アリス、行きま~す!
仕事は2つで、担当する人は3人。
残念ながら、1人は指示待ちになるのは仕方ないですよね?
「それなら……ううん。やっぱりお断……」
「待て、リドナ」
「じいちゃん」
「確かに、リドナの舞は一級品じゃ。
その舞を沢山の人達に見て貰いたいという夢は素晴らしい。じゃがな、儂らはもう良い歳じゃ。そろそろ落ち着いた場所で、儂らの後進を育てたいのじゃ」
そうなんだよなぁ。
この一座の高齢化はかなり進んでいる。
ダンジョンに行っている男4人が、どれだけ頑張っても、将来は確実に瓦解する。
「じいちゃん……」
「改めて聞こう。どうする?」
「……分かったよ」
「良くぞ決心してくれた!」
「本当は分かっていたんだ。じいちゃん達が、長旅の疲労で、身体を痛めて無理をしているのを」
「バレておったか……」
「リドナは、ヤクモを信じるよ」
「ありがとう、リドナ」
「それで……」
「どうした、リドナ」
まだ、何か不安が有るのか、暗い顔をしているリドナ。
「あの偉そうな男は、どうするんだい?」
「簡単だ。今度、力で来たら潰すだけだ」
「そんな簡単に……」
「大丈夫だ、リドナ」
「でも、もし権力を使ってきたら……」
「尚更、大丈夫だ」
「それはどういう事だい?」
「俺も、それなりに偉い人と仲が良いんだ」
「本当なのか?」
「ああ。信じられないのなら、この国マリベージャルの王都に行って王様に会わせてやろうか?」
「ふ、あははは! ありがとう、ヤクモ。
緊張が解けたよ。リドナはヤクモを信じると言ったんだ。だから、ヤクモの言葉を信じるよ」
この後、リドナ達が泊まっている宿屋に向かった。
途中、アリシア達とも合流して情報を共有すると、アリシアに向かっている宿屋の場所を教えた後、アリシアとマルティナに冒険者ギルドにお遣いをお願いした。
流石は旅芸人一座が泊まる宿屋だけあって、馬車を泊めるスペースがまだ残っていた。
リンとエレナにお願いして、俺達の馬車を回収しに行って貰った。
勿論、泊まっていた宿屋の解約もお願いした。
それと、リドナに悪いが、先入観で安くてボロい宿屋かと思っていたら、高級の部類に入る宿屋だった。
理由を聞いてみると、普段は野営が普通だから、街等に入った時ぐらいは、宿屋だけは贅沢すると決めているみたいだ。
金問題は、荒事担当の男4人が、モンスターを狩って足しにしているらしく、4泊5日ぐらいなら大丈夫との事らしい。
アリシア達やリン達も、無事に帰ってきた事で、改めてアリシア達に、今後の予定を説明した。
まあ、予定という程の事じゃないけどな。
向こうが暴力で来たら、正当防衛を理由に同じ暴力で潰して、権力で来たら、より強い権力を使って潰すだけだ。
荒事担当の4人は、帰ってこなかった。
まあ、当たり前だがな。
俺達じゃあるまいし、普通のAランク冒険者チームでも往復で3日は掛かる。
予定では明日帰ってくるらしい。
翌日、俺達はリドナ達と朝食を頂きながら、今日の予定を話し合った。
その結果、昨日の広場で芸を見せる事になった。
因みに、大抵の領主達は、こういう旅芸人の一座を歓迎し、税的な事は一切要求しない。
何故なら、居る事で安全な地であるというアピールになるからだ。
そして、リドナ達は路銀を稼いでいると、見事に「釣れた」バカが現れた。
「良く逃げなかったな売女! 今日こそは、美しいお前の肢体を手に入れる!」
一応、反省する頭を持っていたみたいで、今日の護衛は12人引き連れている。
「はいはい。金を払わないのなら、この場から消えるんだな」
「やはり、貴様も居たか。今日は昨日みたいにいかんからな! ……やれ」
「皆、2人ずつな」
「任せて、ヤクモ」
「お任せください、ヤクモ様」
「頑張るであります、ヤクモ殿」
「行くわよ、我が君」
「頑張ります、我が主君」
「アリス、行きま~す!」
1人、ネタに走ったが、向こうの護衛が役に立つ訳もなく、あっさりと終了した。
「ば、バカな!?」
「どうする?」
「……くっ」
バカは、護衛を見捨てて立ち去ろうとするが、有言実行の俺は、俺に背中を向けているバカに対して、両足に雷矢を放った。
「……雷矢(棒読み)」
「ぎゃあ!」
「昨日、言ったよな? 次は無いと」
察しが良いリンとソフィアが、バカの所に行き、拘束した上で、引き摺って連れて来た。
マルティナとエレナとアリスで、護衛達を拘束している。
「こ、この私にこんな事をしても良いと思っているのか?」
「普通に思っている」
「私は、この城塞都市を支配する領主ロイトハンゲム侯爵の息子だぞ!」
やっぱり、こいつバカ坊か……
このバカは、何番目だ?
まあ、何番目でも一緒か。
ただ、嫡男なら、その侯爵の価値は2流以下だな。
……考えるだけなら、内容は自由だ。
誰に対しての言い訳なのかは兎も角、今後がとてもやり易くなった。
……もしも、俺を知らなかったら、侯爵は4流以下確定だな。
「この後は、どうするんだい?」
「何歳だろうが、子供が責任を取らないのなら、親に責任を取らさないとな」
「大丈夫なのかい? 相手は、この城塞都市の領主様だよ?」
「大丈夫。昨日も言ったろ? 偉い人と知り合いだと」
「確かに聞いたけど……」
「とりあえず、行ってくる。アリシアとアリス、一緒に来てくれ」
「分かったわ、ヤクモ」
「オーケイ、ヤクモさん」
「マルティナは、衛兵を呼んで、その他のコイツらの処理を頼む」
「分かったであります!」
「リン、後は頼む」
「畏まりました、ヤクモ様」
こうして、「私は?」という顔をしたエレナを無視して、後処理の指示が終わると、何か重たい物体を引き摺る音と、猿轡をしていて、「う~」としか言わない「何か」を運びながら俺達は、領主館に向かった。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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