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曖昧


 ユイマの識る一般魔法体系という考え方によると、呪いと呪い(まじない)は同じものに分類される。どちらも、分かり易い表現でいうと魔力を振り撒く行為だ。唯一指定出来るのは、その対象。それは無くても構わない。振り撒かれた魔力に拠って何が起こるかは、使用者も結果を待たないと確定しないのだ。

ただし、呪い(まじない)は、魔力などそうそう必要とするものではない。人に使う魔法であり、人の為になる魔法なのだから、当然といえば当然。魔は魔を寄せる。本人に魔力を扱う力がなければ、過ぎる魔力は不吉でしかない。悪いものを祓う時のみ、それを引き受けなければならないから対象に合わせた魔力や魔法具が必要になるという程度である。

しかし、呪いは違う。遠慮なく魔力を蒔き散らし、魔を寄せ、日常を侵食する。強力な魔法、或は魔の現象である。異常、超常、変態、奇異、奇怪、時に受けた者次第であり、何が起こるか分からない。魔法使いの間でも呪いの魔力の底なしは渾沌を産む、などと喩えて恐れられる。

二つの違いは実は判然としない。規模として小さいか大きいか、くらいのものである。何故小さく弱いと善良で大きく強いと凶悪なのか、という説明は非常に深い話で、どこまでいってもやはりその境界は微妙で曖昧なのである。


 ミズアドラスの聖職者が呪い(まじない)を使う以上、呪いが原因の事件についての真相が伏せられるのは、有り得ない事ではない。けれど明らかに不自然であるはずで、それをねじ伏せるなんて、恐ろしい事だ。

呪いは何が起こるか分からないのだ。同じ症状ばかりだったとは思えない。被害者は沢山いて、亡くなっている。症状のバラバラの死者達を見て、同じ病気だという発想にはなかなか至らないはずだ。何よりこのミズアドラスに医者がいないわけがない。ここでは、それらすべてを黙らせるような独裁、或は恐怖政治が行われているということなんだろうか。

 流石にそれは想像出来ない。

 イドさんは領主家の人を知らないから、

 ちょっと拗らせて、所謂、陰謀論者みたいに

 なっちゃってるんじゃないかな。

 グラ家の人って、なんか……。

 意外といい加減なんじゃない?って、

 思うくらい、面白くて、むしろ呑気というか、

 あ、いやでも過激だったわけで……。

自分でもよくわからない。現代世界でも政治に関わるような人には会ったこともないのだ。評価なんて出来ない。

 …………………………いい加減……。

 いい加減………?まさか……。

 いや、いくら呑気でも…………ん?

 ここの人は、魔法にはあんまり詳しくない…。

 いやいや、だからといって。

 医者も魔法使いもいないわけじゃないし。

まさか呪いと言ったら体面が悪いからって、適当にいい加減な説明をしたわけじゃ、ないよね?

それを聞いたイド氏が、私と同じ事を考えたとか、まさか、ない……よね?

 そんな、魔法使いと医者をナメたような

 大胆な事をしたら、即座に反論される。

 反論……に意味がないのかな?

 魔法も医学も教育されてないなら、

 一般には分からないし…。

地動説を唱えたガリレオの話が頭をかすめていく。あんな世界なのか?ここは。しかしパロマさんの存在がそれを否定する。あんな人がいるんだぞ?……あまりにも確定した情報が少な過ぎる。

昔話のハズだから、その頃は今とは領主も違ったかもしれない。私には確かめようもない事だ、無理だ。考えても仕方がないから、もう後回しにしよう…。

 イドさんの話が本当だとすると、

 ナクタ少年が言ってた獣から戻れない症状、

 というのは父親さんか、イドさんのもので、

 全員がそうだったというのは考えにくい。

 ……聞いても、いいものかな?


 一人でブツブツと考え事をしていたら、その間に二人の話がどのようにして纏まったのか全然聞いていなかったからわからないのだけど、気付いてみたらナクタ少年の決意が固まってしまっていた。


「親も俺が出てくのは知ってて、

 準備は時間かかりませんから、

 ユイマさんの予定に合わせられます。

 よろしくお願いします。」


 ……え?なにを?

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