃魔法っては、こういうの言うんだよ! 火槍ファイヤーランス!」


 バゴォーン!


「素晴らしい攻撃魔法です!」

「凄い! 第2位階魔法なんて!」

「天才だわ!」


 この世界では、第3位階魔法を使えたら、人格に問題が無ければ、出自や身分に関係なく王宮魔術士として採用される。

 つまりエリートだ!

 まあ、そこからは、本人の才能と努力と身分次第だけどな。


「ふん! 編入試験で満点を取ったのは嘘だったのか?」

「ヤクモ」

「アリシアお嬢様?」

「私が許可するわ!」

「私も見たいわね」

「アリシアの為よ」

「……折角、人がその高くなった鼻を、へし折らない様に気を使ってやっているのに!」

「ふん! 見せれる実力があるのなら、見せてみるんだな!」

岩矢ロックアロー!」

「な! 第3位階魔法だと!」

氷矢アイスアロー! 炎矢フレイムアロー!」

「嘘!?」

「決めの一撃だ、雷矢サンダーアロー!」

「信じられないわ! 第3位階魔法で特に難しい雷属性魔法まで使えるなんて!」

「流石は、ヤクモね!」

「確かに凄いわ」

「これなら、確かに実技が満点になる筈だわ」

「ウソだー! 何かズルをしたんだー!」

「どうやって?」

「そ、それは……」

「それは?」

「と、兎に角、ズルをしたんだ!」

「チッ」

「げぶぅ……」


 俺は、神速の腹パンを入れた。


「先生。彼はどうやら体調不良からの錯乱状態だったみたいです」

「わ、分かった。あー、そこの2人」

「はい」

「は、はい?」

「君達で、彼を保健室に運んであげなさい」

「はい」

「分かりました」


 こうして、現実を見ない頭がお花畑な野郎は消えたのだが、私に魔法のコツを教えて欲しいと群がられた。


「きゃあああ!」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。


辺境伯に表立って政治的に文句が言える爵位は「侯爵」より上ですから。

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