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序章

楽しんで頂ける作品を目指します。

よろしくお願いします。


でも、ダーク系の方が受けが良かったから……


序章から本編までの7話を同時投稿しています。

「……⁉ 何故、此処ここに?」

「ヤクモ様?」

「え⁉」


 俺以外で言葉を発する存在が居た事に驚き、そちらに向けるとNPCであるマナが居た。


「マナが喋った⁉」

「ヤクモ様…」


 …まさか!


「マナ、来い」

「はい、ヤクモ様」


 あの時の彼と同じくコマンド無視の呼び掛けに正しい反応と行動をした。

 それなら…


「これからマナに接触するから抵抗するな」

「畏まりました、ヤクモ様」

「あ……」


 あの時、彼は上だけで判断出来たが、俺はそう思わない。

 不幸な鉢合わせの接触で当たる以上の事が有るからだ。

 だから……


「……く」

「あぁ……」


 俺はマナの腰の下の桃にも触れた。

 これなら、合意の上でもゲーム内という公共の場ではセクハラになる。

 しかし、運営からのレッドカード級の警告も無い。

 ……つまり、マナの自由意志である「自我」の存在と、運営からの警告が無い以上は、俺が居る場所はゲーム内では無い事が証明された。

 つまり、彼と同じくギルドメンバーと本拠地ごとの異世界転移か転生という事になる。


「ヤクモ様、いえ、ヤクモ義兄様にいさま。私は待っていました。ついに私達は……」

「マナ、ありがとう」

「…ヤクモ義兄様?」

「直ぐに確認すべき重要な事項の1つがマナのお陰で解決出来た」

「…ちぎりでは無いのですね」

「皆、聞いてくれ」


 この瞬間、熱に浮かれた状態から規律を殉ずる軍人の様に冷たい顔になったマナと恐らくマナ同様に自我を持っているだろうNPC達が居た。


「「「「「はっ!」」」」」

「皆も実感が無い可能性は高いが、俺達は現在緊急事態に陥っている!」

「ヤクモ様、それはどういう…」

「誰か、3日以内で、何らかの小さな事でも良いから違和感を感じた者は居るか?」

「……」


 やはり、居ないか。


「オウガとリゼン」

「「は!」」

「オウガは上の城内に行き、外部から来た自我と知性を持つ者が居ないか探索を」

「は!」

「居た場合は、温和に丁重に来て貰え。その時に出された要求は可能な限り聞くと言っても構わない」

「は! ヤクモ様」

「リゼンは、本拠地より外に出て同じ様に自我と知性を持つ者が居ないか探索をし、居た場合は……分かるな?」

「はい、ヤクモ様!」

「行け!」

「「は!」」


 多分、ゲームでの景色は無いだろうな。

 きっと、太陽も緑色でも無いだろうし、浮き島も無いだろう。


 さて、どうなる事やら……





 俺の名前は「久世くぜ 八雲やくも」で28歳だ。

 中国地方の有名な神社が有る県で老舗旅館を経営する一家の長男だ。

 ……まあ、後継者じゃないけどな。

 養子だし、それを知って荒れてた時期もあったけど、ちょっと年の離れた高2の双子の弟妹ていまいがいるから後継者はどちらかが為れば良いと思っている。

 それも俺が26歳の時に妹の涼子りょうこが悩んだ末に自分から旅館の後継者になると言ってくれて俺は安心した。

 だから、妹に感謝の意味と血は繋がりは無いが大切な両親を始めとした家族に感謝とお礼を兼ねて合計で2億八千万円を贈った。

 勿論、バレた時は怒っていたが、俺が贈れる物は現金しかなかった。

 最後は笑って受け入れてくれたよ。

 親父は最初から俺の考えに賛同してくれていたが、正直、親父は性別が間違えて生まれたと思っているんだよなぁ。

 良く言えば「紳士」で、悪く言えば「大和撫子」な性格をしている。

 母さんは、最初はかなり強く反対していたが、俺が本気だと分かると渋々認めてくれた。

 年の離れた双子の弟妹は、母さん同様に最初は強く反発したが最後は分かってくれた。

 正直、株や投資で大儲けした事がバレたのは、ほんの数年前だし、家族ときちんと仲直りしたのも約半年前程だ。

 それに、機材とかのグレードアップはしても、生活水準は上げていなかったから、家族にはギリギリまでバレなかった。

 まあ要するに、未だに面と向かえ合えばギクシャクしている。


 さて。俺が当時、最初に考えた事は経済的な自立だった。

 正直、荒れてた時のヤンチャ過ぎてて、何とか関係者各位への土下座行脚で、旅館の名誉は守れたけど、地元で俺を雇う所は無かった。

 正直、今でも知らない奴がどうなろうと関係無いし、気に入らなければ高卒以上なら女でも蹴飛けとばすが、家族や信頼する仲間達は大切にしたい。

 それで、地元で働き先が無いから、両親から借金して「株」を始めた。

 荒れてた時の経験から、不確かな30万より確かな3万を選んで少しずつだが地道に増やしていった。

 1年が過ぎた頃には両親からの借金は2倍にして返して、地元の平均的な年収を稼げる様になった頃に、地元に何故か新参のゲーム会社が出来た事を知った俺は調べた結果、「賭け」に出た。

 実際、信じられない事に、ユーザーからの評判に悪い評価は1つも無く、俺自身もプレイしたが全く不満は無かった。

 だから、俺は最低限だけ残して、このゲーム会社に賭けた。

 その結果は、バブル時代が可愛く感じる程の爆当たりとなり、3年でその会社は世界のゲーム業界の頂点に立った。

 更に3年後に満を持してMMORPG「リンカーネイション・ロア・オンライン」が発売された。

 因みに、株主特権でソフトは無料で株主仕様が手に入り、ハードは最新で最高級のヤツを買った。

 因みに、株主仕様と言っても、ガチャで手に入る低確率で当たるレアコスとかの外見だけのアイテムの獲得が優位になるだけだ。

 例えだと、一般が1万出して100回ガチャして1つ手に入るアイテムを、株主仕様だと、10万出して9回ガチャして1つ手に入る様になっている。


 ……あれから、6年経ち俺が28歳を迎えた次の日にランキング戦が終了して第3位となった。

 ソロギルドとしては第1位だ。

 後、課金に課金しまくった結果、個人課金額は全て俺が1位だった。

 ゲーム会社のホームページには、課金額は載ってないが順位だけは公表していたから分かった。

 NPC1体に掛けた額や、ギルド全体に掛けた額とか全部な。

 課金を重ねた結果、一時期はゲーム会社に「ハッキングに因るチートだろう!」と、言うクレームでパンクしかけた程だ。



 そして、ディスプレイには、ユーザーである俺への功績を称える文書の最後にこう書かれていた。


「新たな世界に旅立ちませんか?」


 と……


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