不味っ!
意外と少ないと思いますよ。
あの場所で、一夜を過ごす主人公。
「助けに来たが、無事か?」
「え! は、はい」
「自分で、部屋から出られるのなら、出てくれないか?」
「分かりましたわ」
そう言って、部屋から出たアリシアお嬢様は、ミモザを上回る青眼金髪の美少女だった!
「アリシアお嬢様ー!」
「ミモザ!」
ミモザが隠れていた場所から、飛び出てアリシアお嬢様に抱き着いた。
「アリシアお嬢様、よくご無事で」
「ミモザもです」
……美少女同士の涙の抱擁は眼福だなぁ。
落ち着くのを待っている間に、部屋のゴミ掃除でもしておくか。
俺は、奴らの持っている現金に宝飾品や、武器等を「蔵」に仕舞い、裏で暗躍している黒幕に関する書類を集めた。
「まあ、直接的な書類は無かったが、これ以上は俺の仕事でもないしな」
部屋の中をもう一度確認して、取り忘れが無いかを確認した後、部屋から出る。
勿論、奴らは「縄」で拘束してある。
「ヤクモ様、私達の窮地を救い出して頂いてありがとうございます。私は、この辺境の地を治めるランカール辺境伯が次女アリシア=ベルガ=ランカールです」
「私も、改めて自己紹介させて頂きます。
私はアリシアお嬢様の専属侍女のミモザと申します」
「Cランク冒険者のヤクモだ」
自己紹介が終わった所で、俺は言った。
「王都からの帰りか、王都に向かう途中だろうから、ランカール辺境伯の所に送ってやるよ」
「それは嬉しいのですが、何故、私が王都からの帰りだと知っているのですか?」
「ちょっと前に、俺はランカール辺境伯と御縁があって、その時に聞いたんだ」
「そうですか」
俺は、残党が居ないかを確認しながら、外に出てアリシアお嬢様とミモザが乗っていた馬車に乗せると移動を開始した。
……後始末?
そんなのは、ランカール辺境伯の仕事だ。
俺が御者をして、残っていた馬車の痕跡を頼りに移動すると、15分程で森を抜け街道に出たから都市ランカールに向かった。
都市を囲む防壁から見張っていたのか、到着まで残り時間が10分の所で迎えが来た。
俺への殺意と剣の切っ先を向けるというオマケ付きなのはビックリしたけどな。
そして、駆け付けた衛兵達は、俺を拘束し詰め所の地下の牢屋に放り込まれた。
いやー、楽しみだなぁ。
ランカール辺境伯やアリシアお嬢様にミモザが、どんな顔で此処に来るのか。
早ければ1時間以内かな?
……黒幕の手先が居れば、明日以降だな。
まあ、異世界転生や転移系のラノベでも、そう滅多に無い牢屋だ。
存分に楽しむ事にしよう。
「不味っ!」
異世界恋愛ざまぁ系に転生した悪役令嬢系女主人公は、こんな不味いスープを飲んだのか!
「固っ!」
マジで固いわ、このカビ付き黒パン!
まあ、表面のカビは焼却処理したけどな。
こんなの、一口で充分だな。
俺は、「蔵」から、今朝、宿屋に用意して貰った携帯食を食べる。
「美味い!」
……結局、夜が明けたな。
ランカール辺境伯、この貸しは高いからなぁ!
その2時間後に、俺は釈放された。
勿論、ランカール辺境伯とアリシアお嬢様とミモザは、地下の牢屋に居る俺に対して土下座で謝ったのは言うまでもない。
あれから、馬車で移動して領主館の応接室に、俺達は居る。
「いや~、貴重な体験だったよ」
「申し訳ない、ヤクモ殿」
「恩人に対して申し訳ありません、ヤクモ様」
「申し訳ありません、ヤクモ様」
さて、軽いイヤミは終わらせて本題だな。
「お迎えが遅くなった理由は?」
「2人共、領主館に到着した時には眠っていて、夜明け頃に目が覚めたのだ」
「そうなのか?」
「はい、ヤクモ様」
「その通りです、ヤクモ様」
「それで、私兵達の話だけを聞いて、俺は放置した、と?」
「……そうだな」
ランカール辺境伯の今の顔を、苦虫を潰した顔って言うんだろうなぁ。
「どんな報告だった?」
「衛兵達は、私からの伝言という形で、嘘の命令に従いヤクモ殿が牢屋に入れられた」
「それで?」
「私兵達が協力してアリシアとミモザを助けたという報告だった」
「そんな直ぐにバレる嘘を何故?」
「私兵共は、アリシアが目覚めたら脅すつもりだったらしい。本当の事を言えば牢屋に居るヤクモ殿の命が無い、とな」
「なる程な~。その私兵共は?」
「領主館の地下の牢屋に居る」
「その私兵共に挨拶したいから良いか?」
「何をするつもりだ?」
「挨拶は挨拶だよ」
俺の黒い顔を見たランカールは……
「……分かった」
アリシアお嬢様とミモザは、旅の疲れを癒やす為に退室した。
俺とランカール辺境伯は、地下の牢屋に到着して、牢屋に居る私兵共6人を見る。
「ゴブリンでも、思い付かない緻密な作戦の結果、今の状況だが、どうだ?」
「……」
「ランカール辺境伯」
「何だ、ヤクモ殿」
「アリシアお嬢様の誘拐の調査はまだか?」
「ああ、まだだ」
「それなら、先に俺の挨拶を終わらせるよ」
「分かった」
俺は、マジックバッグから、以前にマナが作った「アイスピック」を取り出して、牢屋の中で拘束されたままの私兵共6人の前に立つ。
「俺は、別に聖人君子でも無いからな。受けた借りはきちんと返させて貰う」
「……何をするつもりだ?」
「こうする」
「ぎゃああああーーー……」
まあ、あの糞野郎が受けた復讐と同じくアイスピックを身体に刺しただけだ。
この時、ある事を思い出した。
……アレ、やってみよう。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




